(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください。記憶違い多々あると思いますがご容赦を!)


観てきました~!東映ムビステ第……何弾だっけ?もう5弾くらい?
ついに、いよいよ、城乃内こと松田凌さんが主演ですよ!!! 観るしかないですよ!!!!!

というわけで3月29日に京都まで観に行ったんですけど、翌日は息子氏の引っ越し、数日後には映画『刀剣乱舞』の鑑賞、『あぶない刑事』の再放送は始まるわ、毎日Nostrするのに忙しいわでもう今4月の12日です。2週間も経っちゃった。記憶……。

細かいところはもう覚えていないので嘘八百かますかもしれません。どうぞお許しください。

でも面白かったんですよ。
いや、「でも」って何だよ、「でも」って。
とにかく面白かった。『刀剣乱舞~黎明~』よりも私はこっちの方が好きです。だから『刀剣乱舞』の方の感想を先に記事にしたんですよね。あっちをささっと先に書いて、こっちをじっくり書こうと思って。

これまでのムビステの例に漏れず、スケジュールも予算もなさそうで、タイムスリップする演出もニチアサよりチープだったけど(『キングオージャー』がすごすぎる)、それがまたいい味です。B級娯楽作品からしか摂取できない栄養がある!!!

物語は、現代のヤクザが幕末にタイムスリップするところから始まります。
松田さん扮する主人公村田恭次は亡き組長の息子で若頭。ヤクザの息子だけど腕っ節の方はからきしで、「インテリヤクザ」ってことになっている。
バシッとヤクザスーツで決めた松田さん、いかにも線が細いヤクザでへたれっぽくて、めちゃめちゃいい! 似合う!!!
『MOON CHILD』の時の白いヤクザスーツGACKTさんをちょっと彷彿とさせるんですよねぇ。松田さん、顔だち普通に美形だし。ただ少し線が細くて神経質そうに見える、そこが恭次のキャラクターによく嵌まってて(というか当て書きしてる気はする)。

憧れの人物は坂本龍馬。スマホの待ち受けも龍馬の写真という徹底ぶり。

一方和田琢磨さん扮するもう一人の主人公一平は恭次の右腕。インテリな恭次が“頭”で、腕っ節の強い一平が“腕”。「2人でてっぺん取ろうぜ」と恭次は言っているんだけど、一平の方がどう思っているのかはよくわからない。
というのも一平、子どもの頃に身寄りをなくして組長に拾われたようで、「同じ年頃だから仲良くしてやってくれ」「恭次を頼む」と言われてきているんですよね。初対面で「喧嘩なら負けねぇ」という一平に、「僕も負けたことはないよ。だって喧嘩しないからね」と“お坊ちゃん”な答えをした恭次。
「じゃあ僕が“頭”で、君が“腕”だ」――恭次にいきなりそう決め付けられ、“腕”として組に――恭次に尽くしてきた一平。

組長だか幹部だかが殺されて、その犯人を追う中ガセネタを掴まれ、ピンチに陥る一平とその舎弟アキラ。刀を振り回すサイコパスな狂犬ヤクザ伊達に追い詰められた2人、駆けつける恭次。その時不思議な童子が現れ、4人は幕末へと送られてしまう。

雷が鳴って、虹色の渦みたいのに飲まれてタイムスリップするのがとてもわかりやすくていいです。「あはははは!」と笑いながらひどいことをする、サイコパスな童子のキャラクターも良い。雷が落ちてくるのは時間遡行軍ぽいし、恭次たちを幕末に送りこむことで「さて、歴史はどうなるかな?」と遊びで改変を企んでる感じはタイムジャッカーぽい。

「君は坂本龍馬が好きなんだっけ? 龍馬みたいになりたかったんだよね?」と、恭次は1866年の寺田屋の前に放り出されます。そして自分と同じ顔をした坂本龍馬に遭遇。
龍馬ファンの恭次は「寺田屋?1866年?」と気づいて龍馬と中岡慎太郎に「逃げろ!奉行所の連中が来る!」とご注進、中岡は「ちょうどいい、こいつを身代わりにして」龍馬を逃がそうとしますが、龍馬本人が恭次を助けるため斬られてしまう。
「身代わりを死なせて自分だけ生き残るなんて、龍馬の名がすたる」
“本物の龍馬”を演じる城乃内――松田さん、格好良かったです。

