※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください。映画1作目の感想はこちら


 (せっかくなのでオバチャーン編も)


もともとは2月5日の公開予定だったのが、コロナ禍(というか緊急事態宣言)により6月18日に延期となった映画『ファブル』2作目。
早速21日に観てきました。
観てからもう1週間以上経ってしまった。記憶ががが。

1作目が2019年の6月21日公開だったので、ちょうど2年後の公開となったわけだけど、もとが2月予定だったこともあり、お話の中では冬。クリスマス前。
岡田くん扮するファブル=佐藤アキラが仕事でクリスマスのイラストを頼まれ、「サンタ? いや、知り合いじゃない」と真顔で答えるシーンが。
ラストでは雪も降ってくる。

これから暑くなるところなのに、季節感、、、コロナの馬鹿ぁぁぁ。

とはいえそんなのは些細なことです。
予告動画でもわかる通り、今回もアクションがハンパない
冒頭のカーアクションも、後半見せ場の団地&足場アクションも、めちゃくちゃですよね。もうほんとに何がどうなってんだよ!だし、どうやって撮影したの?????ってなる。

メイキングも一部公開されてるけど、車にしても足場にしても、そう何度もリハーサルできると思えないし、やる方も撮る方も一発勝負すごい。

冒頭は4年前。
売春組織の面子を次々殺していくファブル。停車中の車で運転手を殺したら車が暴走を始め、後部座席に乗っていた女の子がピンチ!
そのことに気づいたファブルが車に取りすがり、超絶アクションでどうにかその子を助けるわけだけど――。

その事故で、女の子=平手友梨奈さん演じるヒナコは下半身不随になってしまう。そうして堤真一扮する超胡散臭いNPO代表ウツボに利用されることに。

この堤さんがまたねぇ。
ほんと、堤さんって怪優だよねぇ。
表向きは子どもに優しく人当たりのよいNPO代表、裏では殺しをいとわない筋金入りのワル。むっちゃキレたかと思うとしれっと冷静になったりして、「真にヤベー奴」感がすごい。

ウツボにオモチャにされるヒナコちゃんがほんとに可哀想で……怖くて……。

公園の鉄棒を使ってリハビリしているヒナコちゃんと佐藤が知り合って、もちろん佐藤の方は彼女の顔を覚えてて、ヨウコちゃんに「4年前の東京での殺し」の詳細を思い出してもらう。

木村文乃さん演じる「妹」佐藤ヨウコ、超絶記憶力の持ち主っていうの、前作でも描かれてたっけ??? 「殺し」というか、ニュースを全部記憶しているっぽいのすごいよなぁ。

ヒナコちゃんと知り合ったあと、仕事でウツボのもとにチラシを持って行って、ウツボとも知り合ってしまう佐藤。実はウツボは4年前の殺しの「殺されなかった6人目」で、5人目の兄で、弟を殺したファブルのこと、恨んでるんだよね。自分もさんざん人殺してるくせに。

さらにウツボの「裏の仕事」のターゲットに佐藤の同僚、貝沼が選ばれて。

貝沼って1作目でミサキちゃんを盗撮してて佐藤に「やめとけ」言われてた人だけど、まさかこんなに関わってくるとは。というか本格的にミサキちゃんのストーカーだったんだよね。自室がヤバすぎる。
ミサキちゃん、1作目でもさんざんな目に会ってるし、今回は本人は気づいてないとはいえ思いっきり盗撮されて、貝沼だけじゃなくウツボにまで色々見られて……ミサキちゃんの人生大変すぎる。

貝沼絡みでもウツボ側と接点ができてしまう佐藤。ウツボの相棒である殺し屋鈴木(演:安藤政信)は「奴こそファブルでは」と疑って、ヨウコちゃんの部屋を急襲する。

が、もちろんボコボコにされるのは鈴木の方。

ヨウコちゃんの数少ない見せ場、どんな敵でも6秒で倒すファブル、「私は5秒よ」と鈴木を圧倒。残念ながらキッチンタイマーでは8秒だったけど、格好いいですわん。

ヨウコちゃん、料理する時片足立ちになってるのも可愛いなー。あとなんだかんだ「お兄ちゃん!」って心配してるのがいいよね。「兄と妹」っていうのは世を欺くためのただの「設定」のはずなのに、自然に「お兄ちゃん!」って叫んじゃってるように見える。

足手まといだと思われたくない、っていうところも可愛いし。

終盤、実戦経験が少ないところを鈴木に突かれてしまうけど、格闘術も銃の扱いも見事なヨウコちゃん、実はまだ人を殺したことがないらしく。
ボスは佐藤だけじゃなくヨウコちゃんにも「普通」になってほしいのかな。ってゆーかそうか、佐藤を普通にしたいから、まだ手を汚してないヨウコちゃんを相棒としてつけたのか。

