(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください。記憶違い多々あると思いますがご容赦を)



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『牙狼』20周年記念映画『牙狼TAIGA』、観てまいりました!
『牙狼』は『GOLDSTORM翔』からしか見てなくて、この映画の主人公冴島大河が出てくる初期のシリーズはほぼ未見なんですけど、そんな私でも問題なく楽しめました。うん、面白かった。

なんといっても白虎役の波岡一喜さんが可愛い!
すごくチャーミング!!!
好き!!!!!


冒頭、いきなり蛙が映し出されて、「ん?」と思っていると、波岡さん扮する白虎がまだ少年の大河に剣の稽古をつけている場面。蛙を踏むまいとしてよけられる攻撃をよけなかった(「攻撃できるのにしなかった」かもしれない)大河に、「坊は優しいな」と語りかける白虎。

大河のことを「坊」って呼ぶのもいいし、大河に向ける笑顔がほんとに優しくてチャーミングで、素敵なんですよねぇ。

そこからガーッと時は過ぎ、青年となった大河。人間を襲おうとしているホラーを見つけ、のっけから黄金騎士としての見せ場! この最初に出てくるホラーがダチョウ倶楽部リーダー、肥後さんなんですよね。実際に人間を襲う前に「襲っているところを妄想する」系のホラーで、妄想の中で「ヤーっ!」ってやってるのが面白かった。

ホラー態になったらもちろん強くて、いきなり牙狼アクション楽しい。99.9秒砂時計もばっちり表示。――ってゆーか、初期シリーズ未見なので鎧装着時間に上限があるの初めて知りました。道外流牙シリーズではそんな制限なかったことない??? 「なんで最初から鎧着けないんだろう」と思ったりしてたけど、ちゃんと理由があったんですね。この制限のおかげで生身アクションもたっぷり堪能できる。

主人公冴島大河は、初期TVシリーズの主人公だった冴島鋼牙の父。TVでは渡辺裕之さんが演じていらっしゃいました。鋼牙がまだ少年の時分に殺されてしまった大河。その若き日を描くのがこの映画。

大河を演じる北田祥一郎さんが、実に「若い渡辺裕之さんっぽい」んですよねぇ。精悍な顔つき、あの牙狼のコートがよく似合うガタイ、それでいて笑った時は「坊は優しいな」と言われた子供時代のあどけなさが垣間見える感じで。

ちょっと徳重聡さんとかにも似てて、「令和の石原裕次郎を探せ!」コンテストで優勝しそうな雰囲気。よくこんな役者さん見つけてきたよねぇ。

で、大河にくだされた新たな指令。「盗まれた“羅針盤”を取り戻せ」。伝説の四獣、青龍・朱雀・玄武・白虎の魂が封じられた魔導具“羅針盤”がホラーに奪われた。奪ったのはエグゼイドの天才外科医こと瀬戸利樹さん演じるホラー・邪道。邪道は喰らった人間の記憶や能力を我が物にすることができる。もしも彼が四聖獣を喰らい、その力を手に入れてしまったら――。

でも聖獣は人間ではないので、邪道がもしその魂を喰らえたとしても、能力コピーは発動できないのでは?

「いえ、できます。聖獣の魂を人間に移し、その人間を喰らえばいいのです」

と解説してくれるのは“羅針盤”の守り手、聖獣の祠に仕える魔戒導師・吹奇(ふき)。吹奇役の神嶋里花さん、すごく目が印象的でしたねぇ。ぱっちりとして、目力がある。

聖獣たちは100年に一度、人間の肉体に宿って現実世界を楽しむという取り決めを魔戒導師と交わしていて、「聖獣の魂を人間に移す」術があるのです。邪道に「不死を与える」とそそのかされ、羅針盤を渡した闇落ち導師の術を使って、邪道は聖獣の力を得ることができる。

この闇落ち導師の役をなんとキョウリュウジャーのジェントルこと島津健太郎さんが演じてらっしゃいます。ジェントル何やってんのぉぉぉぉぉ。ホラーが約束なんて守るわけないじゃん、術だけ奪われるに決まってるじゃん、バカだなぁ。

地下室みたいなアジトで4人の人間に四獣の魂を移そうとする邪道。大河はうまくその場所に潜り込むものの、スタンガンみたいなやつで気絶させられ、魔戒剣も奪われてしまっています。(よく考えたらなんで気絶させるだけで命奪っておかないの、邪道さん)

意識を取り戻した大河が魔戒剣を取り戻し、邪道のお付きの双子ホラーと戦う一連のアクション、流れがとても見事で格好良く、見応えありました。また双子ホラーの使う鎖+鉄球みたいな武器が面白い。

双子ホラー、実際に双子の大津朝陽さん夕陽さんが演じてらっしゃるんですが。お二方とも武術太極拳の元日本代表らしく、アクションが格好いい! 双子のアクション俳優とかすごいですよね。最初、「CGで二人にしてる???」と思ったぐらい、同じ顔のめちゃ強いホラーと戦うの、“絵”としてもすごく面白かった。