で。
もとの歴史ではこんなところで死なないはずの龍馬が命を落としてしまい、恭次は仕方なく龍馬の身代わりをすることに。折しも薩長同盟が結ばれた直後、その仲介をした龍馬が殺されたとあっては、同盟は“なかったこと”になってしまうかもしれない。
中岡に請われて渋々龍馬のふりをしていたら早速龍馬の妻おりょうに「おまえさん!」と抱きつかれ、そのまま「ヤッちゃって」、後には引けなくなる恭次。

恭次の背中には一面の龍の彫り込みがあって、まぁおりょうは早い段階で「こいつ本物じゃねぇな」って気づくんだけど、「あんたが龍馬よりも龍馬として生きるなら、私はついていく」みたいなことを言って、恭次をその気にさせちゃう。

おりょう役は剛力彩芽さん。ほぼ恭次との絡みしかなくて出番はそんなに多くないけど、「きっぷのいい、腹の据わった女性」、なかなか似合ってました。

一方、一平とアキラの方は新選組に入隊しています。いつまでも現代人の格好でうろうろしていたら怪しまれるだけ。腕っぷしと志さえあれば出自を問わない寄せ集めの新選組はもってこいの居場所だったわけですが、アキラの方はその殺伐さになじめない。
ヤクザとして暴力沙汰には慣れっこのはずなのに、幕末のそれはレベルが違う。本当に「命がいくつあっても足りない」世界。「こいつらおかしいよ、狂ってる」――冒頭で「指つめろや~!」とチンピラ(?)の指をためらいなく「ぐしゃあっ!」としていたアキラがビビりまくってるの、皮肉というかなんというか。

斬り合いのさなか、怖くなって逃げ出したアキラは新選組の法度を破ったとして切腹を命じられます。そして「介錯はおまえがやれ」と言われる一平。
「どうして、どうしてこんなことになっちまったんだ。助けてくれよぉ、兄貴ぃ!」
泣きわめきながらも観念して腹を切るアキラ、その首を打つ一平……。

このアキラのエピソード、すごく良かったなぁ。いや、アキラの運命は本当に可哀想すぎるんだけど、現代では「ヤクザ」として狩る側にいた人間が、幕末ではあっさり狩られる側になって、しかも理不尽に自殺させられる。維新の志士も新選組も幕末のヒーローだけど、現代の感覚からすればまったく“まとも”ではない。
時代の狂気、そこにタイムスリップさせられたことであっさり自死させられる羽目になる無情な“運命”。

このお話の主役は恭次であり一平だけれども、アキラのこのエピソードがあることでドラマに深みが出るのよね。アキラ役の矢崎広さんも熱演、引き込まれました。

一平はその後新選組隊士として人を斬ることをなんとも思わなくなっていくし、恭次の方はすっかり“龍馬”として生きることに“生きがい”を感じるようになっちゃってる。歴史で知ってるとおりのことを提言して実現していけば、「龍馬さんすげー!」ってなるんだもんなぁ。

一平と恭次は早い段階で顔を合わせていて、恭次は「現代に戻るにはあの変な小僧を見つけないと」「それまではなんとかここで生き抜いていくしか」と言っていた。嬉々として“龍馬”を生きているように見える恭次に対して、「この時代に呑み込まれるな」と釘を刺していた一平。

あっという間に1年近く経って、途中龍馬が新選組隊士に襲われたのを一平が助けたりして、えーとそれから、沖田総司が龍馬を殺ろうって出かけて行って、「俺も行きます」で一平が同行して沖田を2人で返り討ちにした、はず。

「恭次ーっ、やれーーーっ!」って一平にハッパかけられて、へたれの(戦闘力の低い)恭次が沖田をやったんだったっけ? それは別のシーンだっけ?

