終盤の展開があまりにも怒濤で、最終回直前の47話ではうっかり泣かされてしまったので、自分用にメモ。

リュウソウジャー、ルパパトの後ということもあって最初は全然面白いと思えなくて、コウのキャラクターも好きになれなかったし、リュウソウ族みんな雑、海のリュウソウ族は婚活のことしか考えてない、エピソードは半分以上カナロの婚活ネタ絡み、ワイズルー様とクレオンだけが癒やし、と思っていたんだけど。

残り5話ぐらいで「ええっ!」って感じになっちゃって。

残り6話になった第42話がワイズルー様のラストショータイムで、41話の最後に流れた予告で「ショーーー----------!」と緑川光様が美声を響かせてくださったんだけど、残り6話で主人公の戦隊達が「おお、ロミオ、あなたはどうしてロミオなのー(棒)」みたいなことをやるのさすがリュウソウジャーと思ったし、41話の最後でクレオンが「リュウソウジャー達と手を組めばプリシャスをやっつけられるかもしれません!」つってワイズルー様に泣きついて、「お、ついに2人がリュウソウ側に来る!?」と期待したのにあっさりワイズルー様退場してしまって。

41話のあのクレオンの「振り」からして、これもプリシャスを欺くお芝居、実はコウと打ち合わせてあって死んだふりしてるだけ……と思ったらクレオンが「触るな!ワイズルー様は俺の居場所だったんだぁ!」って絶叫が来て。

え、待って、マジなの?マジで死ぬの???

プリシャスに心臓取られっぱなしではあったので、「死ぬったって心臓は生きてるんじゃ?」と思ったけど、続く43話ではエラス様がドルイドン生んでる話になってもうワイズルー様のことはスルー。

いきなりエラス様って何ぃぃぃぃぃ!
ワイズルー様を返してぇぇぇぇぇぇぇ!!!

ドルイドンって「組織」が見えなくて、何なんだろうな、と思ってはいたんだよ。クレオンがこき使われるだけ、まんまクレオン社畜回とかやってたし、ガチレウス様にワイズルー様という「幹部」らしきキャラは出て来るものの、その「上」が見えないし、そもそもドルイドンが何をやりたいのかがわからない。

まぁ40話ぐらいまで流し見であんまりちゃんと見てなかったせいもあるんだけど、ドルイドンって地球を征服したいのか、単にリュウソウジャーを倒したいだけなのか、ワイズルー様やガチレウスに命令する「ボス」みたいなのはいるのかいないのか、そもそもマイナソーを生み出せるのはクレオンだけっぽいのになんでクレオンは下っ端でこき使われて大事にされないの? しかもクレオンはドルイドンではなく「異星人」って何???

終盤にはいわゆるラスボスが出て来るんだろうかと思っていたら。

まさかの地球さんがラスボス

なるほどドルイドン側には指揮系統がないわけだよ……。とはいえプリシャス以外にはエラスのことなんか知らなかったぽいし、エラスがドルイドンだけでなくリュウソウ族の生みの親というのもプリシャスでさえ最初は知らなかったぽい?

いや、プリシャスが知らなかったのは、「リュウソウ族もドルイドンももう要らない子だから消す」というエラスの意志だけで、エラスが創造主であり、自分たちドルイドンがリュウソウ族を滅ぼすために生まれたというところまでは知ってたのかな。

「この星を守るため、主(エラス)はまずリュウソウ族をお創りになった。しかし争うばかりのリュウソウ族に怒り、リュウソウ族を滅ぼすため主は次にドルイドンを生み出された。そして今、ドルイドンもまたこの星を支配しようと争い始めた。主はリュウソウ族もドルイドンも、人間も消し去り、一からこの星を創り直そうとお考えになった」

ということなんだけれども、人間もまたエラス様が生み出したものだったのかな? 人間は勝手に進化の末生まれたのか。
そもそも「この星を守るため」にリュウソウ族を生み出した時、エラスは「何から」この星を守ろうとしたのか。
リュウソウ族が戦闘民族なの、「何かと戦ってこの星を守る」という設定で創ってしまったからじゃないの???

