桃栗三年柿八年、オーブンレンジは十八年。

昨日の記事に、「新しく買ったレンジは18年も使えないだろう」というふうに書いたのだけど、今から18年経つと私はもう還暦なのである。

ひょえー。

18年後はどんな世界になってるんだろう。

18年後には、さらに高機能な、わけわかめなオーブンレンジが出ているんだろうか。

そして還暦の私は「そんなややこしいのじゃなくていいのよね」と、また「ひとり暮らしにぴったり、シンプルタイプ」なオーブンレンジを買ったりするのかしら。

もうこれ以上はいいではないか、と思うのだな。

これ以上高機能になる必要なんてないんじゃないの、と。

オーブンレンジに限らず、テレビでもパソコンでも何でもそうなんだけど。

この不況で、シンプルなものは安い海外製品に勝てないから、日本は海外メーカーがついてこられない高機能商品で勝負するしかない、とかいうような話をこの前もテレビで見た。

まぁそれはなー、日本の技術力を維持するため、「より良いものを求め、創意工夫していく」向上心、というのは必要だとは思うんだけど。

これ以上の高機能って、ホントに必要なのかな。

これ以上の便利。

オーブンレンジが高機能化すると、逆にシンプルなオーブントースターが復権(と「思っているのは私だけで、コンスタントに売れていたんだろうけど)したり、今でもやっぱり「電子レンジ単機能機種」はちゃんと店頭に並んでいたり。

冷蔵庫もテレビも洗濯機も各家庭に普及してしまって、「新しく買ってもらう」には新しい機能・新しい便利さを開発して、「買い換え需要」を掘り起こすしかなくなった。「壊れてなくても買い換えて」もらわなかったら、儲からないもんね。

うちみたいに15年とか18年とか同じものを使い続けてる客は、メーカーにとっては天敵(笑)。

二槽式洗濯機が全自動になって、確かにとーっても便利になったけど、でも二槽式にも「分け洗いが簡単」とか、いいところはあって、使ってる間は「あれが当たり前」だった。「ものすごく不便」だとは思ってなかったんだよなぁ。

今や音楽もメモリやHDDに保存、ということになったけど、それでも今でもカセットテープは健在。

うちの義母はコーラスの練習をICレコーダーに録音しているんだけど、やっぱり使い勝手が悪いので、カセットテープにダビングしたい、とこの間新しくCDラジカセを買っていた。外国メーカーのものだったと思う。なんか、外部入力端子のあるものが他になかったとかで……。

ICレコーダーはUSBメモリとしてパソコンに直接差して、録音したファイルを簡単に取り込めるようになってるんだけど、そんなことができても義母には意味がないんだな。料理しながら練習するのにいちいちPC使わないし、練習音源だからCDに焼くほどじゃないし。

私は一時期内職でテープ起こししてたけど、あれもMDよりカセットテープの方が断然やりやすいんだよね。ちょっと止めては聞き、またちょっと止めては聞き、ちょっと巻き戻しては聞き直し。

MDプレーヤーでは一時停止や「ちょっと巻き戻す」がうまくいかないので、いちいちテープにダビングして仕事してた。

DVDに録画されてるのを見て(聞いて)書き起こすという仕事もあった。PCのDVDプレーヤーソフトで再生しつつ、テキストエディタに入力する。

MDよりはましやったけど、テープガチャガチャの方がよほど「便利」。


どんどんと新しい「機能」や「便利」が開発されていく。なければないで済んでいたのに、それができたことによって「ないと不便」だと思うようになる。

あるいは、「新しい便利」によって、逆に損なわれていく「別の便利」。


18年後もまだ、世の中は「より新しい機能」「より新しい便利」を求め続けているんだろうか。