12月13日から12月25日まで、シアター・ドラマシティにおいて宝塚雪組により、『カラマーゾフの兄弟』が上演されます。(公演詳細はこちら)。

来年のお正月には『太王四神記』をやるし、宝塚も流行に敏感ね~、という感じですが。

でも20年ほど前にも、バウホールで上演されているのですよね、『カラマーゾフ』をもとにした『シチリアの風』という作品が。(これについては以前、「『カラマーゾフの兄弟』の思い出」で言及しています)

今回は「古典新訳文庫版を参照」となっているし、脚本・演出の先生も違うし、まったく新しい作品として上演するようですが、やはりドミートリィが主役、というのは変わらないようです。

ドストエフスキーが「私の主人公」と呼んだのは兄弟の末弟アリョーシャだったのに、お芝居にすると長兄ミーチャが主人公になっちゃうのよねぇ。

まぁ、アリョーシャは動きが少ないので、しょうがないと思うけど。

イワンを主役にするとすごーく憂鬱な、ノイローゼ気味のお芝居になっちゃうだろうしなぁ。


主役ミーチャは雪組トップスターの水夏希さん。

ヒロイン・グルーシェニカを白羽ゆりさんが演じる。

白羽さんのグルーシェニカはいいと思うなぁ。うん。

『シチリアの風』の時の、毬藻えりちゃんもすごく良かったんだけど、白羽さんも美人でお芝居うまくて、すごく魅力的なグルーシェニカを演じてくれると思う。

ミーチャを軸にお芝居をすすめる以上、グルーシェニカが「たいしたことない女」だとつまんないもんねぇ。

あばずれだけど、内には一途で純な想いを秘めていて、とびきりの美女ではないけれどセクシーで可愛くて、男はみんな彼女の虜になってしまう、「運命の女」。

ここがコケると、フョードルとミーチャによる彼女の争奪戦、カテリーナとグルーシェニカの間でのミーチャの葛藤、破局の前のミーチャとグルーシェニカの心の通じ合いといったものが、全部つまらないものになってしまう。


にしても、上演時間はおそらく長くても2時間半程度。

その短さであの膨大な小説を表現するのは、大変ですよねぇ。

いくらミーチャに的を絞るといっても、説明しなくちゃいけないことがいっぱいあるし、一体どーゆー舞台になるのか、非常に気になります。

宝塚版『赤と黒』のように、「裁判」を進行させながら、「証言」という形で過去のドラマをはさんでいくのか。

それとも時系列に沿って順番にストーリーを追っていくのか。

『シチリアの風』の時は、時系列に沿ってストーリーを追っていって、「父殺し」の後ミーチャがグルーシェニカのもとへ駆けつけて二人で盛り上がったところで終わったような気がするんだけど……。うーん、ほとんど覚えてない。少なくとも「裁判」はなかったような。

私的には、「裁判」をやってほしい。

「裁判」でのカテリーナのヒステリーとか、イワンの証言とか。

ミーチャの、「それを話すことは大変な恥辱だ」というところもしっかり描いてほしい。ミーチャという人間を描く上で、あの「恥辱」の観念ははずせないと思うもの。

でも、原作を読んでない人にもわかるように2時間ちょっとで語るのって……うーん、ほんと、どうするんだろ。斎藤先生のお手並み拝見!?


「殺される父」フョードルに未来優希さん。

未来さんはうまいから、すごい憎たらしい(でもどっか可愛げのある)フョードルを見事に見せてくれるんじゃないかな。

グルーシェニカの魅力もそうだけど、フョードルが「もう、なんなんだ、この親父」って思わせられなかったら、このお話は破綻してしまうもんね。

「こんな男でも親である以上愛さなければならないのか?」「こんな男の子どもに生まれた人間はどうすればいいんだ?」っていうの、『カラマーゾフの兄弟』の重要なテーマだと思う。

そこからイワンの「大審問官」も出てくるんだと思うし。

そのイワンは彩吹真央さん。

彩吹さんは、爽やかで明るい感じの方なんだけど、陰に籠もったノイローゼの哲学青年イワンをどんなふうに演じてくれるのでしょう。

アリョーシャとイワンの「大審問官」、ちょろっとでもいいから場面があるといいな。


チケットの一般発売は明日からですが、私はe+のプレオーダーに申し込んでたのが当たっちゃって、既に確保できています。

どうせ当たんないだろうと思ってたので、正直当たってびっくり。

見られるのは嬉しいけど、お金の工面が。

プレオーダーは手数料取られるから高いのよね。

このところGackt様のライブCDボックスやカレンダー等で出費がかさんでいるだけに……。


でも、どんなお芝居になるのか、ホントに楽しみです♪