(※ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください)

『はたらく細胞』特別上映版、観てきました!
2021年1月からオンエアが始まるテレビシリーズ2期の一部を先行上映する形らしく、待っていればテレビで見られたんだけど、最寄りで上映していたので映画館の大画面で細胞たちの活躍を堪能してまいりました。


上映3日目だったので入場者特典の冊子を無事Get。本編の前段となる描き下ろしマンガ、キャラクター設定図、小倉宏文監督インタビュー、そして赤血球役花澤香菜さんと白血球役前野智昭さんの対談が収録されています。

上映時間は2時間弱。1時間50分くらいかな? でもそんなに長さを感じず、面白かったです!
いやー、ほんと、和んだわぁ。バトル部分も激しくて、がん細胞の描写とかなかなかエグいんだけど、でもそれも含めてなんか和んだ。すごく楽しかった。

まず最初はショートアニメ「血小板 映画館へ行く」
要は「映画を観る時は○○を守ってね」というマナー動画なんですが、してはいけないことをしているのが「はたらく細胞」キャラクターの面々で、見ていて頬がゆるむ。うまくできてます。
何より血小板ちゃん達が可愛いし。

しかし体の中の映画館って、どこなんでしょうね? 脳味噌? 本体の“ヒト”が見ている夢が上映されてたりとか!?


本編は「最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!」というサブタイトルで、テーマは「腸」。一般細胞くんが助けた可愛い4体の“謎の菌”(実は乳酸菌)。彼らを仲間のもとへ返してやるため、細胞くんは心優しき白血球さんとともに腸をめぐる冒険の旅へ。

途中ピロリ菌など悪玉菌に襲われながらも、その都度乳酸菌が大活躍。見終わった後はみんなヨーグルトとかヤクルトとかビオフェルミンとかめっちゃ飲みたくなるはず。
乳酸菌大事。
腸内環境を整えるの腸大事!

白血球さんと一般細胞くんの旅には途中でキラーT細胞(メモリーT細胞)とNK細胞が加わり、またこの2人のキャラがほんとに良い。キラーTの筋肉バカっぽいところ、NKさんの孤高の筋肉殺し屋なところ、そして掛け合い漫才が楽しい。

孤高の殺し屋なのにNKさん、実は……。

途中、「サイトカインストーム」が起きるんですけど、免疫細胞たちを暴走させるのが「黒歴史の写真」っていうのがホントに。ホントに。
好き

あ、「ストーム」というのは正しくないか。暴走手前、「発奮させる」ぐらい。でもなるほどあれだけ免疫細胞たちが暴れ回ったら体の中ボロボロになるよなぁ、って実感しました。強力な細菌やウイルスに対抗するためには暴走まがいの活躍をしなくちゃいけないけど、敵をやっつけられる代わり、“本体”も激しく損傷してしまう。

戦隊物の巨大ロボが毎回街を破壊しちゃうのとおんなじですよね。どっかもっと他の、誰もいないとこ行って戦えたらいいけど、なんせ“体内”だからなぁ。

このコロナ禍、抗体とか、キラーTが以前の戦いを記憶していて「メモリーT」になるとか、サイトカインとか、改めて「免疫の仕組み」が勉強になります

サイトカインで発奮する前、落ち込むNKさんもね~。ストレスが免疫機能を低下させるっていうの、ほんといちいちよくできてるわ~~~~~~。

そして登場する“最強の敵”、がん細胞
テレビシリーズ1期で倒されたはずですが……何度でも蘇るさ!?

がん細胞の声は石田彰さん
もうね、たまらんよね。
最高。
よくぞ石田さんをキャスティングしてくれた。

白い翼をはためかせ空(?)を舞うその姿はあまりに美しく――。
がん細胞なのに。
がん細胞なのに!!!

白血球さんに対して「君の矛盾が好きだよ。君はぼくと同じだ。君とは友だちになれる」とか言うの、はぁぁぁぁぁぁ、マジたまらん、なんてキャラクターだ。
白血球さんの矛盾っていうのは「誰かのためにしか生きられないのに、誰かを殺すことしかできない」っていうその、生き方というか役目。
一般細胞くんについて行ってあげるほど優しいのに、とっさにがん細胞の攻撃から仲間を守るほど優しいのに、“殺し屋”としてしか存在できない白血球。

「君ならかばうと思ったよ」って言うのとかねぇ、がん細胞ねぇ、愛が過ぎるよねぇ。

がん細胞も、ただそのように生まれついて、ただ“生きたい”と願うだけなのに、自分が“生きる”ことが本体の“死”に繋がるという矛盾した存在。

「本体のために、なんてやめようよ。自由になろうよ」

本体が死ぬってことは細胞もみんな死ぬってことなんだけど、「死ぬ前に自由になろう、自由になってから死のう」って。

狂気というかアナーキーな石田彰様ほんま。

でも「組織」と「個」というものについてちょっと考えさせられるよね。がん細胞を「自己」として守ろうとする制御T細胞には、「自己」と「非自己」ということについて考えさせられるし。

「自己」でありながら「自己」に害をなし殲滅対象とされるがん細胞。一方で、「他者」でありながら有益な存在だからと共生を許される乳酸菌たち。
「自己」とは何か……。

人間は「意識」を「自分」だと思っているけど、この肉体はあまたの細胞の寄せ集めで、共生している細菌もいて、細胞たちは日々生まれては死んでいく。免疫疾患の場合は自分が自分を攻撃するし、がん細胞はもろに全体の“生命”に影響する。
「自己」と「非自己」の境界って何なのか。

映画見てる時はあんまり深く考えずバトルを楽しんでたけど、振り返ってみるとすごく哲学的だよなぁ。

バトル、ほんと楽しかった。
キラーT細胞の必殺奥義、最高だったよ。
とどめを刺す白血球さんのナイフ二刀流もほんと格好良くてねぇ。痺れる。


あ、赤血球もちゃんと登場しますよ。出番、多くはないけど。


咽頭部付近にいる一般細胞くんが腸へ行くことなんてあるのか?っていうのだけ気になったけど、まぁ、そういうことを言い出すと……。死んだ細胞なら剥がれて流れていくのかな??? 老廃物として腸に行くことはあるかもしれない、でも一般細胞くんちゃんと帰ってきてたし。

ググると、死んだ細胞はマクロファージお姉様に食べられる、って話が出て来ますね。血まみれ天使マクロファージお姉様たちはそんなお仕事もなさっているのか。


はぁ~、ほんと楽しかった。
テレビで見られる日が待ち遠しいですわ。