※以下ネタバレあります!これからご覧になる方はご注意下さい!!!



遅ればせながら、Vシネマ『仮面ライダーエターナル』を観ました。

『A to Z 運命のガイアメモリ』を観た時に「NEVER」の設定は面白い、ぜひスピンオフを見たい、と書いたのですが。

まさか本当にやるとはなー(笑)。

いや、予想通りなかなかよく出来てました。なんと言っても生身のアクションがかっこいいしねー。アクション物好きにはそれだけでも見る価値ある。「ライダー」としての出番は少なめなので、『仮面ライダーアクセル』同様小さい子はつまんないかもしれません。

でももともとの、石ノ森さんが描いた「仮面ライダー」というヒーロー像にはエターナルが一番近いよね。

「改造人間」であることの悲哀。

一度死んだ人間。なんとか酵素ってのを打ち続けなければ死体に逆戻りしてしまう存在。

彼をそのような「存在」にしておいて、有望でないと見れば切り捨てる「財団X」。

ショッカーに改造された仮面ライダーはショッカーに刃向かい、「人間」の側に立って闘った。

人間達によって改造され、人間達によって「不要」とされ、人間達によって「死体のくせに」と嘲られる彼らは、誰と闘えばよいのか?

『A to Z』で風都を破壊しようとした大道克己。なぜ彼はそんなことをするに至ったのか? 今回のVシネマではその前段が描かれる。

NEVERの紅一点、レイカが初めて参加した作戦(NEVERは資金集めと自分たちの能力誇示のため傭兵として闘っている)で克己達は超能力戦士ミーナと出逢う。

ミーナの背後にはドクター・プロスペクトという人物がおり、さらにその背後にはやっぱり財団Xが。克己とレイカは「ドクター・プロスペクトの実験材料に」ということでヴィレッジという施設に連れていかれる。そこには全世界から超能力を持った人間が集められ、スペックの高い者はミーナのような戦士に、低い者はあっさり処分される運命にあった。

「おまえを倒せば戦士に取り上げてもらえる」とみすぼらしいなりをした超能力者達が克己に襲いかかる。

……「全世界から集められた」って説明してたと思うけど、みんな全然日本語(笑)……。

……最初に傭兵としてなんかテロリストのリーダーやっつけよう作戦してたのが確か「東南アジアS国」みたいに書いてあって、そっからヘリでバラバラバラ~っとヴィレッジに連れて行かれたんだけど、ドクター・プロスペクトも普通に日本人だし……。

それはともかく。

「おまえらそんな力持ってんのになんで刃向かわねぇんだよ」という克己。大変ごもっともですが、ヴィレッジの上空には電磁パルス発生装置みたいのが浮いてて、脱走しようとすると殺られちゃう。そしてドクター・プロスペクトも「アイズ(eyes)」というガイアメモリでドーパントになるので、一人一人はそんなにスペックの高くない下っ端超能力者達では太刀打ちできない。

「鎖に繋がれて当然、って顔してるヤツには反吐が出るぜ」ってなことを克己は言います。

最初にミーナと会った時、「嫌々戦ってるヤツを殺しても面白くない」なんて言って彼女の内心の苦悩を感じ取っていた克己は、この時はまだけっこう「いい奴」なのです。自分では悪ぶっているし、「NEVERになる前の記憶や感情がどんどん抜け落ちていく」という風に言ってはいても、まだけっこう「感情」が残ってる。

だから、ドクター・プロスペクトの実験材料に甘んじている超能力者達に、「生きてるんだろ、おまえらはまだ! 死人の俺の方が懸命に明日を求めてるってなぁどういうわけだ!」と叫ぶ。

ここは作品のテーマが凝縮されたシーンで、じーんと来ます。

生きていると、「生きている」ことの奇跡に気がつかない。

自分が今ここにこうして存在することをあまりにも当たり前に受け容れていて、あまりにも当たり前に明日が来ると思っていて。

本当はもう死んでしまっているNEVER。酵素が切れたらすぐに死体に逆戻りのNEVER。「生きている」ように見えても、常に自然の世界、人間の世界との違和を覚えずにはいられないNEVER。

「過去が消えていくなら、俺はせめて明日が欲しい」

まだ、この物語の時点では、克己は明日を求めていた。希望を求めていた。

ミーナや超能力者達をヴィレッジから解放しようと克己達は戦って、でも「助けたつもりが殺していた」。ガイアメモリの力によって、ヴィレッジから外へ出ると死ぬようにあらかじめ仕組まれていた。

(……ここはなー、もうちょっと早くエターナルが「アイズ」メモリをブレイクできてたらそれでOKだったんだろ、と思うのだが。エターナルはガイアメモリを無効にできる、とかいう設定もあったよね……。それにミーナだけ“実は死んでなかった”っていうのも、どういう理由で生き残れたのかが……なんでなん?……)

「俺としたことが忘れていたぜ。人は皆、悪魔だということを」

ミーナ達を助けられなかったことで克己の中に残っていた「良心」がついにブチっと切れて、財団Xやミュージアムに「目にもの見せてやる!」という想いだけが膨れあがっていく。

で、『A to Z』での「風都破壊計画」になる。

『A to Z』見た時に、「結局この人(=克己)は何をしたかったんだろう?」って思ったんだけど、ようやく納得がいった。

風都はミュージアムの箱庭=実験場だった。

ガイアメモリを製造・流通させるミュージアムが悪の根源なのはもちろんだけど、でもそのガイアメモリを嬉々として使っていたのは風都の人間達。手っ取り早く“力”を手に入れようとして、自ら進んで実験台になっていた。

もちろん風都の人間全員がガイアメモリに手を出してたわけじゃないし、手を出した人間も「そんなとんでもないものとは知らなかった」のかもしれない。人々はミュージアムを知らなかった。自分たちがまさか実験材料にされているとは。

知らないことの罪。

知っていたとしても、闘おうとする者はどれほどいるか?

