(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください)


4月23日に幕を開け、コロナ関係で30日から公演中止になってしまった星組公演。やっと5月20日から上演が再開されました。

幸い取っていたチケットが5月23日だったので無事観劇することができましたが、公演期間のほとんど半分が中止という……つらい。つらいなぁ。

えー、まずお芝居の『めぐり会いは再び~next generation~』
この作品は2011年の『めぐり会いは再び』、及び2012年の『めぐり会いは再び 2nd』の続篇となっていて、2012年版で15歳の少年だったルーチェを主人公として10年後を描くという、宝塚ではなかなか珍しい作りになっています。

うん、某東映特撮ではすっかり「10years After」を作るのが定番になりましたけど、舞台作品で「10年後を描く」って、宝塚に限らずあんまり聞かないですよね。

しかも10年前ルーチェを演じた礼さん本人が10年後を演じる。スターが入れ替わっていく宝塚で、こんな試みが実現するなんて。

私は1作目は観ていない(舞台中継でも観てない)のですが、2作目は大劇場公演を観劇。当時の感想記事を見ると

中でも印象に残ったのがヒロインの弟ルーチェを演じた礼真琴さん。めっちゃ可愛い! 15歳設定だし声も高いし、娘役がやってるのかと思うぐらい可愛かった!!!
ショーではめっちゃ歌うまかったし!!!

と、礼さんを絶賛しています。
今回、3作目観劇の前に2作目のビデオを見返したんですけど、当時まだ研4かな? ほんとに可愛いし、でも滑舌良く歌良くお芝居もしっかりしてて、すごいです。

あの可愛いルーチェ君が見事トップになって、お話の主人公として凱旋。しかしルーチェ・ド・オルゴン、ほぼニートです。
大学卒業後、友人であるレグルスの探偵事務所に転がり込み、探偵業の手伝いをしているものの、そもそも事務所に来る依頼が「迷い犬捜し」程度。2作目の最後で仲直りした恋人アンジェリークとはまた喧嘩の真っ最中。彼女への婚約指輪は親の金(ルーチェ君は伯爵家の次男坊)でなく自分で稼いだ金で!と意気込むものの、弱小探偵事務所の居候の身ではとてもとても。

そんなルーチェのもとに奇妙な依頼が舞い込むのですね。大怪盗ダアトから王家の秘宝を守るため、王女の花婿選びに潜入して怪しい人物をチェックしてほしい、と。
これは爵位を持つ探偵であるあなたにしかできない仕事、などと言われ、また、法外な報酬を提示されたことでレグルスの方が乗り気、ルーチェは花婿候補として王宮に潜入することになるのですが――。

「花婿選び」から騒動が発展するのは1作目と同じ、主人公カップルがささいなことで喧嘩して仲直りできずにいるのは2作目と同じ、1作目から変わらず出ている旅芸人一座の座長、芝居がコケて食うに困って盗みを働く役者も2作目で見た、それからそれから……と、1作目2作目を見ている往年のファンには心憎い仕掛けがいっぱい

冒頭、美稀さん演じる座長フォーハルハウトが「10年前と状況が似てるぞ、嫌な予感がするぞ」と、「前回までのあらすじ」的なことを述べるシーンがあるのですが、そこで「今の話、わかった?」「俺、研6だけどさっぱりわかんなかった」というセルフツッコミがあり。

そうだよねぇ、10年前なんて、舞台に出ている子たちのほとんどはまだ「ジェンヌ」じゃなかったよねぇ。

そんな中、10年前と同じ役柄で出てくる専科の万里柚美お姉様。変わらずお綺麗で素敵でした♪
そしてユリウス役の天寿光希さん、レオニード役の音波みのりさん。お二人ともこれで退団ということもあって、出番多め、良かったです。レオニードがなんであんな行動的で、ちゃちゃっと男装もこなしちゃうのか、前作の記憶がなくてちょっとわかりにくかったけど。(プログラムの前作の場面写真見るとレオニード、昔から男装する人だったっぽい)