ドルイドンも「リュウソウ族を滅ぼすため」に創ってるから――野蛮なリュウソウ族を倒せるだけの力を与えて生み出してるわけだし、要するにエラス様本人が「喧嘩上等!」な性格なのでは。プリシャスと一体化してからのエラス様、そんな感じだったよね。
「私の思う通りにならないから全部滅ぼす!やり直す!!お前ら大人しく従え!!!」的な。

神様(創造主)が自分の創ったものを気に入らないからチャラにする、は「ノアの方舟」の洪水話もそうで、必ずしも神様が人間を愛してなくてもしょうがない、そもそも人間のことを気にしてるかどうかもわからん、もう地球にいないかもしれんし、ぐらいに思ってたけど、まさかこの、追加戦士が婚活しかしてないような雑な戦隊モノのテーマが「創造主殺し」「親殺し」だったとは。

コウ達が最終回でエラスを倒すよりずっとずーっと前に、「創造主」を力づくで封印しちゃってるんだよなぁ、リュウソウ族。
「神は死んだ」ならぬ、「神なら俺の横で封印されてるよ」という……。

いや、たぶんリュウソウ族はエラスを「神」とは知らず、「俺たちを滅ぼそうとする悪魔」と思って封印したんだろうけど、つまりは神も悪魔もこちらの都合にすぎないというか。

夏映画で、「リュウソウ族は争ってばかり」というのは描かれてはいて、そこに騎士道を持ち込むのがタイムスリップしてきたコウ達で、だからつまりコウ達がいなかったらリュウソウ族、どうしようもない蛮族のままだったってことで……。
夏映画の感想、めっちゃやる気ない書き方してて今読んで笑った。ははは)

コウの優しさは後付けっていう設定、「えー、それにしては天然に見えすぎでは」と思って「その設定要らないだろ」と思ってたんだけど、コウ1人の中に「蛮族のリュウソウジャーが地球を救う優しく気高き騎士へ変わっていく」ということが凝縮されている、ってことなんだろうなぁ。

リュウソウ族であれドルイドンであれ、変わっていける
「こいつら争ってばかりだから滅ぼしちゃえ」というエラスのやり方は短絡的で間違ってる、だってみんな変わっていけるから……。

そういう意味ではワイズルー様もドルイドン側のコウ的な立場なのかなぁ。ドルイドンだって好戦的な連中ばかりじゃなくて、自分から争いをやめることができるんだよ、っていう。(ワイズルー様にとっては最初から「戦い」ではなく「ショータイム」だっただけなのかもしれないが)

「争いはあった、それをなかったことにはしない」っていうリュウソウ側の決意はすごく大事なメッセージだった。すぐ全部なかったことにしちゃうお国柄だから……。

仮面ライダーがビルド、ジオウと2作続けて「世界をリセット」する終わり方になってしまって、あれはあれで仕方のない部分もあるけど、「リセットに抗する」のいいな、と思った。

エラスに見せられた「幸せな夢」の中で、死んだはずのナダさんが生きている。
その夢の中にずっといることは、本当に幸せなのか?
死んだ人間は生き返らない。
どんなに辛く、残酷でも、それが現実。

ナダさんのエピソード、本当に「ええええええっ!」という結末で、しかもそのあと割とさっさと忘れられちゃった感じで可哀想だったんだけど、さらに追い打ちをかけるように「死んだものは死んだもの、受け入れて前に進まなきゃいけない」という思い出され方をするとは。

しかもあの夢、「仲間は出てこない」になってるわけで……。
コウの夢に出てきたナダさんや、バンバさんの夢に出てきたマスターブラックの立場ぇ(´・ω・`)

「地球人類は好戦的すぎるので争いのない生暖かい夢の中にいるべき」っていうの、2018年のアニメ『プラネットウィズ』でもあったよね。でもそうやって牙を抜かれてしまったらもう進歩もなくなる、みたいな。

