『たくさんのふしぎ』2023年9月号として刊行されたこの本、今度11月に単行本化されるということで、著者さんのコメントがTwitterに流れてきました(→こちら)。

「光合成をやめた植物?」と気になって、早速図書館で『たくさんのふしぎ』版をGet! たったの40ページしかない冊子なのですが、「へぇぇぇぇ」ということばかりで大変面白かったです。
写真はすべてフルカラー、一般的な植物とはかなりイメージの違う、「奇怪」とも思えるその姿。眺めるだけでも面白いですし、決して多くはない文章量に「たくさんのふしぎ」がぎゅぎゅっとまとめられていてすごい。

「光合成をしない」から緑である必要はない、「光合成をする代わりに他の生き物から栄養をもらっている」。「他の生き物から」と言われるとまず「食虫植物」を思い浮かべてしまいますが、多くはキノコやカビといった菌類から養分をもらっているそう。

そもそも普通の、「光合成をする植物」は、光合成でつくった糖やでんぷんを地中の菌類に与える代わり、菌類からリンやカリウム、水分を受け取って生活しています。――もうこの段階で「え?そうなの!?」と思ってしまうわけですが。
そんなこと習ったっけ???
「土」から栄養もらってると思ってたよね。土に肥料混ぜたら、それを植物の根が勝手に吸収するんだと思ってたけど、「菌糸」のネットワークが植物の根に栄養を提供しているらしい。

まぁ「土」って何?って話でもあるんですが、そういう菌類とのギブアンドテイクな関係を、テイクのみにしてしまったのが「光合成をしない植物」。なので、正式には「菌従属栄養植物」と呼ばれるのだとか。

これらの植物は光合成をしない――つまり「葉」が必要ないので花が咲いて実をつけるわずかな期間しか地上に姿を現さない。見つけるのが難しく、研究が進んでいなかったためにまだまだ新種が見つかる、「ロマンあるグループ」。著者の末次さんも多くの新種を発見されているそうです。

“かれらは「植物とは何か」という疑問を私たちに投げかけてくれるおもしろい存在です。” (P5)

いや、ほんと、「植物 定義」で検索するとトップに「光合成を行う生物」って出てくるのに。
植物とは――何!?