以前ご紹介した、NHKのことばおじさんこと梅津アナウンサーによる「ことば」本、『「サバを読む」の「サバ」の正体』の続編です。

以前の記事で「単行本には続編がある」と書いていたのですが、その続編がめでたく文庫になりました。

体裁は「サバを読む」とまったく同じで、一つ一つのトピックは2~3ページという短い分量、ユーモラスなイラストがところどころに挟まって、非常に読みやすい「ことばにまつわるエトセトラ」になっています。

今回も、「へぇー!」「なるほど」と思わされることが色々ありました。

あんまりたくさん紹介してしまうと「もう読まなくていいや」って思われるかもしれないので、二つ三つに留めますが(笑)、たとえば「ずいずいずっころばし」の歌詞。

「ずいずいずっころばし ごまみそずい ちゃつぼにおわれてとっぴんしゃん♪」というあれですね。

この歌詞の意味には諸説あるそうなんですが、この本では「ごま味噌ずい」の「ずい」は「ずいき」のことで、「ずいきのごま味噌あえ」のことだと説明されています。

えええええ、ずいきのごま味噌あえぇぇぇぇぇ!?

「ずっころばし」の「ころばし」は「にっころがし」の「ころがし」と同じで「ずいずいずっころばし」は「ずいきの煮物」だと。

まぁ「一説には」ということではあるのですが、単なるおまじないのように思っていた「ずっころばし」が「ずいきの煮物」だったとは。

「ずいき」って「里芋の茎」のことですけど、皆さんご存知です? 私、嫁に来てから知った気がします。実家でも「ずいき」って言葉を聞いたことはあったかもしれないんだけど、料理として出てきたことはなかったと思うんですよね。

だから子どもの頃に「ごまみそずい」は「ずいきのごま味噌あえのことだ」と聞かされても「はぁ?ずいきって何?」だったろうなぁ、と。

知るのが今で良かった(のか?(笑))。

あと「脂」と「油」の違い。「脂」は動物の脂肪で、「油」はサラダ油とか石油とか、植物や鉱物由来のもの、というふうに思っていたのですが。

「常温で液体か固体かの違いです」って説明されていて。

あああああ、そこ!

みたいな。

たとえば「樹脂」は動物じゃなく植物の樹皮に含まれるもの。必ずしも「動物の脂肪」だけが「脂」じゃないわけです。

いやー、一つ賢くなったなー。

この本には100ほどのトピックがあるので、実際には一つどころか100ぐらい賢くしてもらったわけですが。

あと、「継続は力なり」という言葉。

皆さんこの言葉の意味はどういうものだと思ってますか? 私は「なんであれ続けていれば成果が出る。諦めずに続けることが大事だ」と解釈していました。

でも「続けるには力(努力)がいる」とも読めるわけで、「どっちが正しい意味ですか?」と質問されて梅津アナ(か、アナウンス室のどなたか)が調べた結果、「この言葉は辞書に載っていない」「大正時代には存在したことがわかっているけれど、どういう経緯・文脈で生まれた言い回しなのか明らかになっていない」そうで。

つまり「もともとどういう意味で使われ出したのかはわからない」。

この本のもとの単行本が出たのは2009年。その時点ではどの辞書にも載っていなかったのかもしれませんが、昨年(2013年)出た三省堂国語辞典の第七版には「継続」の項に「継続は力なり」が載っています。

「小さなことでも続けておこなえば、大きな成果につながる」との語釈が。

他の新しい辞書にも載っているのかもしれませんね。