金融危機らしい。

アメリカのリーマンなんとかの破綻、AIGへの公的資金投入、次に破綻するのはどこか、という疑心暗鬼などなど……。
ニュースを見てて、「ざまぁ見ろ」という気がしていた。

だって私、株なんか持ってないし。

人の金を「右から左へ受け流す~♪」だけで暴利をむさぼってた連中がしっぺ返しを食らうのなんか当然じゃん、と思ってしまう。
「銀行」とか「金融関係」というとなんかエラソーだけど、要は「金貸し」じゃないの、とか。

このAFPBBニュースの写真と同じように、日経平均株価が今年最低に下がったとかいうテレビニュースでも、「老後のためにと思って株を持ってたのに、これじゃあ稼ぐどころじゃない」というようなことを普通の(?)おじさんが言っていた。

株なんか持ってなくて良かった♪と思うんだけど、こーゆー「世界的金融不安」が起こると、株なんか持ってない人間にも「不景気」とか「財政破綻」とかいう影響が降りかかってくるに違いない。

まったく困ったもんである。


一連のニュースを見ていて、「資本主義とは借金を前提としたシステムである」という橋本治さんの言葉を思い出した。
『ぼくらの資本論』『ぼくらの未来計画』という本に、詳しく書いてある。

「資本主義はもう終わっているかもしれない」とか。

この本は、1996年ぐらいに出版されていて、日本での「バブル崩壊」についての言及もある。

昨日久しぶりにざっくりと読み返したら「住専」という言葉が出てきて、「ああ~」と思ってしまった。あったね~、そういうの。
もう忘れてた。
サブプライムローンが住宅ローンで、アメリカの政府系住宅金融会社(?)にも公的資金が投入された、というニュースを一応見ていたのに、それでも「住専」なんて言葉は思いださなかった。

なんか、日本でもアメリカでも「住宅ローン」が火種になってるっていうのは、面白いというか象徴的というか。

橋本さんの本を読むと、「バブル」が「金余り」だったということがよくわかって、その余った金の使い道がない=「投資先がない」ということが色々な問題を引き起こしたということがよくわかる。

「資本主義」というのは、そもそもが「すでに持っている金を何かに投資してさらに増やす」ということが前提になっていて、投資される側はつまり、「借金をする」のである。

借金して、そのお金を元手に事業を興して、利益が出たら利息としてお金を貸してくれた人に分配する。そんで事業を大きくするためにまたお金を借りて、それで儲けてまた利息を返してまた借金して……。

お金を貸す方は、借りた金の全額は返ってこない方がよくて、借りっぱなしのままずっと「利息」を払い続けてくれる方がいい。

昔、預金の金利が高い時は、「利息で食っていく」ということができたそうだけども(今となっては夢のような話だ)、誰かがきちんきちんと利息を払い続けてくれれば、働かなくてもお金が手に入るわけである。しかも、その「誰か」の事業にまだまだ見込みがあって、「貸した元金」もいざとなれば返してもらえるあてがある、だったらもう言うことはない。

みんなが豊かになっていくと、事業を大きくするにしてもそんなに借金をする必要がなくなるので、「金貸し」で生きている人は困る。

お金を貸す余裕もないし、お金を借りて事業を興すほどの才覚もない私には、「借金なんてない方がいいに決まってる」だけども、お金を借りてくれる人がいなくなると、資本主義というのは立ちゆかなくなるらしい。

誰でもいいからお金を借りてくれ、というわけで、「住宅ローン」なんてものも出てくる。

橋本さんの本の中に、「4000万円の家を30年ローンで買うと、およそ3倍の1億2千万円を払うことになる」と書かれてあって、それを読んだ当時ものすごーくびっくりしたのだが、そりゃ貸す方にしたらボロ儲けやわなぁ。

もちろんいっぺんに1億2千万手に入るわけじゃないけども、むしろ「きちんきちんと利子が入ってくる」方がありがたいわけで、「とりあえず30年間は食いっぱぐれない」。

もちろん「貸してる」のは銀行とかだから、一つの契約だけでやってけるわけじゃないけど。

でも30年だよ。30年の間には色々あるよ。30年間ずっと、かなりの額を毎月払い続けられるなんてわかんないじゃん。途中で死んじゃうかもしれないし。

でも、バブルの頃はそんなことは気にもされなかった。

「住宅ローン」の場合は特に、その、「買う土地(と建物)」自体が担保になって、その担保は「どんどん値上がりするもの」だったから。

「土地」の値段は上がっていくものだから、途中で借り手がローンを返せなくなっても、その「土地」を差し押さえて売り払えば、あるいはローンを返してもらう以上に儲かるかもしれなかった。

で、「土地」の値段が下がったとたん、それは「不良債権」になるのである。

借り手はお金を返せない。
担保の土地を売り払っても二束三文。

あーあ。


でもそんなの、「貸せば儲かる」と思った金持ちが悪いんだ。

アメリカのサブプライムローンがいつ頃から始まったのか知らないけど、日本の「住専」は参考にならなかったのかな。どうせ「日本のバブルがはじけたのは日本人がバカで金の使い方を知らなかったから」とでも思ってたんだろうなぁ。

投資先がないと――、つまりは「金を借りてくれる人」がないと、資本主義はたちゆかない。

みんなが豊かになったら、資本主義は終わってしまう。
何か別のやり方を考えていかないと、このままではどうにもならない。

12年も前に、橋本さんがそう教えてくれているのに、まだ、「別のやり方」というのは考えられていなくて、「景気さえよくなれば」という話になっている。

もう景気がよくなることなんてないと思うんだけどなぁ……。