はい、ショーの方です。

こちらは素直に楽しめました。

来年の100周年に向けて、99周年目から色々やりましょうということなのでしょう。これまでのレビュー作品へのオマージュというかいいとこ取りというか。

すでに故人であられる5人の演出家の先生を偲ぶ構成になっています。

ちゃんと先生方の顔写真が舞台上のスクリーンに映し出され、それぞれの方の作品の舞台写真もいくつか紹介されます。白黒だし、知らない時代の作品のものもあるし、1階の後ろから3列目ではあまりはっきり見えませんでしたが、それでも紫苑ゆうさんや大浦みずきさん、大地真央さん、真帆志ぶきさんといったスターさんはわかりました。

ああ、我が青春の宝塚よ!

いや、大地真央さんも真帆志ぶきさんも、舞台を拝見したことはないですけども。

最初、幕開きがいわゆる「チョンパ」なんですよね。開演前に照明が全部消えて、次にパっとついた瞬間、生徒さんがずらりと板付きになっている。

その華やかさ、きらきらしさに思わず「わっ!」という歓声が場内に上がります。

「掴みはOK!」スター総出演のプロローグのあと、一人目の先生は内海重典さん。それぞれの先生に「ムッシュ・ディニテ!」とか「ムッシュ・シャラール!」とかフランス語でキャッチフレーズつけて叫んでくれるんですけど、はっきり聞き取れない上に、フランス語わかんないよ(笑)。あとからプログラム見て「ああ、ディニテって叫んでたの。気品って意味なの」とわかるという。

内海先生は、私が見始めた時にはまだご存命でいらして、演出された舞台を見たこともあると思うのですけど……具体的に作品名はわかりません。Wiki見ても古い作品しか掲載されていないし。

今回使われているのは1977年『ザ・レビュー』、1965年『ラ・グラナダ』。もちろんどっちもオリジナルは見たことないので、どれくらい初演の振り付け等を活かしているのかわかりませんが、スパニッシュなグラナダのシーン、素敵でした。

2人目は横澤英雄先生。

横澤先生の作品は『ザ・モダーン』や『白扇花集』といったショー作品、バウ公演の『サタディナイト・ロマンス』等、いくつか生で拝見しています。

今回は1975年の『ボン・バランス』と1982年『ザ・ストーム』。『ザ・ストーム』の祈りのシーンは、衣装といい、人の出方といい、「あー、これ知ってる」という感じがとてもしました。『ザ・ストーム』自体は見てないけど、よく使われるイメージというか、私が見ていた時代のショー作品にも似たような場面があったなぁ懐かしい、という。

3人目は高木史朗先生で1963年『タカラジェンヌに栄光あれ』と1960年『華麗なる千拍子』。『華麗なる~』はトドちゃん(轟悠)の再演で見ました。「リオのリズム」のシーンが、今回の中詰めです。

果物をイメージした衣装のスターさんが浮き立つリズムに乗って入れ替わり立ち替わり♪ いや~、ホントに思わず体が揺れてしまいます。トドちゃんも演じたダルマ衣装の「パイナップルの女王」を凰稀さんが!

男役さんって、細いよね~~~~~。実は娘役さんより細い(ことが多い)。

スラっとしたおみ足、美しかったです。美形だし、似合うよね。もう少し歌がうまければもっといいんだけどなぁ。

4人目は小原弘稔先生。

小原先生と言えば「メイフラワー」! 「メイフラワー」と「レビュー’90」の小原先生2本立て公演は2回見たはず。まだまだ素敵な作品を作ってくださるはずだったのが、60歳の若さで急逝なさってしまったのですよね…。まだ私がどっぷり宝塚につかっていた1994年に。

取り上げられたのは1981年の『クレッシェンド』と1986年『メモアール・ド・パリ』。ナツメさん(大浦みずき)が踊った「パッシィの館」の場面を朝夏さんが踊ります。

そしてそして、最後5人目は鴨川清作先生!

『ノバ・ボサ・ノバ』ですよね。鬼才と呼ばれた鴨川先生の作品からは1973年『ラ・ラ・ファンタシーク』より「愛の宝石」(繰り返し使われている名曲)と1967年のあの『シャンゴ』!!!

芸術祭奨励賞を取ったという伝説の作品『シャンゴ』。小学生の時持っていたタカラジェンヌの伝記マンガの中にも出て来たあの『シャンゴ』!

榛名由梨さん、鳳蘭さん、安奈淳さん、汀夏子さんの伝記を少女漫画にしたやつ(確か集英社マーガレットコミックスだった)があって、その中に裸足で踊る『シャンゴ』のエピソードがあったんですよ。しごかれて足にまめができ、そのまめが破れて血が出て……もう手元にないので間違ってたら申し訳ないですが、『シャンゴ』の初演は安奈淳さんなので、漫画に出て来たのは確か。

『ノバ・ボサ・ノバ』は再演されましたが、『シャンゴ』は完全には再演されてませんものねぇ。

いやぁ、「シャンゴ~フィナーレ」の場面、良かったです。血が騒ぐ感じ。

その前の「Sometime I Feel Like a Motherless Child」の場面も!

