Twitterで日々ラテン語について発信されているラテン語研究者「ラテン語さん」(@latina_sama)の初のご本、手に取ってみました。

語学の才能がまったくないにもかかわらず、これまでロシア語、韓国語、中国語などちょろっとかじって「雰囲気だけ」楽しんできたわたくし、ラテン語にも以前から興味があり。

息子氏の高校の土曜講座に「ラテン語」があったときは、「お母さんが受けたい!」「気になるから君が受講して!」と言っていたぐらいです(残念ながら受講してくれなかった)。

まぁそう言いつつこれまでまったくラテン語を勉強したこともなく、「読みもの」的な本すらひもといたことがなかったのですが。

本書の内容は、タイトル通り、「いかにラテン語由来の言葉が使われているか」を6つの章に分けて紹介するもの。
「ラテン語と世界史」「ラテン語と政治」「ラテン語と宗教」「ラテン語と科学」「ラテン語と現代」、そして「ラテン語と日本」

ボーナスやウイルス、インフルエンザなどなど、現代日本でもよく見聞きする言葉も元はラテン語から来ている。
「ラテン語と世界史」の章では「オーストリアとオーストラリア、よく似た二つの国名の由来」など興味深かったですし、「ラテン語と科学」のくだりでは「太陽系のラテン語」「十二星座のラテン語」など、もともと馴染みがある単語だけにとっつきやすく、面白かったです。「科学」の章では他にも人体や栄養素、薬など、あれもこれも、「ニベア」も「カルニチン」も、ぜーんぶラテン語。
英語の「muscle(筋肉)」という単語の元が「小さなネズミ」を意味するラテン語というのには、昔の人の発想の面白さを感じます。

「ラテン語と日本語」の章では、慶長遣欧使節に関係するラテン語の文書から、「伊達」は当時「いだて」と発音されていた、「支倉」は「ふぁせくら」だった、という話が面白い。こんなところから日本語の過去の発音がわかるんですねぇ。

「日本の地名・人名をラテン語にする方法」も面白かった。とりあえず「-us」付けとけばラテン語風になる。ルシウスやプリニウスと同じく、「渡辺」なら「ワタナベウス」。
先頃亡くなった元横綱曙が映画『テルマエ・ロマエⅡ』に出ていたときは、役名が「アケボニウス」でしたものねぇ。琴欧洲は「コトオウシュヌス」。

固有名詞も格変化するので、「渡辺の」は「ワタナベイー」、「渡辺に」は「ワタナベオー」、「渡辺!」という呼びかけは「ワタナベエエ」となるそうな。
「曙に」だと「アケボノオー」になるのかしら。でも実はオ段で終わる人名はもともとラテン名にある「カトー」(小カトーとか大カトーとか、いましたよね)と同じ格変化で行けるらしく、それでいくと「曙に」は「アケボノー二ー」でいいのかな???

巻末には『テルマエ・ロマエ』の作者ヤマザキマリさんとラテン語さんとの対談も付いています。
読みやすく、楽しいラテン語本でした。

紹介されていた『基本から学ぶラテン語』、パラパラッと見てみたいな。パラパラッとだけ…。