前の記事で書いたとおり、何を血迷ったか昨春からロシア語講座を聞いています。

きっかけはNHKの「マイ語学」というサイトがオープンしたことと、息子ちゃんが基礎英語を聞き始めたこと。

じゃあ私もなんかやるかなーと思って、ロシア語を選びました。

数年前には何を血迷ったかテレビ中国語講座を見てました。1年やって、諦めました(笑)。

ホントだったら「よし!もう一度中国語に!」となっても良かったのですが、そうはしないでふらふらと違う言語に行ってしまうのがさすが私です。

でも実は、「もう一度ロシア語」だったりするのですよね。大学生の時に、何を血迷ったかロシア語の授業を少し受けていたのです。

だから、岩波ロシヤ語辞典とか持ってたりします。

Amazonさん見たら、今は「ロシア語辞典」になってますね。私の持ってるのは「ロシヤ語」。しかも今のヤツ8,820円もする!



手元のものは「定価2700円」となっています。8000円もしたら、買ってなかったかも……。

第二外国語としてはドイツ語を選択していたのですが、友だちに誘われたんだったかなんだかで、教養科目として開講されていたロシア語初級を受講したのですよね。

若い男の先生で、雑学的なお話の多い非常に楽しい講義だったので引き続き後期もロシア語取ってみたら今度は年輩の先生が地味ぃに訳読をする講義で……。いや、もちろん前期と先生のお名前が違っているのは承知の上で受講したのですが、あまりの落差に……。

でもちゃんと最後まで出席して単位もらいましたよ!真面目だった、私(笑)。

大学では韓国語の初級講座も受けたんだけど……なんで受けたんだろ。まるで語学好きみたいじゃないですか。

語学、別に好きじゃないんですけどね。英語も全然得意じゃない。得意じゃないどころか、よく文学部受かったね、ぐらいの能力しか。

まぁ高校レベルの訳読なら当時は大丈夫でしたが、「日本の英語教育ではちっとも話せるようにならない!」の典型例で、まったく喋れない。ゆっくり話してもらえれば聞き取りはできる気がするけど、何か質問されても返事はできない。

根っからの活字人間のせいか、日本語でもアクセントとか音声部分は苦手だし。

日本語学専攻だったから講義でアクセントの話とか出るわけですが、どこが高いとかわかんないですよ。もちろん真似して発音することはできるんだけど、意識的に分析することができないというか「高い」の意味がわからんというか……。

ン十年ぶりにロシア語の勉強を再開した今も、話せるようになろうなどとはさらさら思っていなくて、覚えようとすら思っていない節が(苦笑)。

じゃあなんでラジオ講座聞いてるの、テキストまで買ってるの、と言えばそれは単純に面白いから。

大学の時にハングルをかじったのもそうだったのかもしれないけど、「知らない文字」って面白いじゃないですか。読み方がわかるだけで、ちょっとした暗号を解いた気分というか。

ちょうど最初にロシア語に触れた時分に「シルクロード博」があって、ソクラテスの胸像が展示されていたんですが、「ソクラテス」っていう名前が刻んであるその最初が「С」だったんですよ。英語だと「CO」で「ソ」とは読まないけど、ロシア語なら「СО」で「ソ」。

おおっ、読める!読めるぞ!!!

(今ちょっと調べたらギリシャ語でソクラテスを綴った場合最初はΣですね。あれれ?何語で刻んであったんだろ。「ラ」のところの「ΡΑ」で感動したんだったかしら。なにぶん昔のことなので記憶が捏造されてるかも…。ちなみにロシア語で「Р」は「R」の音なのです)

