平成の大合併のおかげで、市内の図書館が増えた。近隣の町立図書館が全部「市立図書館」になって、どこの図書館も1枚の利用者カードで利用できるようになったのである。

PC用の蔵書検索システムもなかなか充実していて、全部の図書館を横断検索できる。システム利用者登録をすると、家にいながらにして本の予約もでき、どこの図書館にある蔵書も最寄りの1館で受け取り、返却ができて、大変便利である。

なので、最初日本最大の図書館蔵書検索サイト:カーリルのことを知った時は、「それって市のシステムとどう違うの?どう便利になるの?」と思った。

だって、「全国の図書館」が検索できたって、東京の図書館に行けるわけじゃない。

市の図書館でさえ、自転車で行ける最寄りの1館しか普段は利用しないのに、隣の市とか隣の県に読みたい本があったって、どうしようもない。

そもそも図書館の利用者登録って普通、そこに住んでるかそこで働いてるかしないとできないもんね。

と思いつつ、やっぱり試してしまった「カーリル」。


これはログインしたあとの画面。まだ利用者登録していない人がアクセスするともうちょっと違う画面だったと思う。「登録してね」ボタンが出るはずだから。

登録は、GoogleIDとかYahoo!IDでできます。

検索ボックスに試しに「橋本治」と入力してみると。


発行年月の新しい順に並んでる感じ? いや、でも文庫は入ってないな。単行本&新書で新しい順かな。

私はすでに検索対象の図書館を指定してあるので、画面に出てきた瞬間から「蔵書があるかどうか」「貸し出し可能かどうか」を検索してくれます。

正直この検索はけっこう時間がかかる。検索対象にしている図書館の数や、そこのシステムの具合によって速かったり遅かったりするんだろうけど。

決め打ちで1冊だけ『橋本治と内田樹』が最寄りの図書館にあるかどうかを探すのなら、最初からそこの図書館単独のシステムで検索した方が断然速い。

ただ。

うちの市の図書館システムは「文字情報」だけで、「カーリル」のように表紙が出てきたりはしない。

「表紙が見える」というのはインパクト。

タイトルだけではいまひとつイメージが湧かないけど、こうして表紙が見えると「読んでみよっかな」って気にもなる。

Amazonと連携しているので、Amazonレビューも見られるし、キーワードや作家名だけを入れて「なんか面白い本ないかな」って検索するにはいいかもしれない。

……まぁ、先にAmazonで検索して、面白そうなのをピックアップしてから図書館単独システムで検索した方が時間は短くてすむような気がするけれど。

「カーリル」で検索して、最寄りの図書館に蔵書がない場合、「Amazonで買う」というリンクもついてるのよね。

やっぱりこれ、「逆」の方が嬉しいかも。

Amazonで検索してて、「買うほどじゃないな」と思ったら即図書館の方を調べられるというシステム。

Amazonが営利組織である以上、そんなシステムはあり得ないだろうけど。

読みたい本が近所の図書館にあった場合、リンクをクリックすれば図書館単独システムに繋がり、そこですぐ予約ができる。

ここの連携は速かった。

シームレスに繋がっていた。

なので試しに内田センセの『現代霊性論』『他者と死者』を予約。『現代霊性論』は貸し出し中だったけど、『他者と死者』は貸し出し可能のものがあったので、最寄りの図書館へお取り寄せ予約。

で、早速今読んでいるというわけです。

これまでにも図書館単独システムで何度も内田センセの本は検索しているんだけど、「カーリル」で検索したら最近発売されたばかりの『現代霊性論』がすでに市内の図書館に入っているということがぱっ!とわかったのですね。

『他者と死者』の方はタイトルだけは何度も見ていたんだけど、副題が「ラカンによるレヴィナス」で「難しそう」だから、これまでは借りずに来た。

それが、「カーリル」で表紙が見えて、Amazonレビューも見られて、「借りてみよっかな」と。

すでにタイトルを知っていて、「読んでみたい」と思っている本を検索して予約するだけなら図書館それぞれの個別のシステムを利用した方が速いけれど、「まだ知らない本」に出逢うのは、「カーリル」の方が優れているかもしれない。

実際に図書館に行って、ぶらぶらと書棚の間を歩き回れれば、それに越したことはないような気がするけれど、図書館の棚には「貸し出し中」の本は置かれていない。

人気のある本で、予約が詰まっていてずーっと貸し出し中だった場合、ぐるぐる棚を回っているだけでは「そんな本が存在する」ということに気づけない。

「カーリル」では「今話題の本」という、Amazonのベストセラーと連動したタブもあるし、アクセスした時にランダムに検索ボックスに「脳」とか「旅行記」とかいうキーワードがセットされてくる。

自分では興味がないと思っていても(つまりは自分ではそんなキーワードでは検索しないとしても)、そういう「カーリル」の仕掛けにうまく乗ることで、意外な「本との出逢い」をすることができるかも。

あと、「読みたい本リスト」「読んだ本リスト」も作れる。


新刊本なんかだと、リストに登録した時点では最寄りの図書館に入ってなくても、その後「蔵書」になる可能性が高いので、チェックするメリットがある。

うちの市の図書館単独システムには「検索履歴」のようなものは確かなかったと思うし。

「家」の最寄りの図書館と、「職場」の最寄りの図書館と、複数「利用者カード」を持っているような人には、市や県をまたいで横断的に検索できるというのはメリットだよね。

私のこの「読みたいリスト」、一番右端は「滋賀県立図書館」で、さすがに「県立」は蔵書が多くて色々あるんだけど、いかんせんこれは「最寄りの図書館で受け取る」ができない。

いや、最寄りの図書館に歩いて行って、「リクエスト票」を手で書けば取り寄せてくれるんだけど、PCシステム上では実現してないの。

県立図書館の検索システムで予約する場合、受け取りは「県立図書館」しか選べないんだよね。

うちから県立までは、片道1時間くらいかかるんで……。

家にいながらにしてPCで「最寄りの市立図書館で受け取る」予約ができたら超便利なんだけどなー。

まぁこれは、「カーリル」とは関係なく、滋賀県の図書館システムの問題なわけですが。

ちなみに「カーリルの中の人が語るカーリルの裏側」。

中の人、若いっ。すごいっ。

さらにちなみにカーリルの公式Twitterはこちら。質問、要望等受け付けてくれます。

新しい機能も開発中ということで、本好きには期待大のサイト。

皆さまも一度アクセスしてみてはいかがでしょうか♪

★2013/02/28追記★

上の本文で

やっぱりこれ、「逆」の方が嬉しいかも。Amazonで検索してて、「買うほどじゃないな」と思ったら即図書館の方を調べられるというシステム。

と書いた機能を実現してくださった方がいました!

「その本、図書館にあります!」というChromeの拡張機能を作ってくださった方が。

詳しくはその方のblogを参照してくださると良いのですが、Amazonで本を検索すると自動的に図書館にあるかどうかも検索・表示してくれるという拡張機能。

早速私も使ってみましたが、カーリルのAPIを利用することで蔵書のあるなし・貸し出し中かどうかがAmazonサイトの中に表示され、そこからカーリルへ飛んでさくっと予約できちゃいます。わお!

活字中毒者にはたまらない便利な拡張機能、ぜひお試しあれ♪