(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください。記憶違い等多々あると思いますがご容赦を。原作コミック未読、TVアニメのみ視聴での感想です)

公開初日、12月24日に見てまいりました。
公開初日に映画を見るなんて人生初めてな気が。別に「いち早く見たい!絶対特典もらいたい!」と思っていたわけではないのですが、26・27日が雪予報で、移動が大変そう、それ以降だとあまりに年末過ぎて主婦には無理、25日は土曜日で激混みだろうし、万障お繰り合わせの結果24日しか行ける日がなかったのです。

しかし24日でも十分混んでました。念のため早めに映画館に行ったけど、すでにグッズの列、チケット発券の列、入場の列と行列がすごい。最寄り映画館にこんなに人いるの久しぶり。20日にライダー映画を見た時はガラガラだったのに……。

このキャラクター看板(正式名称なんて言うんだろ?)も呪術当日は人混みでとても撮れず。ライダー映画の時に撮っておいて良かった。

グッズの行列見て、「この人たち上映開始に間に合わないのでは?」と心配してたら案の定、本編始まってから入ってくる人が複数いて、ちょっと迷惑でした。
宝塚だと係員さんがちゃんと足元照らして席番確認して案内してくれるけど、映画館ではお客さんが自力でスマホのライト使って「あれ?どこ?あっち?」と行きつ戻りつしはるので、本編冒頭、落ち着いて見られなかった。

とはいえ。

面白かったです!!!

本編1時間45分くらいかな。あっという間に終わっちゃった感じ。見終わった直後に「もう1回見ようかな」って思ったぐらいです。

見応えたっぷりのアクション、現2年生3人それぞれのキャラクター描写、京都校の面々やナナミンにも出番があるし、お話のまとまりも良い。
うん、ほんとアクションの見せ方にワクワクしたなぁ。真希ちゃんの動きがすんごい格好いい。真希ちゃんいいよね、好き。

乙骨憂太にド直球で「なんで被害者ヅラしてんだよ」って言うとこも、逆に憂太に「真希さんみたいになりたい」と言われてドキッとするところも。
呪術師の家系に呪力なしで生まれて、親族一同から「あんなふうになるな」と言われて育って、でも「見返してやるんだ」と鍛錬を続ける真希ちゃん。その生き方を憂太に認められて――屈託なく褒められて、嬉しいよね、やっぱり。
(憂太、夏油の言うとおり女たらしの素質があるのかも)

ド直球な真希ちゃんの言葉を後からしっかりフォローするパンダは1年の時からパンダだし(そりゃそう)、ほんと一番の常識人。それとなく憂太のことを気にして見守る棘も優しいし、現2年生の3人、みんないい子だよねぇ。

棘は喉スプレー一気飲みしててびっくりしたけど。
「そんな、のどぬ~る程度のもので呪言で潰れた喉回復するの?」と思ってたら、スプレーするんじゃなく一気飲み。たくさん飲んだからって治らないのではと思いつつも「飲むのか!」と妙に納得したりして。

教室での風景も見られたし、真希ちゃん、棘、パンダ、この3人の活躍を見るだけでもう十分楽しかったんだけど。
主役は乙骨憂太。
声が緒方恵美さんだし、性格的にもシンジくんみがすごかった。「死んじゃダメだ死んじゃダメだ死んじゃダメだーっ!」

6年前、たったの11歳で亡くなってしまったリカちゃん。「大きくなったらリカと憂太は結婚するの」、そう言って憂太に婚約指輪を渡すリカちゃん、なんておませさんなんでしょうか。
目の前でリカちゃんが車に轢かれて「頭つぶれてるぞ!」という状態になっているのを見てしまった憂太、以後特級過呪怨霊となったリカちゃんに取り憑かれ、「守られ」ることになります。

憂太がいじめられてると怨霊のリカちゃんが相手を懲らしめてくれるんですよね。いやー、心強い。――などとは言ってられない苛烈さで、いじめてきた相手はぐちゃぐちゃにされてロッカー詰めに。(あの状態で死んでないらしいのすごい)

呪術高専の上の方は「そんなヤバいやつ死刑」と言い、憂太本人も「もう誰も傷つけたくないから死にたい」と言っている。でも死のうとしてもリカちゃんがナイフ曲げちゃうし、呪術師が襲ってきてもリカちゃんが返り討ちにするし。

お鉢は五条先生に。

なんてどこかで見たような始まり方なんでしょうか。2年連続で五条先生しか手に負えない特級呪霊宿した少年が出現するって、確率的にすごくない?
色々と虎杖の時とのデジャブがあって、最初の五条先生とのやりとりも、パンダ先輩の紹介が「パンダ」だけで「一番詳しく教えてほしい説明がない」とこも、「若者から青春を奪う権利は誰にもない」って台詞も。

五条先生のとりなしで呪術高専に入るところも同じ、でも憂太と虎杖は全然キャラが違って、最初からめちゃくちゃケンカが強くて運動神経抜群の虎杖に対して、憂太は「ひ弱」。のはずなのに、3か月で真希ちゃんと一応やり合えてるのすごい。