しかし悲しいかな主人公は大河なので、大河が勝って、羅針盤(というか、四獣の封じられた木札)を無事奪還。吹奇のもとに持って帰るも、「白虎がいない」。すでに人間に乗り移ってしまっていたらしい。しかも人間好きの白虎、以前にも木札から抜けだしてしばらく戻らなかったことがあったらしく。

白虎の魂が移った男の役はひょうろくさん。四獣はさすが伝説の聖獣なので、憑依した人間の姿を自在に変化させることができ、ひょうろくさんの体は一瞬で波岡さんに。

久しぶりに人間の体を得た白虎が嬉しそうに伸びをしてスキップして去って行く後ろ姿、ここがまたすごくチャーミングなんですよ! 顔写ってない、後ろ姿なのにすごく可愛い!!!

人間大好き、人間のお酒も大好き(“トラ”だもんね)な白虎、街中を散策しまくり、オープンテラスみたいなとこで宴会してる若者たちに酒をおごってもらって上機嫌。探しに来た大河に見つかって、その場を離れる時に初めて口きいて、若者たちに「なんだよ、日本語しゃべれるんじゃん!」って言われてるのが面白かった。

てか若者たち、どう見ても格好(衣装)がおかしいことにもっと突っ込んで! 魔戒騎士も魔戒導師も明らかに服装がおかしいやん!

ともあれ白虎と“再会”した大河。そう、冒頭で描かれていたとおり、大河は少年の時に――12年前に、白虎に剣の稽古をつけてもらっています。羅針盤を抜けだした白虎がたまたま(?)大河とめぐり会い、「七日間だけの師匠」となった。大河は白虎の名前すら知らなかったみたいだけど、「人間じゃないとは思っていた」。

うん、まぁ、格好がおかしいもんね()。

「大きくなったな、坊」

いちいち波岡さんの笑顔がいいんですよねぇ、ふふふ。

白虎は木札に戻ることを1日だけ待ってくれ、と言う。会いたい人がいるから、と。高齢のその人はほぼ寝たきりで、3日に一度しか目を覚まさない。明日がその日だから、明日まで待ってくれと。

その人は――白虎の息子。80年前、人間の体を得た白虎が雷に撃たれて意識を失い、記憶も失って人間の娘に助けられ、その娘との間にできた子供。自分の正体を知らず、妻子と穏やかに暮らしていた白虎は、息子が5歳になった頃、ついに魔戒導師たちに居場所を突きとめられ、羅針盤に戻ることになった。

山村ぽい雰囲気の、「まんが日本昔ばなし」ぽい茅葺きの家に着物姿の奥さん、子供はしとしとぴっちゃん大五郎スタイル。80年前って、そんな昔だっけ???と思ってしまいましたが。

『牙狼』1作目が2005年、その主人公鋼牙の父親大河がまだやっと22歳ぐらいの時のお話なので、もし牙狼世界が現実の日本とリンクしているならこの映画の“現在”は1980年くらい? その80年前だから1900年頃――明治30年代ならまだまだ山村はあんな暮らし???

12年前、大河と出逢った時にも息子の行方を捜していた。でも見つけられず、やっと今回見つけることができた。生きている息子に逢える機会はおそらくもうこれが最後、ということで大河は1日待つことを受け入れますが、吹奇は浮かない顔。「白虎さんが逢いたいと思っていても、息子さんの方がどう思っているかわかりませんよ。別れた時と同じ姿のままの父親を見て混乱するかもしれません」云々。

実は吹奇ちゃんは両親の顔を知らない。彼女がまだ赤子の時分に、彼女を闇落ち導師の手から守って両親は命を落とした。「だから、羨ましかったんです」と正直に語る吹奇ちゃんがせつない。

しかし「もう1日」を待たず、その夜のうちに邪道が聖獣の祠を襲ってきた……んだったよね? ちょっともう記憶が曖昧になってるけど。大河のみならず吹奇ちゃんも「私には私の戦い方があります!」と聖獣たちの力を借りて奮闘。

戦いの中で邪道に奪われそうになり、木札に戻されてしまう白虎。……木札というか、吹奇ちゃんの魔戒筆に、だったかな。他の聖獣の魂も魔戒筆に乗り移っていて、そのおかげで(?)聖獣たちは死守できたものの、吹奇ちゃんは邪道にさらわれてしまう。
(この辺の細かい展開があやふや。全然違ってたらごめんなさい)

白虎たちに「おまえはどうしたい?」と問われる大河。

本来ならまず聖獣たちを番犬所に預けに行くのが先。でも――「俺は吹奇を助けたい」。

「よし来た、俺らも加勢するぜ!」というわけで、聖獣たちとともに夜の道路を疾駆する大河。一方、邪道のアジトでは吹奇ちゃんが邪道に迫られている。……羅針盤は邪道が持ってたんだったかな? でもそこに聖獣の魂はないから、「聖獣を喰らうことはできないわ!」と言う吹奇ちゃんに、邪道は「俺の本当の狙いはおまえだ」と告げる。