ソ連時代、バレーボールとかでソ連代表のユニフォームには「СССР」と書いてありました。

まだキリル文字なんか知らない時代には「しーしーしーぴー」としか読めなくて、どの辺が「ソビエト」なのだろうかと思っていたわけです。

あれは「しーしーしーぴー」じゃなくて「えすえすえすあーる」だったのか!と、それだけのことが初学者には嬉しいものです。

ちなみに「СССР」は「Союз Советских Социалистических Республик」の略だそうで、二つ目の「С」が「ソビエト」ですね。

別に話す気がさらさらなくても、知らない文字が読めるのは面白いし、「この言語ではこういう発想なのか」というのも言語学的に面白い。日本人は「外国語といえば英語」という意識が強いと思いますが――そして英語に比べて日本語は主語がなくて云々となぜか「英語」をスタンダードにして文法を考えたりしますが。

他の言語を二つ三つかじると、「なんだ、別にそんなことないじゃん」って思えます。

ロシア語は固有名詞まで変化するので涙目になりますが、印欧語では格変化がそれなりに色々あるのが普通で、格変化がほとんど失われてしまった英語の方が「変わった言語」のような。

あと、「日本人は中学高校と6年習ってもちっとも英語ができない」と言ってやたらに英語教育が批判されますが、他の言語をちょっとかじってみると、「ああ、英語全然わかる!6年間無駄じゃなかったよ!」って気分になれます。

話せないけど、英語、読むのはなんとなくわかるから。高校の定期テスト程度の長文なら、まぁ一応大体の意味はわかるわけで。

中国語も韓国語もロシア語も、5行はおろか1行だって読めない。ちょっと初級編をかじったぐらいじゃ、あまりにも知ってる単語が少ない(しかも覚えられてない)。

日本の「文法中心、喋れるようにならない」英語教育も、捨てたもんじゃないですよ。黒田センセも『ポケットに外国語を』の中で

場面に応じて自分に必要な分を作る。文法はそのための方法を教えてくれる。臨機応変が求められる旅行会話は、文法なしでは手も足も出ない。海外旅行こそ文法が大切になってくる。 (P107)

とおっしゃっています。

……文法それなりに知ってても、とっさに臨機応変に英語が口をついて出て来るなんてことは確かにないですけども……。

ちなみに、学生の時に受講した楽しい「ロシア語初級」講座で使ったテキストは、英語によるロシア語入門書でした。「日本語での入門書はいいヤツないんだよねー」ということで。


7.95ポンドという値札。見返しに2700とかいう数字が書いてあったので、2700円で買ったのかもしれません。

別に英語が得意でも何でもなかった当時の私にとっては「ぐええ」という感じではあったのですが、でも最初の方は今見ても「なるほどわかりやすいな」という気がします。日本語と対比するよりも英語と対比する方がピンと来るかも、と。

もちろん、ごくごく最初の方だけなんですけどね。文法事項が難しくなるにつれ英語の説明も難しくなってわからない……。

ちなみに第1課の文法事項はこんな感じ。

動詞の活用ですね。

「Я играю」=「I play,I am playing」となっているのが日本語訳よりもわかりやすい気がする。

現在形で「進行形」も表すよ、ってところが。

1課では他に「名詞の性」と「前置格」と「ロシア語には冠詞がない(これは嬉しいよね~!)」「現在時制ではbe動詞はいらない(これも助かる)」「人称代名詞」についての説明があります。

全28課ですが、前期だけの講義だったのでおおむね11課までと、あと飛び飛びでいくつかやっただけ。文法だけで練習問題等やってない個所も多く、2700円のうち700円ぐらいしか利用していません。

今から独学でやれば……しかし説明が英語……。うーん、「日本語対比よりわかりやすい部分もある」とはいえ、ロシア語の勉強のためにまず英語の辞書をいっぱいひかねばならぬぞよ……。

ちなみにこの入門書、新しい版はAmazonさんで買えます。(Kindle版)



2,602円。ン十年前に買ったのと大差ない値段ですね。

現役の大学生だった頃はまだしも、今となってはやはり日本語での入門書の方がありがたい(汗)。



まぁ、ロシア語もいつまで続くかわからないんですが、話せるようにならなくても、すぐに忘れてしまっても、新しいことを知るのは面白いものです。

来期のロシア語講座も黒田センセだったらいいなぁ。そしたらきっと続けられる…(笑)。