ここのソロ歌手の歌が絶品!誰!?と思ったら美穂圭子さん(専科のお姉様)だった。そりゃうまいわ。

美穂さんの素晴らしい歌に乗り、凰稀さんと緒月さんの裸足のデュエット。緒月さんが女役。

緒月さんのあの、他の生徒さんとは少し毛色の違う雰囲気、明るく大らかでどこかクラシカルな感じがけっこう好きなんだけど、ここの女役のダンスも素敵でした♪

ちゃんと寄り添う時には凰稀さんより小さく見えるように、たぶん少し膝曲げて立ってて、おおっ、と思った。本当は身長ほぼ同じくらいなのに(むしろ緒月さんの方が少し高いくらい?)。

群舞も大好きですが、こういう色の濃い裸足のデュエットはいいですね~。好きだわ。

エピローグでは男役燕尾の大階段が「愛!」のボレロ。以前寺田瀧雄先生のコンサートの時だったかに真帆志ぶきさんがこの歌を歌ってらして、すごく感動したんですよね。その「愛!」がボレロ編曲で、燕尾服の男役さんがそれぞれ一輪の薔薇を手に大階段で!!!

これぞ宝塚でございます。

痺れるわ。

大階段グランドフィナーレでも過去のレビューの名曲を歌い継ぎ。

中に、「世界はひとつ~♪」があってびっくり。え、これ宝塚ファミリーランドの大人形館のテーマ曲やん!?

プログラム見たら、1967年にその名もずばり『世界はひとつ』というタイトルのショー作品があったらしい。そうだったのか……(今、寺田瀧夫先生メモリアルコンサートのDVD引っ張り出してきたらちゃんと「世界はひとつ」歌ってはるわ~。内海先生のショー作品だったらしい)。

どんなショーだったんだろう。あの大人形館のように、世界のお祭りを巡るような作品だったのかなぁ。お人形さんが宝塚レビューを踊るという、最後出口のところはそのまんま大階段でお人形さんが羽根しょってシャンシャン持ってた大人形館。

ああ、今は亡き……。

「世界のお祭り巡り」って、今でも十分ショーのネタになりそうだけども。主題歌「世界はひとつ」でやればいいのになぁ。

そんなわけで、オールドファンには楽しいショーでした。

オリジナルの音楽は寺田瀧雄先生、吉崎憲治先生、中本清純先生ですが、昔の曲って、なんか血が騒ぎます。もちろん、よく使われて馴染みがあるせいもあるのでしょうけれど。

最近の曲はちっとも耳に残らなくて……ええ、年取ったせいだとわかってはいます。昔みたいに同じ公演を何度も観るわけじゃないですし。

今の人からしたら「古くさい音楽」かもしれないし、今回のショーも、若い人が観てどうなのかは私にはわからないのですけど。

 

昔といえば。

昔はオケがもっと「オーケストラ」で、良かったですよね。

今はお金の問題か編成が貧弱になって、シンセサイザーの音が多くて。

安っぽい。

生演奏でミュージカルやショーを見せるって、なかなか他ではないことなので、オケの生演奏は宝塚の大きな魅力の一つなんですが。せめて100周年の記念公演ぐらいはもう少し大編成のオケで聴かせてくれないかしら……。

記念公演って、何やるのかまったく知りませんけど(やるよね?もちろん)。

 

「この歌誰!?」と思ったら専科さんだったけど、エトワールの子(美風舞良さん)はとてもきれいな声だったし、ヴィルフォール夫人役の純矢ちとせさんもカゲソロしてはって。

何人か歌唱力有望な娘役さんがいらっしゃる感じ。

純矢さんは途中で娘役に転向しているのね。なるほどヴィルフォール夫人の「どーん!」とした悪女っぷりは男役の経験が活かされてるのかな。いわゆる「ジャンヌ役者」、ジュンベさん(洲悠花)やこけしさん(花愛望都)みたいな大人の女ができる娘役さんとしてがんばってほしいな…って、あれ、もしかしてもう研10…?

退団したりせずに、長めに頑張ってください。

 

男役さんは、私は緒月さんのあの雰囲気が好きなので、緒月さんにも末永くがんばっていただきたいです。悠未さんのあの声と、ワルの似合う雰囲気もけっこう好みだけど、悠未さんももう研16???

うちの母は「悠未さんがトップになるかと思ってたのにねぇ」と言ってましたが……。

 

ともあれ、『Amour de 99!!』はもう1回観てもいいな~と思える公演でした。もう1回、今度はもっと前の方のいい席で観たいわ(笑)