『A to Z』の最後で、風都の人々は仮面ライダーに想いを託し、その祈りが「風」になって仮面ライダーWはウスバカゲロウみたく羽根が生えてエターナルをやっつけられたわけですが。

『オーズ』の中に出てきた、「都合のいい神様」という言葉。自分では闘わない、誰かが助けに来てくれるのをただ待つ勝手な人々。

ああ、克己はミュージアムだけじゃなくて、そんな「人々」にも腹を立てていたのかな、と思った。

弱い自分に安住して、そのくせNEVERやドーパント(どちらも元は普通の人間)といったものには平気で「怪物」という言葉を投げつける無邪気な人々。

おまえら、こんなもんの実験台にされてたんだぞ、何も知らずにのうのうと生きやがって!……ってことだったのかと。

考えてみれば、「仮面ライダー」が人間の味方につかなければならない理由はないわけで。

果たして「人間」は守るに値する生きものなのかというね。

「キャシャーン」でも、人間のために戦ってるのに人間はキャシャーンのことを「おまえもロボットだろ!」って目で見るでしょう。そんな連中のために命を賭けて戦うなんて、考えたら馬鹿馬鹿しい。

「人間」でありたかったからこその、克己の怒りだろう。


で。

克己克己言うてますが、NEVERでの私のお気に入りはレイカ=八代みなせちゃんです(笑)。

いやぁ、なんか好きですわ、彼女。

レイカの役どころも好きだし、顔もけっこう好き。

自分が運動音痴なので、アクション美女というのは憧れるんだよねー。格闘の腕を克己に見込まれてNEVERの一員に入れてもらったぐらいですから、今作でも魅力はたっぷり。克己と一緒にヴィレッジに連れ去られるのがレイカだっていうのはやはり、監督の趣味&視聴者サービスでしょう(笑)。

まぁレイカはNEVERになってすぐ、という設定で、この事件をきっかけに克己や他のメンバーと絆を結んでいく……という感じだからね。

「おまえら生きてるんだろ!」で克己を信頼し、おそらく「ついて行こう」と思ったのだろうに、すぐに克己は「悪魔みたい」になっちゃって……レイカかわいそ。『A to Z』では克己に「おまえの代わりはいくらでもいるんだ!」とか言われて「ひどい…」って死んでいっちゃったもんなぁ。

初めてNEVERの戦闘を見て「すご!」と感嘆した後自分も闘って「あたしもすごいじゃん」っていうとこ、須藤元気さん扮する「変なおっさん」京水とのやり取りも楽しく。

須藤さんのオネェキャラは今回も全開。暴走するアドリブ(笑)。

「あたしの方がおっぱいおっきいわ!」って。

しかも「大事なことなので二度言いました」。いや、3回くらい言ってた??? フイタよ、ほんま。

「変なおっさん」演技がうますぎる。

今回NEVERのメンバーがもとはどんな人だったのか、っていうのもちょろっと描かれてて。

みんな克己にスカウトされてるんだよねー。

そしてNEVER候補なので、殺されるまで待たれる。

……見てるんなら助けてやれよ、なんだけど、一回死んでくれないとNEVERにはなれない・できない、っていうのが。いや、ホント面白いね、この設定。

レイカに「おまえは当たりだ!」って言ってるところを見ると、「はずれ」だった人もいたのでしょう。NEVERにしてみたものの、戦闘能力その他の理由で切り捨てられた「はずれ」の人達が。

ちなみにうちの息子ちゃんはメンバー中もっとも無口で「おまえもなんか喋れよ!」と言われている賢さんがお気に入りらしい。『A to Z』ではトリガー・ドーパントになる人。「変身後も変身前もかっこいい」と。

あと。

財団Xのかずじゅん(漢字だと確か加頭順だけど、私の中では数順、numberなイメージ)がけっこうなご活躍。エターナルに最初に変身するのは彼なんだよねー。

W本編時点でなぜ彼がNEVERだったのか、その理由もわかる。

無表情・無感情な役柄とは違って中の人はおもろい人だというのもメイキングでわかる。

Wチーム、翔太郎&フィリップ&亜樹子もちゃんと出てきますが、どーでもいいです(笑)。花束を投げるシーンはWオープニングへのオマージュということでカッコいいけど、セリフはちょっとクサすぎ。

フィリップじゃなきゃ言えないセリフだよな-。

『オーズ』見てから『W』見ると翔太郎&フィリップの「相棒」ぶりもなんか、全然どーでもよくなっちゃって(笑)。亜樹子ウザいし。

『W』本編の最後の方で財団Xの携帯端末にオーメダル情報が出てきてて、鴻上ファウンデーションにも投資してるっぽい伏線(?)があり。

『W』以降の作品には全部財団Xが絡んでいて、10作品溜まったら10人ライダー勢揃いで財団Xを倒す話作るとかいう……ないかな?

Xって10だし、ディケイド一区切りがあったみたいに、次の10作でまたなんか「勢揃い」企画ありそうやん。

その時は何らかの方法でまたかずじゅん出てきてほしいな(←意外に気に入ってる)。


主題歌はSOPHIAの『cod-E~Eの暗号~』ですが。

ジャケ写見て驚いた。


NEVERなSOPHIA!

松岡さんホントに克己役気に入ってるんだね。

次は劇場版エターナル、とか言ってたけど、さすがにもう1個話作るのは難しいでしょ。このVシネと『A to Z』の間にどれくらい時間が流れてるのかわかんないけど、そもそもエターナルメモリが……。


ところで『バース』のVシネ製作発表はまだですか?