ともあれ恭次が龍馬と入れ替わったのが1866年寺田屋騒動。そして史実では1867年の12月に龍馬は暗殺されてしまう。
「近江屋に行かなければいいんだ」
時々現れて「きゃははは」と笑う謎の童子は、「さぁ、君はどうする?」と恭次の行動に興味津々。

一方、「このままだとおまえは中岡慎太郎といっしょに暗殺されちまうんだぞ」という話を漏れ聞いてしまった中岡慎太郎、「えええええ」と気が気ではない。
「近江屋に行かなければ殺されない」はずなのに近江屋に出かける恭次。中岡慎太郎は「俺たちはここで暗殺されるのか?」と問いただす。

中岡、突然の腹痛にでも襲われて近江屋行かなければ良かったのになぁ。のこのこくっついてくるんだよなぁ。
しかも「こんなところで俺は死なない、おまえを殺して俺は逃げる」とか言い出す。
ん?
その理屈、合ってる?

ともあれ中岡に襲われる恭次、そこへさらにサイコパス狂犬ヤクザ伊達が乱入。

はい、皆さん伊達のこと覚えてましたか?
タイムスリップさせられたのは4人。恭次、一平、アキラ、そして伊達
もともと得物が刀で、刀舐めて「はぁぁ、今日は誰の血を吸おうか」みたいにやってた伊達、人斬りが日常の幕末はまさにうってつけ、「いい時代だぜ!」で、暗殺請負人みたいなことをやってます。
龍馬の存在を疎んじ始めた薩長――西郷隆盛と桂小五郎の命により龍馬の首を取りに来た。

龍馬暗殺の「黒幕」は誰なのか、史実上もはっきりしないようなのですが、中岡、薩長の息のかかった伊達、そして新選組からも一平たちが近江屋に向かっている。

中岡は可哀想にさっさと伊達に殺されて、龍馬も危機一髪のところ一平が飛びこんできて。

一平、一緒に来ていた新選組隊士を殺して、「俺にはやらなければいけないことがある」と言って近江屋に入っていった……ような気がする。もうはっきり覚えてないけど。

一平が「やらなければいけないこと」とは何なのか。恭次を守ることか、それとも殺すことか。
前半は「B級娯楽映画からしか云々」って感じなんだけど、後半、「龍馬になりすました恭次は史実通り殺されるのか」「一平は恭次の味方なのか、そうでないのか」という緊張感がどんどん高まってきて、ほんと面白かったですね。
舞台に続くはずなんだから恭次は生きて現代に帰れるはず、いやいやそれはわからん、と自問自答しながらスクリーンに釘付け。

伊達vs恭次&一平のアクションは見応えたっぷりで楽しかった。刀だけでなく銃も持ってるし、「幕末の殺陣」ではなくて「現代のヤクザの殺陣」だから、喧嘩アクションなのがいい。
伊達役はシンケングリーン、鈴木勝吾さん。シンケンジャー未履修なのでどういう方なのか知らずに見てたんですけど、人間性ぶっ壊れてる感じが非常に良かったし、アクションも格好良かった。

(ちなみに入場特典ブロマイドが伊達だった)

「恭次、やれーーーっ!」と再び一平が恭次の背中を押し、見事伊達を倒したものの、相打ちみたいになって恭次は倒れ、そこへ例の童子が現れて、「ふぅん、こういう結末か」みたいに覗きこんだんだった? いや、全然違うかもしれない。
ともかく死んだふりして童子をだまして、童子の首根っこ抑えつけて「俺たちを現代へ返せ!」と迫る恭次。「この時を待ってたんだ」と。

現代に戻るには童子をとっ捕まえるしかないけど、闇雲に探しても見つかるわけがないので、「“龍馬”が死ぬ瞬間、きっと恭次の運命を確かめにくるだろう」と待ち構えていたわけですね。だからわざわざ逃げずに近江屋に行った。
さすが“頭”の恭次、インテリヤクザ、考えてるわ~、と言いたいところなんだけど、ガチで暗殺される可能性の方が高いので一か八かすぎるよね。伊達みたいのが刺客になってる時点で歴史はずいぶん変わってしまっているとはいえ。

