2013年8月12日月曜日

『日本人の知らない日本語4 海外編』/海野凪子&蛇蔵



大人気コミックエッセイ、シリーズ第4弾です。

(第2巻の感想はこちら、第3巻はこちら。1巻目の感想はblogに書いていないっぽい)

3巻の最後の袋とじ附録で書いてあったように、4巻目は海外編。凪子先生と蛇蔵さんがヨーロッパの日本語学習事情をレポートしてくれます。

「日本語」の話題より「文化・風習」的な話の方が多いような感じですが、しかしベルギーのゲント大学では『養生訓』を原文で読む授業があるとか、イギリスでは「日本語の授業がある中学校も多い」という話には「へぇーっ!」となってしまいます。

世界の国々で日本語がどんなふうに学ばれているかなんて、知る機会はほとんどないですもんねぇ。

フランスで日本のアニメ・コミックが人気なのは有名だけど、ベルギーでも日本のマンガは人気だそうです。「なんで日本は常用漢字に含まれない字を新聞でさえひらがなにするんだ!漢字の方がわかりやすいのに!」って、ベルギーの学生に言われちゃって…。

すいません。

私もあれは読みにくいからやめて欲しいと常々思ってます。そりゃ、漢検1級とかのアクロバティックな読み方は使わない方がいいでしょうけど、「漏洩」を「漏えい」と書いたりするのはねぇ。かえって読みにくい。。

小学校の教科書とかはその学年までに習ったとこまでが漢字で、あとがひらがなだからどうしても熟語が漢字かなまじりになるけど、先生も黒板書く時、「あれ?この字はもう習ってたっけ?」と混乱するらしい(教師の知人談)。

あれも、習ってない字にはふりがなつける方がいいように思うんだけど。

ベルギーの学生さんが考えた「新漢字」、「ジオン軍」っていうのがあって面白かった。漢字一文字で「ジオン軍」。その発想はなかった(笑)。

ベルギーって言われてもとっさに何も出てこないぐらい知らないのに(フランドル絵画はどっちかっていうとオランダの方だっけ???)、ベルギーでは日本のマンガが人気でジャニーズファンもいて、大学では貝原益軒とか……。

ありがとうございます。

貝原益軒は院生クラスということで、日本だと大学でシェークスピアを古英語で勉強する、という感じなのかしら?

いや、今ググったらシェークスピアは「初期近代英語」で「古英語」ではないらしいですが……。

英語が母語だからと言ってシェークスピアがすらすら読める・わかるか、というときっとそんなことはないんだろうと思うんだけどどうなのかしら。だから日本人が普通読まない『養生訓』を外国の学生が読んでいても「それはそーゆーもん」と思ったりもするのですが。

限られたエリートが大学院で「学問」として日本語を学んでいるということよりも、「日本語の授業がある中学も多い」の方がむしろすごいような。

それだって、もしかしたら「限られたエリートの中学校」かもしれないし、イギリスの場合母語が「英語」で、「外国語」は「英語以外」になるから、選択肢が広いだけかもしれない。

日本だと、とにかく「外国語教育=英語を教える」って感じでしょう。

難関エリート中学校では中国語やポルトガル語を教えたりしているのかしら。

滋賀には日系ブラジル人の方が多くて、幼稚園や小中学校にもブラジル国籍の子ども達がけっこういるのだけど、だから「ポルトガル語を学ぼう!」みたいなことはあまりやられてないような。

せっかく身近に生の外国語を話す人がいるのに、「外国語」と言えば「英語」、「グローバル」と言えば「英語」で、他の外国語に触れる機会が極端に少ないのはどうなんでしょう。

「英語」以外にまで手を広げる余裕なんてないよ!っていうのは、まぁ、わかるんですけどね。

中学から一応8年ぐらいは学んだはずの英語、ろくに身についてない人間が、「他の言語も!」とか言っても説得力ない。

でもね。

4月からちょっとした出来心でラジオロシア語講座聞いてるんですけど、「ロシア語に比べれば英語全然わかる!」って嬉しくなりますよ。日本の英語教育も捨てたもんじゃない!って(笑)。

それに、「日本語は主語がない」とか、色々言われる時にやっぱり「英語と比べて」の話が多いと思うんだけど、ロシア語では主語が省略されることもあるし、格変化がきっちりしてるから語順はわりとテキトー(というわけでもないんだろうけど)で、冠詞もなくて、「英語が標準的な言語で、あとはみんな標準からはずれた変わった言語」というのは嘘だとわかる。

もちろん、偉い人(?)は「グローバルなビジネスには英語が不可欠」と思っているだけで、それが言語として「標準的」とか「学びやすい」とか思って選んでるわけじゃないんだろうけど。

世界で日本語を学んでくれている人たちの話を読んでいると、「こんな辺境の、グローバルでもなんでもない言語を学んでくれてありがとう」と思うし、こっちはそちらの言語や文化をろくに知らなくてごめんなさい、という気になります。

高校までの教育の中で、英語以外の言語に触れる機会がもうちょっとあってもいいんじゃないかな、と。

英語は苦手だけど中国語は面白い!と思う子も中にはいるかもしれない。

……授業数が増えるだけ、先生の手間が増えるだけ、ですかね……。

……義務教育ではまずは「日本語」だろ!って話も……。

あと、これは前にも書きましたが、日本って「国家」としてどれくらい、外国での「日本語教育」を支援しているんでしょう。

たとえば中国は国家として「孔子学院」を設立して、中国語や中国の文化を広く海外に知らしめようとしている。

そのやり方には批判もあるようですが、「国家戦略としての日本語教育」を考える上で、見習うべきところもあるのでは。

世界の人が日本語をたくさん学んでくれて、日本語が「グローバル」になったら。

無理に英語の勉強しなくて良くなるのにね……。

まぁ、たとえ日本語が「グローバル」になっても、中学や高校のカリキュラムから「英語」がなくなることはないでしょうけど。


ともあれ。

4冊目も楽しかったです。

何語であれ、言葉って面白い。

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