先週録画しておいた『男たちの挽歌』、やっと見ました。

注目は「チョウ・ユンファと沖雅也は似ているのか!?」だったのですが(笑)。(←この話がわからない人はこちら

やっぱり、似て見える時があった。

正面から見ると、チョウ・ユンファの方がより顔が四角くて、横幅があって、「そっくり!」などとはとても思えないんだけど、角度によっては似ている時がある。

あとやっぱ、表情だな。

「よくあれで死なないな」ってぐらいズダボロにされて、救急箱程度の手当をされて、それでもこう、不敵にタバコをくわえて遠くを見ているような表情が。

沖雅也がスコッチ役などで見せていた表情に似ている。

なんていうんだろ。「不敵」っていうのとも違うんだけど。

ただクールなわけでも、ニヒルなわけでもなくて、深く静かに怒っているというか、挑戦的でありながらもやるせないというか、言葉では言い表せない、喜怒哀楽なんていう簡単な感情ではないがゆえのある種の「無表情」というか……。


前に深夜放送で見た時切れていた、最後のレスリー・チャンの表情(全然炎をバックになんかしていなかった)も、なんとも言えないやるせない表情なんよね。

レスリー演じるキットは刑事で、その兄ちゃんがティ・ロンさん演じるホー。ホーはヤクザだったんだけど、キットはずっと兄ちゃんがヤクザってことを知らなくて、兄ちゃんのせいで父親が殺されたこともあって、兄ちゃんをとっても恨んでる。

兄ちゃんは組織の若手シンという男に裏切られ、ムショに入って、弟のためも思って足を洗う。

でも弟は彼を許そうとしないし、組織の方でも彼を放っておいてくれないし、最後は大変なドンパチで二人とも殺される寸前。(ちなみにチョウ・ユンファ演じるマークは兄ちゃんの親友で、やっぱりヤクザである。最後、3人で組織と闘って、マークだけ死んじゃう)

んで、ラスト近くになって、一番の悪党シンと兄ちゃんが対峙した時、弟は黙って兄ちゃんに銃を渡すんだよね。

兄ちゃんも組織の一員だ、兄ちゃんも俺が逮捕するんだ、俺は兄ちゃんみたいなヤクザじゃない、刑事なんだ、とずっと思ってた弟が、黙って銃を渡す。

その銃で兄ちゃんはシンを撃つ。

シンが倒れて、兄ちゃんと弟は一瞬互いの顔を見合わせて。

二人の顔が別々にアップになるんだけど、その時のレスリーの表情がほんと、なんともいえないのよ。

シンを殺したからって嬉しいわけもないし、兄ちゃんを許したことや、兄ちゃんにシンを殺させたこと、こういうふうな結末にならざるを得なかったことが、ただ「哀しい」というのでもない。

やるせない、という以外に言葉が思いつかないけど、ものすごーくぐっと来る表情なんだ。


初めて見た時も驚いたけど、何回見ても銃撃戦が超派手で、血みどろ加減がすごくて、マークが殴られてドバッと鼻血が噴き出すとこなんか、「そこまでするかぁ」って感じ。

マークが死ぬ時も、すごい。

「どうしてこんな勇気のある男を許してやらないんだ!」ってキットに向かって訴えてるところで、ドンと後ろから撃たれるんだけど。

頭を撃たれて、額(?)からバッと溢れた鮮血が向かい合ってるキットの顔にビシャッとかかるのよね。

うわぁぁぁぁぁぁぁぁ。

リアルって言えばリアルなのかもしれんけど……えげつない。

まぁ、この派手な血みどろアクションが売りの一つではあるんだろうけど。


でも、やっぱり、ホーとキットの兄弟の葛藤、マークとホーの友情っていうのが、この作品を何度見ても飽きないものにしているのよね。

チョウ・ユンファの表情、レスリーの表情ばかり語ってきたけど、実はこの映画で私が一番好きなのはホー役ティ・ロンさんなのだ。

ティ・ロンさんのホーが真ん中にいるから、この話成り立ってるんだよ~。

耐える役だからあとの二人に比べると地味なんだけど、ティ・ロンさんの表情もとっても素敵なのよね。

この間BSでは『男たちの挽歌Ⅲ』まで放送されたんだけど、Ⅲは「今作で死んじゃったマークの、今作以前の話」という設定で、ティ・ロンさんが出てこない。

なので、あんまり見る気がしないのよね……。

前、深夜に放送されてた時も、録画はしたのに結局見ないでお蔵入りにしちゃった。今回も録画しなかった。

だって私にとって『男たちの挽歌』はティ・ロンさんあっての作品だからさ。


ちなみにこの映画の中国語のタイトルは『英雄本色』。さっきexcite翻訳で日本語にしたら、「英雄本来の面目」というふうになった。

英語タイトルは『A Better Tomorrow』。よりよい明日? このタイトルだけだと、どーゆー映画なのかさっぱりわからんよなぁ。

どっちも『男たちの挽歌』っていう日本語とはまったくかけ離れている。

でもこの日本語タイトルが一番ぴたっと来るような。

まぁ、最初に聞いたのがこれだったから、っていうのはあるかもしれないけど。

このタイトルを考えた人、すごいな、と思います。