※以下ネタバレあります!これからご覧になる方はご注意下さい!

4月に発売になっていたVシネマ『仮面ライダーチェイサー』、やっと観ました。

ニコニコと愛想のいいチェイスさんが見られると話題で、確かにそこが一番の見どころなんでしょうが、ドライブ本編が終了して早や1年が経とうという今、むしろブレンさんやハート様のシーンが感慨深いですねぇ。

「メディックなんか絶対助けてやらないんだからっ!」っていうブレンさんの捨て台詞なんて、テレビ本編を見た後ではね……(・_・、)

チェイスさんもハート達も本編の最後で死んでしまうので、このVシネマのエピソードは時系列的にはテレビシリーズの途中に差し挟まれるべきものです。

ちょうどチェイスが運転免許を取った後ぐらい。

『小説仮面ライダーマッハ』に収録されている「公式全史」によれば、夏の映画『サプライズフューチャー』の後で、蛮野がゴルドドライブになる前、のようです。

とある事件で若い女性を助けたチェイスさん。彼女の人見知りの弟に「人形みたいで怖い」と言われて今さらショックを受け(笑)、「人間になりたい」「人間と同じ感情が欲しい」と望みます。

りんなさんやベルトさんには「人間になりたい?何言ってんの?」と一蹴されるのですが、そこへロイミュード099――通称エンジェル・ロイミュードが現れ、チェイスさんを誘惑。

そう、まさに誘惑です。

何の必要もないのに脱ぎます。

なぜ!!!

彼女(エンジェル・ロイミュードは女性態)の作りだしたエンジェル・サーキットとかいう回路(見た目は金属でできた天使の羽根)を胸に装着すると、ロイミュードの満たされない望みが叶えられ、みんな幸福になる、ということで。

「私はロイミュードを救う天使」と自分で言うエンジェル・ロイミュード。

「まず自分で実験してみた」と言って胸を見せ、チェイスさんの胸にも装着しようとチェイスさんを脱がせ……。

いるのか!? そのシーンいるのか!!?? え!?

なんかハートさんまで脱いでたし、日曜朝の放送じゃないからってサービスしすぎなのでは。

ともあれその「天使の羽根」で「人間の感情を手に入れた」チェイスさん、くそ愛想良くなって進兄さんや剛ちゃんを驚かせます。

進兄さんと霧子に思いっきりジュースを吹かれる剛ちゃん。お約束とはいえ気の毒な。

ジュースまみれでも剛ちゃん可愛いよ剛ちゃん

でも進兄さんと剛ちゃんはチェイスさんとの絡みはほとんどなく、代わりに「刑事で仮面ライダーの先輩」風都署の照井竜と対決。

「ここから東京都」「ここから風都市」みたいな看板の立ってる境界区域(森っぽいとこでめっちゃ虫飛んでた(笑))で照井くんが「俺に質問するな!」と言ってるんですが、そーか、風都って都内じゃないんだ。

都内じゃないけど東京都と隣接している。

照井くん、久しぶりなので「こんな声だったっけ?」って思いました。今回ホントに顔見せ程度で生身の照井くんはたいして活躍しないんですけど、Vシネ『仮面ライダーアクセル』はB級アクション刑事物としてすごく良くできててお薦めです。

事件後にかかってくるアキコからの電話で、二人に無事子どもが生まれていることがわかります。「ハルナちゃん」と言うらしい。「帰りにおむつ買ってこい」とか「特売の玉子買ってこい」とかいう電話(笑)。

進兄さんと剛ちゃんには強面で先輩風吹かしてるのに家では妻と娘にメロメロらしい照井くん。

「刑事で仮面ライダー」のみならず、「結婚する仮面ライダー」としても先輩に当たるわけよね。

照井くんを前にあたふたする進兄さんと剛ちゃんの掛け合いは息ぴったりで楽しかったし、剛ちゃんの「追跡!撲滅!いずれも~マッハ~っ!」は見ると幸せな気分になる(笑)。剛ちゃんの声好きやわ~、ほんま。

でも。

忘れてはいけません。このお話の主役はチェイスさんです。

エンジェル・ロイミュードの「天使の羽根」によってクソ愛想良くなったチェイスさん。自分の過去の言動(「耳の、裏を、見せろ」とか)を思い出して「うわ~!恥ずかしい~~~っ!!!!!」と思ったりします。

人見知りな男の子と打ち解けることもでき、「ありがとう」と感謝もされて幸福感を味わうのですが、もちろんそれで万事解決なわけはなく、望みが叶うのと引き換えにライダーに変身できなくなります。

ここでブレンさんとハート様がチェイスにかける言葉が秀逸。

「納得のいかない相手に支配されるなんて絶対嫌だ(byブレン)」
「賞賛の言葉がなければ戦えないほどおまえはヤワな男だったのか?(byハート)」

ハート様って人間より人間らしいというか、ほんと人間より立派だよね。

「天使の羽根」で満足を与えることによって他のロイミュード達を支配しようとするエンジェル・ロイミュード。もちろんハート様は彼女に屈しようとはしない。「俺たちは自力で進化態になったじゃないか」

「でもみんながみんな私やハート様のように優秀じゃない」とブレンさんが言うけど、手っ取り早い救済に飛びつくロイミュード達と、高い理想を掲げすぎてかえって支持者を失うハート様って実に「人間世界の構図」で。

ロイミュードも人間も、変わんないよね。

チェイスさんは人間になりたがってニコニコ愛想良くなるけど、別に人間にも空気読まないぶっきらぼうな奴とかいくらでもいるわけで。

真の「人間らしさ」はそういうことじゃない。

本当に大切なことはそこじゃない。

うん。

チェイスさんもハート様も、そして「メディックなんか絶対助けてやらないっ!」と言いながら助けて死んでいったブレンさんも、人間以上に人間くさくて、ちゃんと「心」を持って生きてた。

ロボットを考えることは人間を考えること。

ちょっと冗長かなと思ったし(1時間25分くらいある)、「脱がなくていいだろ」とも思ったし、最初の姉弟のくだりはなんかムズムズしたけど、楽しめました。

11月発売の『仮面ライダーハート/マッハ』も期待大です♪


そう言えば病院のシーンで、チェイスさんが助けた女性の隣にいる患者さんがものすごく気になったんだけど、あれはどーゆー狙いだったんだろう…。

はっ!忘れるところだった!

ブレンさんがハート様を抱き上げて運ぼうとして、すぐ「無理ですね、ここにいましょう」って諦めるシーン最高だった!

仮面ライダーブレンもぜひ実現してあげてください(笑)。