有沙瞳さん演じるルーチェの友人ティアが「女優の卵」なので、ティアが男装してきたのかと思ったらレオニードだった……。

実はアンジェリークこそ王女その人であり、ドタバタしつつも最後はハッピーエンド。と思いきや「王家の秘宝=一角獣の聖杯」はまんまと盗まれていて、ルーチェとアンジェリークは「聖杯探しの旅」に???というところで幕。
お話はまだ続くかも、4作目があるかもよ、と含みを持たせた終わり方、粋ですね~。

他愛のないおとぎ話で楽しかったですが、ちょっと前半が退屈だったかなぁ。なんか、うまく言えないけど、バウホール向けの作品っぽいというか。
プログラムに小柳先生が「ラブコメホームドラマ」と書いてらっしゃるけど、小ネタは楽しいけどお話全体としては少し地味だったような。

でも衣裳は派手でとっても素敵でした! ただの西洋ファンタジーではなく「スチームパンク的世界観」ということで、ルーチェの衣裳が独特。コスプレ感がすごい。また礼さんがこの可愛格好いい衣裳がよく似合うんですよね~。

主題歌もなんかJ-popで、いい意味で宝塚っぽくなくて新鮮でした。打ち込み的な音で、「原曲はT.M.Revolutionです」と言われても納得しちゃう感じの。
礼さんが歌う2曲目(たぶん)もとても格好いいバラードで、礼さんの歌唱力がよく活かされて素敵だった♪ 青木朝子先生すごい。

えーっと、あと、双子
お話にしっかり絡んでくる男女の双子、カストルとポルックス。名前がわかりやすすぎるけど、レグルスとかフォーハルハウトも星の名前だし、プログラム見ると他にも星にちなんだ役名がいっぱい。
で、この双子、前作を見ている人には出てきた瞬間ピンと来るわけで。
そう、紅さんが演じたプルギニョンの子ども!

ルーチェの姉シルヴィアの侍女だったリゼットと結ばれたプルギニョン。前作はその二人の赤ん坊が男か女かでシルヴィアたちが揉めたことから騒動が始まって、お話の最後に「で、どっちだった?生まれたのは男の子?女の子?」「両方!」というオチがついていたのでした。

10年経って、あの時の子ども達が大きくなったってことなのよねぇ。
前作を知らなくても楽しめると思うけど、知っている方がやっぱり一層楽しめる。

レオニードにユリウス、そして双子に役者くずれの泥棒たち……と前作要素が多い分、2番手である瀬央さんの役レグルスはあんまりしどころのないキャラクターで、ちょっともったいなかったなぁ。

しかしその鬱憤(?)を晴らすように、ショー『Gran Cantante!!』では瀬央さんも大活躍。礼さん扮するマタドールに「牛」として絡む17場、セクシーでとっても良かった
役名としては「牛」だけど、見た目はマニッシュな美女ですからね。こういう男役同士の絡み、大好物♡

スペインがテーマのショー、のっけから大階段だし、礼さんの見事な歌唱がこれでもかと聴けて、音楽も衣裳も大変好みで楽しかったです
中詰めは宝塚歌劇のスペインにまつわる作品の曲メドレー。「バレンシアの熱い花」と「哀しみのコルドバ」しかわからなかったけど、盛り上がりました。「コルドバの光と影」は名曲ですよねぇ。瀬央さんが歌ってらしたんだけど、脳内にヤンさん(安寿ミラ)バージョンが鳴り響いてしまって、つい帰ってから「哀しみのコルドバ」を見てしまいました。ははは。

ショーにも引き続き美穂さんと万里さんが出てらしたのも嬉しかったし、初舞台生のロケットもなかなか凝った振付で楽しく。

全編スペインのはずなのになぜか6場では「NINJIN娘」。ええっ!?
これも瀬央さんでしたね。「馬」と「にんじん娘」というモチーフで、プログラムの説明書きは「雄馬たちが、荒々しくセクシーに踊る」。いや、うん、格好良かったけど、でも「NINJIN娘」……。
まさか令和の宝塚でトシちゃんを聞くとは

ショーはもう一回じっくり観たいですねぇ、うん。

東京公演は全日程滞りなく上演できますように。