リュウソウジャーではリュウソウ族とドルイドンで、「人類」とは言われないけど、実際問題人類は滅んだ方が地球に優しいんじゃないか、という話はあって、でもだからといって「人類皆殺し!」になるのではなく、「全部なかったことにして生まれ変わる」のでもなく、苦しみ葛藤しながらもより良い方向へ変わっていかなきゃならない――

いや、ほんと、リュウソウジャーがこういうテーマを秘めていようとは。

エラスが「地球の意思」で、地球と繋がってる間は倒せなくて、プリシャスと一体化することで「倒せる存在」になるっていうのもすごいよね。
エラスが本当に「地球」なら、倒したら地球も壊れるんだろうになぁ。「分離したからいい」ってなるのすごい。
でもエラス自らが「地球そのもの」であることよりも、「おまえら全部葬って俺の好きにしたい」という「自我」を選んだ、だから倒してもいいし、「もはやおまえは地球ではない、地球はそこに生きる生き物すべてのもので、おまえの自由にしていいものではない」ってなる。

「私がおまえたちを生んだんだ、だからおまえたちをどうしようが私の自由だ」って、虐待親みたいな発想だもんね。

創造主殺しは「親殺し」でもある。

最終回の序盤でレッドが死んじゃう(実際には死んだというより「取りこまれた」?)という衝撃展開、残り5人で「6本の剣!」名乗りは超熱かったし、レッド以外でガーッと決着つけちゃうの「新しいな!?」だったけど、あれ、子どもの頃はもっとも蛮族だったらしいコウが、最後にエラスに向かって武器ではなく、攻撃ではなく、「おまえは1人で生きてきたんだな」って優しい言葉をかけて、それでエラスが「もう私も用なしなのか」って自ら引いちゃうっていう、もうほんとリュウソウジャーどうなってんの

カナロの婚活は何だったの!?

「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」みたいな。

でもエラスが本当に「地球の意志(意思?)」なら、「1人で生きる」も何もないよなぁ、とは思う。「地球」という星そのものなら、お友だちになれそうなのはお月様とか他の星ってなってしまうし、寂しいからリュウソウ族を生んだわけでもなく(「この星を守るために」って言ってるし)、自分の星に命が満ちあふれても、自分を「神」を崇めてくれる種族が出てきたとしても、「1人特別な存在」なのはどうしようもないよなぁ。

神様は孤独なのだ……。

あと、最終回の前の「幸せな夢」、アスナは大食いチャレンジ完食で、「ちょ、いくらなんでも幸せレベルが低すぎない!?」って思ってたら「いくら夢の中で美味しいもの食べてもお腹はちっとも膨れないんだよ!」って逆ギレ来たのもすごかった。

そこ!?
そこ来る!?

でも確かにそこだよなぁ。
観念論じゃなく肉体に来るの、それこそが「生きてる」ってことだよなぁ。リュウソウジャーまじヤバい。

さらにその前の回ではやっとワイズルー様帰ってくるー!とわくわくだったのに全部リュウソウ茶色が持ってっちゃって。
それにつけてもワイズルー様、しれっと戻ってきたよね。
クレオンがワイズルー様の心臓カードを持ってワイズルー様を探しに行く、みたいなのちょこっと描かれてたけど、その後どこでどうやって再会したのか、結局最終回でも何の言及もなく。

ラストショータイムの時にしゅううって消えていったの何だったんだ、単に姿をくらませただけだったのか……。きっと復活してくれると信じてはいたけども。

エラス=プリシャスの中にメルト&アスナと一緒に取りこまれたクレオン、無事脱出してリュウソウジャー達が抱き合って喜んでるところで「……いいなぁ」って感じでしょぼんとしてたら岩陰からワイズルー様が「クレオン!」つって手招きしてくれるの、本当に「ワイズルー様はぼくの居場所」だよねぇ。

何の説明もなく復活してエラス様のことを教えてくれたワイズルー様、もともとリュウソウジャーやドルイドンの生まれた経緯を知ってたんだろうか?死んだと見せかけてプリシャスの動向を窺っていたとかなのか。

