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もう観てから2週間経ってしまって、今さら感想を書くのも……というテンションなのですが、自分の記録のために一応メモ程度に書いておきます。

とにかく再現度がすごい!

実写化と聞いた時は「いやいや、無理でしょ、冗談でしょ」って思ったし、杉元役が山崎賢人さんと聞いた時も「いやいや、なんでもかんでも山崎賢人がやりゃあいいってもんじゃないでしょ」と思ったんだけども。

すいませんでした。

山崎賢人さんすごい。

こんなすごい役者さんだと思ってなかったです、ほんとすいませんでした。(※出演されてるドラマも映画もまったく見たことがなかった。『まれ』をチラッと見てたぐらい)

各種予告映像だけでもう再現度ハンパないですよね。北海道の――雪山の景色すごいし、杉元と白石、ほんとにあの厳寒の川に入ってるし、アイヌコタンも明治の小樽も、「これどうやって撮影したの」って思っちゃう。
コタンは実際に建てたそうだけど、雪の小樽も、どこかの雪原に街のオープンセット作ったのかなとか。ただ「昔の街並み」作るだけじゃダメで「雪景色」が必要だから大変だよね。

「実写でやる」と聞いた時、クセつよキャラクター(人間)や明治の北海道(風景)はもちろんだけど、まず一番に「え、ヒグマ(動物)どうするの!?」と思ったんだけど、それも見事に映像化されていて、違和感がなかった。今どきのCG技術すごい。
第七師団に追われた杉元が一か八かヒグマの穴に逃げこんで、兵士がヒグマに顔をベリッとやられるところまでしっかり再現されていて。

うぐぐぅ、そんなところまでリアルにやらなくてもいいのにぃ。漫画でもたいがい怖いのに実写でやるとさらにエグい。

あとレタラ
レタラのこと忘れてた。
今はもう生きている個体がいない生き物。神なる狼。
レタラ、デカかったなぁ。アシㇼパさんの3倍ぐらいあった。デカいのに可愛くて、美しくて、ヒグマとやり合うシーンは迫力満点。白石の頭に噛みつくところとか、靴下嗅がされた時の表情とか、レタラもちゃんとお芝居しててすごい。

第七師団の4人が杉元とアシㇼパさんをスキーで追いかけてくるところも「ちゃんとスキーだ!」って思ったし、白石はちゃんとぬるぬるで鉄格子くぐり抜けてぬるぬる床滑るし。

矢本さんの白石がまた!
原作よりも少し可愛らしい雰囲気だけど、実に白石なのよねぇ。あの雪山で上半身裸でくくりつけられてるのとか、役者さんって本当に大変。尊敬しかない。

原作では杉元たちの仕掛けた罠にかかる囚人は一人ずつなんだけど、映画では笠原と白石が同時にかかって、一緒にくくりつけられる。ほぼ原作どおりの中、ここだけが大きく違った点だった気がする。「大きく」違うはずなのに、すごくうまくまとまってて、流れがスムーズだった。

で、その笠原役が。
キョウリュウジャーのジェントル!!!
ジェントル役島津健太郎さんのお名前をちゃんと覚えていなかったのでクレジット見てもわからなかったんだけど、「ジェントルだよね?この人ジェントルだよね???」と家帰ってから調べて「やっぱりジェントル!!!」と確認。
なんか無性に嬉しかったです。
すぐ尾形に撃たれちゃうけど。

尾形役は眞栄田郷敦さん。顎髭はもちろん、目の周りのあの四角縁取りな感じも再現されてて、杉元に対して銃剣構えるところも完コピで。
これまた出番が短いのがもったいない。まだ尾形の魅力が全然出る前だもんねぇ。

あ、そうだ、尾形と言えばナレーションがつんちょ(津田健次郎氏)だったのすごくポイント高かった。スタッフわかってる!!!

杉元が蕎麦屋で第七師団に絡まれ、机に手を付き横っ飛びでダーン!と兵士を蹴っ飛ばすシーン、捕まったあと、くくりつけられた椅子ごと宙返りして椅子ぶっ壊すシーンなどなど、原作通りのアクションが再現されてたのもほんとすごかった。
杉元、ちゃんと団子の串2本刺されてたしなぁ。実写で見るとよけい痛い。

串を刺すのは玉木宏さん扮する鶴見中尉
玉木宏に鶴見中尉やらせようと考えた人、天才だよね。ビジュアルも、声も、そしてあの狂気も、ぴったりすぎる。馬を撃たれて転がり落ちて走って追いかけるところの走り方も原作そのまま。
狂気な玉木宏は本当に良い。ぜひあの声で「おはようございます!」もやってほしい。

えーっとそれから、舘さんの土方は日本刀とライフルの二刀流が格好良かった。出番あんまり多くないけど、『あぶ刑事』からずーっと舘さんを見てきた身としては、こういう作品に大御所として舘さんが出演なさるのが本当に本当に感慨深くて……。
『あぶ刑事』第41話「仰天」で共演していた木場勝己さんが永倉新八なのもね。あの時以来の共演ということで楽しみにしてたけど、永倉、最後にちょろっと出てくるだけで……顔見せ程度すぎる!!!