恭次は「一平を返してやってくれ。俺はここで生きる」と言って、童子は「しょうがないねぇ、じゃあ返してやるとするか。でも彼がそれを望んでるかどうかはわからないよ?」と笑う。
一連のやりとりを見守っていた一平、「おまえはいつもそうだ。1人で勝手に決めやがって」――はさまれる回想シーン。最初の出会い。「僕が“頭”で、君が“腕”だ」
最初から気に入らなかった。でも“親父”に――組長に「恭次を頼む」と言われていたから、恭次を裏切ることはできなかった。ましてや手にかけることなど。
でも、坂本龍馬なら。

恭次が”村田恭次”であることを捨て、幕末で“坂本龍馬”として生きることを選ぶなら、「俺はおまえを殺すことができる」
一平は恭次を――龍馬を撃ち、史実通り、龍馬は1867年12月、近江屋の近くで死ぬ。

「これも悪くないな…」と、ある種の満足を覚えて死ぬ恭次。
一平は駆けつけてきた新選組隊士たちに向かって、「俺が龍馬を殺った!覚えておけ、俺の名は大友一平!坂本龍馬を殺したのは、大友一平だ!」と叫び、例の虹色の渦みたいなやつに飲まれて現代へと戻っていく。

おりょうと龍馬のおすましツーショットをバックにクレジットが流れ、映画は完。舞台に続く。

――続く、の?

え、これ、舞台版『令和激闘編』は現代に戻った一平が、恭次を殺したという事実を抱えてどう生きていくかという話になるの? 若頭だった恭次と舎弟のアキラを失い、一平がどう組を背負って、立て直していくのかっていう。

でもポスタービジュアルには新選組も写ってるし、狂犬伊達や桂小五郎、そしてもちろん“恭次”松田凌さんもご出演。回想とか一平の見る幻覚としてしか出てこないのかもしれないけど、伊達は生きてる感じよねぇ? 中岡慎太郎も……。
逆に幕末の連中が令和の世に送られちゃうんかな、という気もするけど、舞台版がどういう展開をするのかめちゃめちゃ気になる。新たに吉田メタルさんも出てるし、配信があるなら是非観たいと思ってます(生で観たいけどそこまでのお金はない)。
松田凌さんと吉田メタルさん、城乃内と凰蓮さんだもんねぇ。ふふふ。

桂小五郎役は仮面ライダーセイバーの鍛冶屋の人こと大秦寺の岡宏明さんなんですが。
最初に桂小五郎が出てきた時に「あ、鍛冶屋の人!」と思ったものの、次に新選組の原田佐之介が出てきて混乱。佐之介は小野健斗さんが演じてらっしゃるんですが、岡さんとビジュアルがよく似ていて、「あれ?どっちが鍛冶屋の人?あれ???」となりました。「いや、やっぱり桂小五郎の方だよね」と思いつつも、映画終わってちゃんと調べるまで確信が持てなかった(^^;)
(※ぜひ公式のキャストページを見て混乱してほしい)

一平役の和田琢磨さんはちょっと福山雅治ぽい感じで、線が細めの松田さんと対照的な、ワイルドというほどではないけどこう、どーんとした感じ(語彙力)が格好良かったです。内心を表に出すことがほとんどなくて、台詞も決して多くはなく、表情で語る感じ。アキラを斬らざるを得ないところとか、最後の最後、「おまえのそういうところが嫌いだった!」と爆発するところ。良かったなぁ。

もしも舞台が「現代に戻ってから」の話だとしたら、“アキラや恭次を殺してきたこと”に対する一平の葛藤がどう描かれるのか、和田さんがそれをどう演じるのか、非常に楽しみです。

実は全部夢オチとかあったりするかな。「夢」というか、「あっちで殺されたけど現代には全然影響がなくて恭次は生きてる」とか。
だって本当に恭次が1867年に死んだ歴史になったら、「その後」の歴史もめちゃくちゃ変わっているはずで、「現代」に戻ってきたはずなのに一平には何一つ馴染みのない世界になっていてもおかしくない。

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