※以下ネタバレあります!これから観劇なさる方はご注意ください!



昨日は宝塚でした♪

雪組公演、見てまいりました。

まずはお芝居『ロシアン・ブルー』。「スクリューボール・コメディ」と銘打たれているとおり、肩の凝らない楽しいお話。

ちょっと最初、わかりにくい部分もあったんだけど、設定・人物が飲み込めたらあとは面白く見られました。

革命後20年経ったロシアが舞台。そこへアメリカから水さん扮する下院議員アルバートが劇団員を率いてやってきて、芸術局の堅物女性官僚イリーナと出逢い、すったもんだ。

実はアルバートもイリーナもかつて迫害を受けていた「魔女」「魔法使い」の末裔なのだけど、途中出てくる「魔法」は秘伝の「ホレ薬」と、わら人形ならぬ「呪い人形」(?)だけで、「なぁんだ」って感じではありました(笑)。

お互いの思ってることがテレパシーで通じる、ってゆーのはあったな。

迫害を逃れてアメリカへ渡ったアルバートの「(おそらく)父祖伝来の指輪」が故郷であるモスクワへ来てから「熱を持ち始めた」とか。

「死ぬ気の炎」でも出るのかと思ったけど(笑)、さすがにそーゆーことはなく。

なんか、もうちょっと指輪で魔法が使えても良かったかな~、と。

ま、「元は同じ魔法使いの一族」というのはコメディーを成り立たせるエッセンスであって、それが「主題」ではないから、「魔法ってそれだけかよ!?」の方がむしろ「コメディーらしい」のでしょうが。

最初「わかりにくい」と思ったのは、アルバート率いるアメリカの劇団員たちが演劇学校のホールを「練習場」として与えられた時に、ロシア側の別の劇団も出てくるんだけど、それが「ロシアの人たち」だっていうのがわかりにくくて。

ん???

と戸惑ってしまった。

アメリカだ、ロシアだと言ったって、演じてるのはみんな日本人やからね(笑)。見た目じゃ区別つかないし、ロシア側の劇団関係者には、実在の人物が複数いるんだけど、それも普通の人にとっては「知らない名前」だから。

後でプログラム見て、「ああ、そうなんだ~、本当にいた人たちなんだ」って。

スターリンのそっくりさんの役者さん、ロシアでミュージカル・コメディを撮っていた映画監督、日本人の留学生。

この、一人袴をはいて扇子を持った「日本人」も、最初「なんだろ~、そーゆー役を得意にしてるロシア人俳優なのか」とか思っちゃった。

ロシア革命後20年の(つまり1930年代)時代状況ってそうそうすぐにはぴんと来ないし、そこに一人だけ日本人がいるのが、まったくぴんと来ないんだもん。

でも家帰って新聞読んだら書評欄に、彩那音ちゃんがやったその日本人、「佐野碩」さんに関する本の話が出ててびっくり。(書評はこちら

「スケールの大きなインターナショナリスト」なのだそうな。

へぇ~。

お話としては「コメディ」だし、「ロシア革命の矛盾」「共産党による“粛清”の恐怖」とかを大マジメに扱った話ではないんだけど、「そのような時代があって、そのような人々がいた」ということを、ちょっと考えさせてくれる。

……ベルリンの壁が壊されて、ソ連が解体して、もうだいぶ経ったよね。ロシア革命と共産主義が間違っていたかどうかとか、私にはわからないけど、「こんな話が描けるのも今だからかなぁ」と思わなくもない。

よその国でこーゆー風に描かれることを今のロシアの人たちはどう思うのかな、とか。

よその国で日本の戦国時代やら幕末やら昭和天皇の戦争責任やらを「コメディ」の背景に使われたらどんな感じかなぁ、とか……。

アメリカグループが「俺たちは自由の国から来た」みたいに言うのも、なんかむずがゆかったりした。

って、こんなこと書くと楽しめなかったみたいよね(^^;)

いや、楽しいお芝居でしたよ、ほんとに。

コメディーって難しいけど、みんなうまかった。

今回から娘役トップになった愛原実花ちゃんもがんばってた。彼女、写真だと少し老けた感じに見えちゃうんだけど、舞台上ではやっぱり若いし可愛いね。もともとダンスがお得意らしいけど、芝居っけも十分。低い声は十分によく出てて、どーんと強い役の方が得意なのかな?って感じ。歌も高音になると弱いので、さらにそこに磨きがかかると「大女優」になれると思う。

水さんは明るい役が似合うし、彩吹さんの「元執事で今は政策秘書」という役所もハマりすぎ。

音月桂ちゃんは「ロシアの実在の演出家・映画監督役」。そんなに出番が多いわけでもなかったけど、彩吹さんとのタップダンス比べやクライマックスでの「お笑い担当(?)」など、楽しませてくれました。

今回わりと群像芝居で、舞台にいっぱい人が出てることが多くて、歌もコーラスが多用されてて、私としては好きなタイプだった。銀橋と後ろで違う歌詞を歌ってるとか、そーゆーの好きなのよね。トップのソロばかり、というような作品は、あまり面白くない。

そして。

一番嬉しかったのは、専科の汝鳥伶さんが大活躍していたこと!

汝鳥さんってお芝居はもちろん歌もうまくて、舞台が引き締まる。それに汝鳥さんは私が通い詰めていた頃の月組の組長さん。汝鳥さんのあの声を聞くと、当時の舞台が甦る。

今回専科さんは五峰さんと美穂さんもご出演。二人とも私が通い詰めていた頃は組子さんで……顔なじみの人が出てるのって嬉しい(笑)。もう専科さんとトップ・準トップしか知ってる人がいなくなってきたから。

五峰さんはさすがのダンス。美穂さんはさすがの歌唱力。

お二人が活躍されているのは嬉しい反面、「組子の娘役が弱いよな~」とも。トップでない組子の娘役の中に、大人っぽい役をこなせる子とか、歌のうまい子、ダンスなら任せて、という子が少ないような気がする。「お、この子は!」と思うような子がいない。

あ、そうだ。

今回組長の飛鳥さんが休演だった。

最近はまったく宝塚情報をチェックしていないので、「あれ?飛鳥さん出てなかったよね?あれ?プログラムにも載ってないよ!」とびっくりしてしまった。

チラシの段階では名前が載っているのに、プログラムには載ってなくて、いよいよ未来さんが組長になったのかと思ったけど、今日調べたら飛鳥さんは「体調不良による休演」ということで。

大劇場のみならず東京公演も全休とか。かなりお悪いのかしら……。

副組長である未来さんは、今回も貫禄のお芝居。悪役ぶりも素晴らしいし、クライマックスでホレ薬飲まされて「あらら」になっちゃうところも完璧。

うますぎます!