続編を期待させる映像がクレジット後に流れたけど、ほんとに作るのかな。作るのめちゃくちゃ大変だよね? あの家永のホテルとか、シャチとか、ヒグマとはまた違う実現の大変さが。
続編作らないのに期待を持たせるためだけに家永やインカラマッをキャスティングして扮装映像撮ったのだとしたらそれはそれで「特別出演」すぎるけど、どうなのかなぁ。

無事杉元を第七師団から取りもどして、「私たちで金塊を見つけるぞ!」で終わってしまう。「さぁここから」というところで。
ラストシーンはのっぺらぼうが「アシㇼパ…」とつぶやくところだったし。

アシㇼパさんの父親役、井浦新さんだったけど、あののっぺらぼう状態も特殊メイクで井浦さんがやってらしたのかな。

アシㇼパさんを演じるのは山田杏奈さん
山田さんご本人はこの1月で23歳ということで、原作のアシㇼパさんより10歳ぐらい年上なんだけど、そこは全然気にならなかった。15歳ぐらいに見える。
可愛いし、たくましいし、オソマをがんばって食べるシーンの変顔も見事で、素敵なアシㇼパさんだった。
幼少期を浅田芭路ちゃんがやってたのもとても可愛かったなぁ。

杉元がカワウソの頭食べさせられるシーンの「どうするの、これ、どうするの、口に入れる?え、このまま?」っていうあの雰囲気もめちゃめちゃ再現度高かった。最後クレジットに「この映画の撮影にあたって動物に危害は加えられていません」って出てたけど、リスのチタタプとか、ゴールデンカムイといえばはずせない食事シーンもしっかりあって。

なんか、あまりに再現度が高すぎて、「映画を見る」というより
「ひたすら再現度チェックをする」になってしまった気もします。原作と違ったら違ったで「ここが違うあそこが違う」とひたすら「違うチェック」してしまうんだろうし、これだけの人気作、なかなか「映画そのものを楽しむ」って難しいですね。
非常によく出来ていて、キャストも風景もアクションも細かい部分も素晴らしかったけど、原作もアニメも一切知らない人が見たらどんなふうに感じるのか、この映画単体での面白さについてはよくわからないというか(^^;)

私は原作を知らずにアニメ1期を見て、で、その時はそこまで面白いと思わなくて、実は最終話まで完走できなかったんですよね。その後原作に触れて、アニメ3期に入る頃にはすっかり魅了されてしまってたんだけど、予備知識なしにこの映画だけを見た人、どういう感想を抱くのかなぁ。
気になる。

えーっとそれから、月島。
月島も、まだほとんど出番がない。
月島役は工藤阿須加さんで、再現度ヤバヤバキャスティングの中で月島だけちょっと、「なんで?」って思いました。
工藤さんだと背が高すぎるしイケメンすぎるでしょう????? 雰囲気が優しすぎるというか、いいとこのぼんぼんっぽいし。
月島は岡田准一氏が良かったよぉ。ずっと目立たない感じで来て、スチェンカで本気出す岡田月島が見たかった(※岡田くんがイケメンじゃないとかそういう意味ではありません、念のため)。

冒頭、けっこう長く二百三高地での激闘が描かれて、杉元がくぐり抜けてきた死線の凄さを強く印象づけられるんだけど、見ててしんどかったです。なんか、空爆とかじゃない、ひたすら人間が力業で人間を殺して、砲弾は敵味方なくドカーンと辺りを吹き飛ばして、それで僅かな陣地を稼ぐみたいな戦争、こんなこと本当にやってたのか、という。
大河ドラマで描かれる合戦に毛が生えたみたいな戦争、戦国時代の方がまだ兜や甲冑付けててマシだったのでは、と思うぐらい兵士の命が軽い戦争。
今でも結局「戦争」ってこういうものなのだろうけど……。


映画見終わったあと、原作また読み返したくなったし、アニメも見返したくなりました。アニメ5期(最終章)はいつ放送になるんだろうなぁ。早く見たい。

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