1対1では6秒で倒されてしまう。だからウツボは周到に計画を練って、多人数の兵隊を用意し、ファブルを罠に誘い込む。
それがあの、団地での足場アクション。

ほんますごいねんけど、冒頭でファブルの凄さを見せ、クライマックスに「建造物を使った1対多のアクションがある」って、構成的には1作目と同じよね。
1作目の感想でも言ったけど、なんせファブルが凄すぎて「1対1」だと6秒で終わるし、人間だけじゃなく「場所」も使わないと「見せ場」にならないんだろうな。

で、これも1作目でも書いたことだけど、アクション凄いんだけど、日頃特撮アクションばっかり見てる人間には物足りないというか、単純に「アクション部分短っ!」っていうか。

あのレベルのアクションを2時間ずっとやるわけにいかないし、「ファブル」って実はアクション以上にドラマを見せる映画のような。

今回はもう佐藤=ファブル側の事情はみんなわかってる前提で話が進んで、ウツボやヒナコ側の話がしっかりじっくり描かれて、しかも演じるのが堤さんだから凄みがとんでもない。ヒナコちゃんの人生もつらいし、ミサキちゃんの人生も大変だし。

1作目は柳楽くん演じる小島がキレッキレの狂犬で、ミサキちゃんは大変だったけど、お話としては所詮「ヤクザ同士の喧嘩」で、なんというか、アホっぽかったでしょ?
今回はヒナコちゃんの事情がシビアで……ちょっとしんどかった。

そんな中、佐藤とミサキちゃんを生暖かく見守る社長役、佐藤二朗さんには和まされたし、ジャッカル富岡の相手役として変なことやらされてる橋本マナミさんにも和んだ(そして気の毒だったw)。

社長、包丁振りかぶった貝沼を佐藤が一瞬で制圧するとこ目撃して、「佐藤、おまえ、ほんまは人殺したことあるやろ」と言うとこドキッとしたし、「実はすごい格闘家やったけど、試合で人殺してしもて、それで封印したんやろ?」という「僕の考えた最強の佐藤の過去」、ズコーッとなると同時に微笑ましく。

うん、そーよね。
殺し屋とか普通自分の日常の中に存在するって思わないし、普段の佐藤の言動から「殺し屋」を連想するのは難しい。百戦錬磨っぽいウツボでさえ、初対面の時は「変わった兄ちゃん」ぐらいにしか思ってなかったみたいだし。

鈴木が佐藤をただ者じゃないと気づくのは、貝沼絡みで佐藤の「プロ」な一面を目の当たりにしたからで。

そういえば鈴木、序盤で「こう見えても鈴木はおまえより年上だ」「え?整形ですか?www」ってやりとりがあって、「いやいやいや」と思ってたら後半、ほんとに整形してたって話になるんだけど、「見た目は整形で若くできても中身はもう40過ぎて」みたいな自嘲気味の台詞を言わされる安藤政信さん、ご本人は46歳

整形しなくても!若く見えるし!

えーっとそれから、団地アクションのとこ、あんなに派手に爆発してばんばん銃撃戦やってるのに警察がなかなか来ないのすごく気になった。無人の団地じゃなくて普通にたくさん住民がいて、みんなが逃げる様子は描かれるんだけど、パトカーは来ない(最後の方で音は聞こえてきた気がしなくもない)。

日本の警察!しっかりして!

なんせ「1人6秒」だし、おまわりさん駆けつける前におおかた終わってたんだよ、と言われればそうなのかもしれないけど、ウツボの雇った兵隊たちはみんなやられて(もちろん死んではいない)現場に残っているはずで、事情聴取されるはずだよね?
その後の警察の捜査、張本人らしいウツボが行方不明、ってとこであっさり迷宮入りなのかな。

1作目の時は「所詮ヤクザの喧嘩」だったので、その辺あんまり気にならなかったんだけど、今回は「団地に住んでる人たち迷惑すぎる……」と思ってしまったなぁ。

今回は出ないのかと思ったヤスケンさんはチラっと登場、“ボス”佐藤浩市も「え!?ボスって……」というサプライズな登場。
全部聞かれてるのか、そーか。

岡田くんも堤さんもほんとに凄くて、なんだかんだ言いつつ2時間10分、堪能いたしました。3作目があったらきっとまた見に行くと思います。

しかし岡田くんと堤さんの組みあわせ、また1から「SP」が見たくなる――!

(TVシリーズもPrimeに入るといいのになぁ。映画よりTVの方が好き)