「おまえの中に封印されているもう一体の聖獣、麒麟をいただく」

なんと、そうきたか。青龍や白虎だけでなく、麒麟まで。

どうして邪道が吹奇ちゃんの秘密を知っていたかというと、「それ(麒麟)は私が受け継ぐはずのものだったから」。力ある赤子が産まれたことで、麒麟の宿主は変更されてしまった。そう、かつて吹奇ちゃんの両親を殺した闇落ち導師のなれの果てこそ、邪道だったのです。

邪道、もともと女性だったんですよね。「俺が女だった頃」みたいに言ってて、なんかなるほどと思ってしまった。瀬戸利樹さん扮する邪道、ちょっと中性的な雰囲気の妖しい美しさだったから。

あんまり台詞は多くなくて、言葉を荒げたりもしなくて、割とずーっと静かな感じなんですよね、邪道。瀬戸さんはほぼ佇まいと表情だけで“美しき謎のホラー”を成立させている。正体バレて本性(ホラー態)顕してからはそれなりに騒がしかったけども。

絶体絶命の吹奇ちゃん、でももちろんヒーローは間に合ってやってくる! 壁ぶち破って登場してたよね、確か。伝説の四獣に麒麟の力も味方につけて闘う大河。牙狼独特のあの筆スタイルイラストで描かれる四獣が格好いい。あまりにも手垢のついたネタだけど、青龍に朱雀、玄武に白虎、四神やっぱり厨二病心に刺さるわぁぁぁ。

見応えたっぷりのアクションのあとは、約束の「もう1日」。大河のたっての願いで、白虎は「息子」との再会を果たす。大河の体を使って実体化した白虎を前に、年老いた息子もまた、子供に返る。かつてと同じように、父の「高い高い」で空へと舞い上がり、世界を見下ろす――。

うぉぉん、いい話だ。

しかもこの「息子」が螢雪次朗さんなんですよ!!! 『牙狼』20周年記念映画に螢さんが出ないわけないよね!!! でも冴島家に仕える執事・倉橋ゴンザとおんなじ顔って、どういうこと??? もしかしてこの「息子」のさらに息子(つまり白虎の孫)がその後冴島大河に仕えたってこと???

ともあれめでたく親子の再会がなり、両親の顔を知らなかった吹奇ちゃんも両親の幻影を見る。これまでは見えなかった父と母の顔が、ありありと見えて。

まだ誰の親でもない大河が吹奇ちゃんに「大河はお父さんぽい」と言われたり、いずれ「鋼牙の父となる男」の物語として、「親子」がとてもクローズアップされていた。TVには出てこなかった鋼牙の母親、吹奇ちゃんなのかなぁ。

吹奇ちゃんに「強くなれ」と胸をドン!と叩かれ、新たなホラー討滅の旅へと赴く大河。

映画見てからTVの「大河」回(『牙狼』第12話)を履修したんですけど、「強くなれ」はもちろん、冒頭の蛙も、あの12話とのリンクなんでしょうね。最後に大河が声をかける、画家を目指す青年はきっとカオルの父親なのでしょうし。

何を描こうか迷っている青年に、大河は「あの子たちなんかどうです?」と野の花を勧める。「なかなかの美人さんでしょう?」「ええ、美人さんたちです」

エンドクレジットにも一つずつ花がこぼれ落ちていって、最後画面がカラフルな花々に埋められ、「わぁ、きれい」と思っていたら、そこにさっき青年が描いていた絵が――写真が映し出されて。

「今朝の美人達」撮影:渡辺裕之

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

TVシリーズの大河の映像でも、ご本人のお写真でもなく、花の写真を最後に持ってくる。なんと心憎い……。
(※お写真は渡辺さんのInstagramで見ることができます→こちら

冴島家シリーズ、全部見たくなりましたねぇ。北田大河の続編も見たいです。北田大河、格好良かった。波岡白虎にもまたぜひ逢いたい、100年に一度と言わず軽率にちょこちょこ人間態になってほしい。

あと、最初にライダー映画でお馴染みの、あの筆で描く「東映」マークが出てびっくりしました。「あれ?牙狼って東映だったっけ???」 調べたら東映配給は今作だけ? 制作はもちろん東北新社。

全国ロードショーとはいえ必ずしも上映館多くない中、滋賀でも上映あって本当に良かった。京都行かないと観られないんだったらたぶん観なかったと思うので、上映してくれて本当にありがとう。今後ともよろしくお願いします。

(入場者特典↑)


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※なんと冒頭10分の映像が公開されております。チャーミングな波岡さんも、リーダーのホラー姿も見られるぞ!※