昨日の記事を書いた後で、「情報とか思考は整理したい」と言っても、「完全に片付けちゃいたいわけじゃないな」と考えた。

私は「考える」ことが好きなので、ごちゃごちゃずっと考えているためには、うっかり問題が解決するよりも、「いつまで経っても答えが出ない」方がいい。

もちろん「答え」が出ないと困る問題も色々あるけど、「でもこーゆーこともあるよね」「あ、だけどそうなると今度はこうだし」みたいに、どんどんとあちこち話が飛んで、最初考えてたこととまったく違うことにたどり着いて「そうだったのかぁ」と思うようなのが、「楽しい思考」なのだ。

あんまりすっきり「片付いて」しまうと、面白くないのである。

そうかぁ、だから私は部屋もあんまりすっきりしてない方がいいのね。

というようなことを思いつくのが楽しい。

他の人が見れば物がきちんと収納されず、あっちこっち散らばっているうちのリビングやパソコン部屋は「片付いてない」のだろうけど、私にとっては「机の上に出っぱなし」なのが使い勝手が良いのであって、それなりに「定位置」というのもあるから、これはこれで「片付いている」。

全部すっきりタンスやら引き出しやらクローゼットやらに収納して、床やら机には何も散らばってません!という「ホテルの部屋」みたいな空間は、きっと私には居心地が悪い。

そりゃ、たまに泊まるだけならいいけどさ。ずっとあれだったら、絶対イヤだな。あちこち私物で散らかってくる、というのが「生活」というもんでしょう。

世の中には「収納のカリスマ」という人もいて、女性向けの雑誌では事あるごとに「これでスッキリ!収納の裏ワザ」みたいのが特集されてるみたいだけど、みんなホントにそんなに日夜「整理整頓」に頭を悩ましているのかなぁ。

まぁ私だって、夫用の棚がぐちゃぐちゃのぎゅうぎゅうで崩壊寸前なのとか、息子の机の上がガラクタでいっぱいなのとか見ると、「いい加減片付けろよ」と思うんだけど、それはきっと、「人のもの」で「自分が使うもの」じゃないから、「捨てりゃいいのに」と簡単に思えるだけの話だろう。

自分の物は捨てられないが、人の物はすぐ「捨てれば」と言う(笑)。

人間そんなもんでしょ(爆)。

「子どもがちっとも片付けない」というのは世の母親の尽きない悩みで、子どもの方は「出したらしまう」というのをくり返しくり返し教えられるわけだけど、子どもにとっちゃ、いちいちおもちゃ箱に片付けるより、手近に散らばってる方が遊び勝手がいいに決まっているわけで。

それを母親がガミガミ言うのは、「あんたが片付けないと結局私が片付ける羽目になる」だし、「そんなガラクタ、別に私はいらないし」でしかないんだと思う。

自分は自分の「ガラクタ」を平気でリビングの机の上に置いて「ここが使い勝手がいいのよ」にしているんだから、それが「片付いている」か「片付いていない」かなんてのは、ただのわがままみたいなもんじゃないのかしらん。

自分の部屋は散らかってても平気だけど、人の部屋は散らかってると見苦しい。

人の部屋の「物」は自分には無関係で、その散らかり具合が自分にとっては何の意味もないから。

もちろん公共のスペースを「整理整頓」しておくのはマナーだろうとは思うけど。

学校で、隣の人の机にまでノートや筆箱をはみ出させてはいけないし、自分の引き出しがいっぱいだからって人の引き出しを勝手に使ってはいけない。

掃除用具は決められた場所にしまわないと、次に掃除当番になる子が困る。

「整理整頓」って、むしろ人のためにやるものなんだな。

自分は、何がどこにあるか、自分にさえわかるようになってればOKなんだから。

 

「雑然としている方がいい」というのは、前に内田センセのお話にも出てきた気がする。全部すっきり片付けちゃったら、「引っかかり」というものが生まれない。懸案事項はファイルにしまっておくより、机に広げっぱなしにして、いつでも視界の端に入れておく方がいい、みたいな。(もしかしたら内田センセは全然そんな話はしてないかもしれません。曖昧な記憶なので、間違っていてもどうぞご容赦ください)

前に「Amazonの倉庫はこうなっている」というのをテレビで見たけど、Amazonの倉庫の棚は、ものすごく雑然としているのだ。

「作家順に本が並んでいる」というのではまったくない。

「きょうの料理」の隣に難しげな哲学本が並び、その横には赤ちゃん用のおもちゃ、その隣にガンプラがあったかと思うと浜崎あゆみのCDがあり、大相撲のDVDがあり……という具合に、ジャンルも何もばらばらに、「空いた棚」にどんどんと置いていくらしい。

どの商品をどの棚に置いたか、というのは即データベースに登録するわけで、「作家順」とか「シリーズ順」とかになっている必要はないのである。

Amazonで扱う品物の数は本当に膨大なので、いちいち何かの順番とか、内田センセの本は全部固めて、とかやろうと思うともうそれだけでバカみたいに労力がかかってしまう。

「どこに何があるか」さえわかっていれば、「その並び方」なんてどーでもいいわけだ。

 

そんなわけで、うちのリビングはこれでけっこう「整理されている」のだよ、はっはっはっ。