本
『ニーベルンゲンの歌』(前編)
年末に図書館で借りたんだけど、全然読めなくて(>_<)。
もうこの週末には返さなくちゃいけないのに、やっと夕べ前編が終わったところ。しくしく。延長しないと無理だわね。
決して「面白くないから読み進めない」というわけではなく、なんかこう、まとまった時間が取れないというか、「物語を読む身体」になっていない感じなんだよね……。ううう。
さて。
私が『ニーベルンゲンの歌』を初めて知ったのは、池田理代子さんのマンガ「オルフェウスの窓」でのこと。
男装の麗人ユリウスが、学園祭みたいなやつで、『ニーベルンゲンの歌』のヒロイン、クリームヒルトを演じるのです。……そんなん演じたら女やってバレバレやん!って子ども心(小学校の2年生くらいだった)に思ったものでしたが。
その劇中劇が気になり、ふとうちの本棚を見ると「少年少女世界文学全集」の中に「ニーベルンゲンの歌」がちゃんとあって。
読んでみたらこれが面白い!
もとは叙事詩なんだけど、「少年少女」向けに小説体で書き直されていて、非常に読みやすく、ドラマティックで面白かったんです。
愛する夫ジークフリートを殺された王妃クリームヒルトの復讐譚。
いつか原典を読んでみたいなと思いつつ、この年まで手に取らずに来てしまいました。
ちょっとね、やっぱり、「詩」形式なのが読みにくそうやなぁ、っていうのがあって。
でも実際読んでみたら、そんなに気にならない。
読みやすいです。
国の名前とかは「ん?これはどっち?」と混乱する部分もあるけど、お話の筋は十分に追える。普通の小説とさして変わらない。
初版は1955年だけど、訳文も別に古めかしく感じない。わかりやすく、過剰な美文ではないのに美しい日本語。
ジークフリートはジーフリト、クリームヒルトはクリエムヒルトと表記されてます。私は、つい「ジークフリート」「クリームヒルト」と頭の中で読み替えてしまうんだけど。
前編では、英雄ジークフリートの活躍と、それによって彼が絶世の美女クリームヒルトを手に入れ、クリームヒルトの身内によってジークフリートが暗殺されるところまでが描かれる。
「殺されちゃうんだよな」って知ってて読んでるから、最後の方はなんか、「今か今か」とドキドキしてしまう。
わかって読んでても、不思議に面白かったりはする。
ジークフリートが殺される直接のきっかけを作るのは、他ならぬクリームヒルトだってところがまた。
女同士の争いが、惨劇のもとなのよね。
まぁ、その女同士の争いを招いたのは男の思惑であり、ジークフリート自身の行動ではあるんだけども。
そんなよけいなことをしなければクリームヒルトと幸せに暮らせたかもしれないのに……。
でも、女同士の争いがなくても、強すぎる英雄ジークフリートを快く思わない人間はいて、やっぱり彼は殺されたのかもしれない。
ジークフリートは、竜の血を浴びて「不死の身」になってるんだけど、一箇所だけ竜の血を浴びなかったところがあって、その急所を狙われてあえなく最期を遂げる。
これって、アキレスの話とおんなじ。
アキレスも、川に浸からなかった「アキレス腱」のとこだけが「不死」にならなくて、そこを射抜かれて死んでしまう。
どんなに強い、すぐれた英雄であっても、「人」である以上「死」は免れない、ということなのでしょうか。
この、ジークフリートの急所を敵に教えてしまうのも他ならぬクリームヒルトで……。「女のおしゃべり」には気をつけましょうという話!?
男以上に強い女、プリュンヒルトが「男」に征服されるエピソードも、なんか、女としては考えさせられる。惨劇のそもそもの芽は、クリームヒルトの兄グンテル王とジークフリートが彼女を奸計によって征服したことから発しているんだもんなぁ。ある意味、罰を受けても仕方ないんじゃない?って気も……。
ともあれ、がんばって後編を読み進むことにします。
(後編の感想はこちら)
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