『SONGS』美輪さん、第二夜です。

今回はシャンソン3曲だったのですが。

やはり、「歌を聴いた」というよりは「お芝居を観た」という感じでしたね~。

ナレーションでも「一人芝居でたっぷりと」みたいなこと言ってたし。

ただでステージ観させてもらったな、って感じ。


女に裏切られ、疲れてやってきた「憧れの男」を楽しませようと奮闘する場末の娼婦の唄「ミロール」。

♪あんたからみれば、あたしなんてゴミみたいな女だろうけど♪

ほろっとさせられるわ~。


2曲目は、「お芝居」で「そこに至るまでの物語」をたっぷり見せた後で始まる「ボン・ヴォワヤージュ」。

この1曲だけで満腹になってしまうほどです。

中身が濃い。

1曲で、「女の一生」ですもの。

一夜も二夜も「3曲」ずつで、最初プログラムを見た時には「3曲しかないのか。ジュリーは5曲だったのに」と思ったんだけど、1曲1曲が芝居仕立てでけっこう長いし、「なるほどこれじゃ3曲歌うのが精一杯だ」と思いました。

3曲でも、「たっぷり」だもん。

普通の歌を歌うのでも、けっこう体力がいるんだけれども、あんなふうに「物語」として歌ったら、すごく消耗するだろうと思うし。

1曲の間に、何も知らない小娘から、「いつの間にか皺だらけの初老の女」になって、最後はすべて赦して飲み込んで、男の旅立ちを見送らなきゃなんない。

口先だけじゃなく、その物語を生きながら歌ってるんだもん、1曲終わったらどっと疲れてるんじゃないかしら……。

声量ともに、素晴らしいパワーだと敬服。


幕間(笑)のインタビュー時は「假屋崎さん」のすごいお花を飾られたソファに座ってらっしゃるんだけど、あの花のヴォリュームに負けないで存在してられる、ってところもすごい。

あれだけバックが派手だと、普通飲まれちゃうよね。人間の方は印象が薄くなる。


最後は「愛の賛歌」。

これは超有名な曲なんだけど、私はそんなに好きじゃなくて。

♪あなたの燃える手で~♪という歌詞にも何も感じなかったし、曲調もあんまり好きじゃなかった。

今回、美輪さん訳の日本語詞の朗読の後、フランス語での歌唱。

「こーゆー詞だったのか」とびっくりしました。

♪あなたの燃える手で~♪じゃ全然ないじゃん。

この詞だったらいいな、好きな世界だ、と思った。

メロディも、美輪さんに歌い上げられると「いい曲」に聞こえるし(笑)。

でもそーゆーもんでしょ。

同じ歌でも、歌う人によって全然変わるもの。


良いものを観させていただきました。

ありがとう、NHK。


というわけでもっとシャンソンが聴きたくなったので、往年の宝塚のシャンソン公演『シャンテ・シャンテ・シャンテ』のCDを引っぱり出して鑑賞中。

1989年の公演だよ~。ああ、懐かしい。

これ、シメさん(紫苑ゆう)中心の公演だったけど、日替わりゲストのネッシーさん(日向薫)が「ボン・ヴォワヤージュ」を歌ってます。

ネッシーさんが歌うとなんでも明るくなるような気がする(笑)。

同じくゲストのカリンチョさん(杜けあき)の「ラ・ボエーム」が最高に素晴らしいんですよ。

あと、シメさんの「トレアドール」にジュンベさん(洲悠花)の「枯葉」が……って、美輪さんの話から宝塚の話に変わっちゃってますね。

『シャンテ・シャンテ・シャンテ』の話はまたいずれ、機会があれば(って、そんな話についてこられる人がどれだけいるのだろう……)。


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