真希ちゃんや棘と「実習」を重ねることでリカちゃんの制御の仕方も学び、「死にたい」と後ろ向きだった気持ちにも変化が出て、心身ともに成長していく憂太。
「じゃあ祓え!祓って祓って祓いまくれ!自信も他人もその後からついてくるんだ!」っていう真希ちゃんの台詞、良かったなぁ。ほんと真希ちゃん格好いい

リカちゃんが真希ちゃんに嫉妬するのも面白かったし、憂太が「真希さんは僕の恩人だ!蝶や花を扱うように丁重に扱え!」って命令するのも面白かった。「憂太、怒ってる?」「怒ってないよ」――いやいや、怒ってただろ。なかなかの剣幕だったぞ。

一方、リカちゃんの強大な力を狙って憂太を襲ってくる夏油。五条先生ほか、力のある呪術師を憂太から離しておくために「12月24日、百鬼夜行を行う!」と高らかに宣言。
(映画が12月24日公開だったの、そこを合わせてのことだったのねぇ。そんな年末に公開されたら見に行きにくいと思っちゃってごめん。)

夏油さん、TVシリーズより少し軽い感じというか、悪徳呪詛師な感じが面白かった。大物なんだけどノリはチンピラぽいというのか。五条先生との青春時代の回想がチラチラっと入るのも良かったよね。もともとは五条先生より夏油の方が真面目に呪術師やってたのに……っていう。

夏油が呪術師ではなく呪詛師になり、リカちゃんの力を手に入れようとしたのは「猿ども(呪力のない普通の人間)を駆逐して呪術師だけの世界を創るため」。
「猿」側の人間からすれば夏油は「悪いやつ」だけど――そして私も猿の1人だけど、でもなんか夏油の気持ちはわかるなぁと思ってしまった。

猿たちは呪術師に助けられてもたいして感謝しないし、それどころか気味悪がって、必要がなくなれば排除しようとする。
仮面ライダーでもなんでも、怪物を倒せるほどの力を持ったものは力のないただの人間にとっては同じように「怪物」で、非常時には頼るけれども、平時にはいない方がいいもの。というか、「敵」である怪物がいなくなった世界で、新たに「敵」となる力を持っているわけだからなぁ。

「力」を持つ少数派が、持たざる多数派に奉仕しなければいけない。多数派が必ずしも善でなく、少数派を虐げるとしても……。

虎杖が爺ちゃんに「お前は強いから人の役に立て」と言われた件とか、ナナミンがパン屋の店員さんに感謝されて呪術師の世界に戻ってきた件とか、、思い出すけど。
誰かがちゃんと感謝してくれれば、そんな「猿」がちゃんといれば、夏油も猿の味方のままでいてくれたかもしれないのにな。

夏油と憂太の一騎打ちで、憂太がリカちゃんに力を借りようとして、夏油が「この女たらしめ」って言って、憂太が「失礼だな。純愛だよ」って答えるの、面白かった。人の純愛を笑ってはいないけど、聞いててフフッってなった。

自分で「純愛だ」って言える憂太すごいし、ずっと「呪い」だと思って、リカちゃんに守られていながら「被害者ヅラ」して死にたがってた憂太、つまりは「全部リカちゃんのせいだ」ぐらいに思ってたんだろうのに、あの局面でリカの存在を全面的に受け入れ、肯定して、「愛してる」「一緒に逝こう」と言える。

すげーな、憂太。

存在を肯定されたことでリカちゃんが成仏する、っていうのもよくできてた。実は呪いをかけたのは憂太の方っていうのも。

「愛ほど歪んだ呪いはない」っていう五条先生のセリフもフフフ。そういう呪いを身を以て体験してきたのかしら、五条先生。

夏油から預かった憂太の学生証、「拾ったのは僕の親友だよ」って言うのもせつなかったよね。
憂太&リカちゃんにぶっ飛ばされて瀕死の夏油と五条先生のやりとり。最後に五条先生がなんて言ったのかは音がなくて、視聴者には内容が明かされない。
「最後ぐらい本当のこと言えよ」って夏油が言ったんだったっけ。五条先生、「おまえは俺の親友だ、これからもずっと」とか言ったのかなぁ。

映画見てる時は「あれ?ここで五条先生、夏油にとどめ刺さなかったのかな」って思ったんだけど。あそこで死なないからこそTVシリーズにも登場してるんでしょ、と。
そしたらTVシリーズに出てくる縫い目のある夏油は「偽夏油」らしく、本物はやっぱりもう死んでいる。

そっか、五条先生、親友にとどめを刺したんだ。そっか。
自らの手で始末を付けた上でのあの、「僕の親友だよ」って言葉なのか。

つらいね……。


ナナミンは出番短かったけど、出てくるって思ってなかったから嬉しかった。「七海さんに見てもらいかった」「七海は京都だよ」みたいなやりとりの後、満を持して!だったしね。
「ここは私が」と華麗なアクション。はぁー、眼福眼福。