エラスに取りこまれ、エラスと一体化してしまったプリシャス。最終盤は朴ろみ劇場、エラス様も朴ろみお姉様だからこそこんなにあれこれ言いたくなるキャラになったよな、と思う。
エラスが打ち倒されたらプリシャスも死んじゃうだろう、そもそもプリシャスの自我はもう残ってないだろうと思ったら普通に生きてたし。

コウがああいうふうに「生命エネルギーを吸収されても自我はちゃんとあって、エラスが倒されれば戻ってこられた」んだから、プリシャスもおんなじでおかしくないけど、でもそれだとメルトがエラスの中に落としてたリュウソウル、意味ないのでは???
あれをよすがにみんなでコウの魂を呼び戻しに行く――みたいな感じだったでしょ? でもそんなんなくてもプリシャス普通に生き返ってた。

まぁ人類に大変近い見た目のリュウソウ族とドルイドンでは色々生物としての設定が違うと言われればそれまでだけど。

エラス様、なんでドルイドンをチェスモチーフで作ったんだろうなぁ。リュウソウ族は普通に人間の見た目なのになぁ。

それはそうとプリシャスも一緒に3人でクレオンの星行って楽しく暮らそう、っていうドルイドン側のエンディング、超良かったよね。未だかつてこんなハッピーエンドの敵方ってないのでは。

キャンデリラ様とラッキューロがキョウリュウジャー側(というか人間側)になって、ラッキューロとクレオンの相似から、そして41話のクレオンのあの、「リュウソウジャーと手を組めばプリシャスをやっつけられる!」という振りから、同じパターンが来るのかと期待してたら、「同じにはしないよ!」といい感じに変えてきた。

それにしても。

ワイズルー様も不思議に思っていたクレオンの特殊能力。
「なぜクレオンはマイナソーを生み出せるのか」
プリシャスが登場してから、プリシャス側の圧倒的強さからマイナソーの必要性がなくなってて、唯一マイナソーを生み出せるクレオンが大事にされてなかったのもむべなるかな、って思ったんだけど、マイナソーなんかなくてもリュウソウジャー圧倒できる強さ持ってるんだったらなんでわざわざマイナソー……という気もして。

東映公式さんによると、「マイナソーはリュウソウ族から自然発生する。自浄作用として組みこまれている」とか書いてあってさらにファッ(゚Д゚)!?
ますますクレオンがなんでマイナソー生み出せるのか謎だし、自浄作用として組みこまれているなら、クレオンがいなくなってもリュウソウ族がいる限りマイナソーが生まれる可能性があるわけよね? えええ……。

なんでメルトの髪はあんな色なのか、バンバさんとトワさんはどこに住んでたのか、明かされなかった謎が気になりすぎる。

「住んでたとこ」と言えば、エラスの攻撃で街が焼きつくされて、「見渡す限りの街がなくなってる」ってリュウソウジャー達が言ってたんだけども、世界はリセットされなかったから街はなくなったままで、人間もきっとかなり死んだと思うんだけども、それ、人間たちはどういう理屈で「街がなくなった」と納得したんだろうね。
エラスだのリュウソウジャーだの、きっと知らないよね。
光を浴びて幸福な夢を見ていて、目が覚めたら「見渡す限りの街がなくなってた」。

寝ている間に大地震があった、とか無理に納得したのかなぁ。

うまい具合に龍井家はなくなってなかったし、リュウソウ族の村も無事だったし、トワがすぐ世界を見る旅に出かけられるぐらい世の中はすぐ落ち着いたっぽい。(リュウソウ族は長命だから、そこそこ復興に時間はかかったけど「なかったようなもの」としてその後が描かれた可能性はあるかな)

はぁ。
京都テレビの再放送(2年後くらいか)で最初から見返したら、「ここでこんなことを!」という発見があるんだろうか。最初から面白かったじゃないか、と……。
ともあれ最後の服破れっぱなしのバンバ兄さん良かったですね。