途中までしか見てなかったの、正解だったかもしれませんねぇ。木野さんの最期とか全然覚えてなかったから、映画を見ても「なんで生きてるの!?」ってならなかったし。
人知れず亡くなったわけじゃなく、涼や真島くんの目の前で息をひきとってるから、ちゃんとお葬式とかも出したんじゃないかと思ってしまうけど、実際のところあのあと木野さんの遺体はどうなったんだろう。実は忽然と消えてたりしたのかな。
涼とともに木野の最期を看取っただろう真島くん、木野死んでから出てこなくて、「どうしたんだろう」と思っていたら、最終回で真魚ちゃんと一緒に勉強してた。もしや25年後に真魚ちゃんと別居している誰かさんって……!?
真魚ちゃんにしても真島くんにしても、あれだけの経験をして、その苦しみや葛藤を分かち合えない相手と一緒に暮らすの、なかなかしんどいと思うんだけど、全然関係ない人と結婚したのかなぁ。何も知らない人の方が、かえって気楽だったりするかしら。
まぁそんな出歯亀なことはともかく、真島くんの25年後も見たかったよね。変身こそしないものの、かなり長期にわたって登場してたし、真魚ちゃん、木野さん、涼ともがっつり絡んでいて、涼を救うために自分のアギトの力を与えてもいる。もう超能力なくなって、アンノウンに狙われることもなくなったのに、ずっと木野さんや涼のことを気にかけ、守ろうとしてくれる。家出少年で、家に帰りたくないから木野さんのところにいたと言えばそうなんだろうけど、でもアンノウンに襲われた時に自分だけ逃げないで涼を庇おうとしてて、いい子だよねぇ、真島くん。25年後、木野さんみたいな医者になっているのかどうか、その後が見たかったな。
超能力因子に感染して苦しむ人たちが運び込まれた病院で、真島くんが医師として働いてても面白かったのでは。あの惨劇の黒幕が木野さんだと知ったら、真島くんはどう思ったろう。
真島くんを演じた小谷嘉一さん、当時19歳かな? 現在はニューヨークにいらっしゃるらしい。
真島くんと涼の、「アギトの力が発動したらバカにした連中に仕返ししてやる」「そのあとは?」っていう会話もとても良かった。「超能力を得たら人は何をするのか? いきなり他人を攻撃するものなのか?」っていう命題、すでにTVシリーズで描かれてるよね。
涼は水泳部のコーチや部員に仕返ししなかったし、自身の体の変化におののき、戸惑いながらも、その力を悪いことには使わなかった。終盤でも「俺は津上を放っておけない」と言ったり、いい奴なんだよなぁ、涼。なのに次から次へと不幸が……。一緒に生きて行けそうな相手が現れたと思ったらすぐ死なれて……それも二度も。最後にそばにいてくれたのは子犬だけって!
リサの話、全然覚えてなかったけど、翔一くんの方の「アギトになりかけてる女性」は助かるのに、本当にどうして涼ばかりあんな目に。まぁ翔一くんはまずお姉さんを亡くしているし、記憶も失うけれども、それを言えば涼もお父さんをあかつき号事件のせいで亡くしていて。(涼がどうやって生活費を稼いでいたのかはとても気になっている)
「さそり座の人間が狙われる」でリサも死んでしまうわけだけど、あの「アンタレスが移動している」っていう話はさすがにちょっと、無理があると思った。アンタレスの光が地球に届くまでには550年くらいかかるわけで、“神”がアンタレスを動かしたとしても、地球上でそれを“今”観測することはできない。……“神”だから、時空を超えて550年遡って星の位置を変えることもできるのかもしれないけど、「なんでわざわざ!?」だよね。
まぁあの神様、わざわざ沢木哲也(本物の津上翔一)を生き返らせて力を与えたり、警察に捕まってみたり、「なんでわざわざ?」を色々やっているけれども。“神”の真意など、人間にはわからぬものか。ほんの手慰みに、遡って星も動かすか。
リサを失い、「もういいか」と水中に消えたかと思った涼、ちゃんと「俺は不死身だ!!!」と戻ってくる。1年後もバイクで放浪してるっぽい涼。同行者がわんちゃんだけというのがほんとに可哀想だけど、それでも生きることを諦めなかった涼――そんな涼が映画で死んじゃってるの、やっぱり寂しいよね……。「夢なんかなくても生きて行ける、普通に生きていくのが俺の夢だ」とリサに語っていた涼。映画の冒頭で翔一くんが「普通だよ、普通!」って普通を強調していたのは、涼の分もなのかなぁ。
靖子にゃんがただ1話脚本を書いた涼と少年の話(第28話)もとても良かった。誰にも理解されない一人ぼっちの涼の痛みを、ただ一人わかってくれた少年。涼が怪物のような姿になっても逃げ出さず、それどころか「見ていてつらいのがわかった」って言ってくれる。涼のために泣いてくれる。たった一人でも、そんな相手がいれば、救われるよね。(『天官賜福』5巻の「一人いれば十分だ」を思い出す)
死んだはずの木野さんが生きてて、生を選んだ涼が死んでいる。涼は――ギルスは、なぜあんなボロボロになっていたのか。そしてなんで木野さんの居場所を知っていたのか……。2人で何かと戦っていたのかなぁ。てゆーか、木野さんの語りが正しい(嘘をついていない)とは限らないから、実は木野さんが涼をボコボコにした可能性もなくはない?
TVシリーズでは涼が翔一くんに「おまえに人を殺せるはずがない、それぐらい俺にだってわかる」と言って、今回の映画では「氷川誠に人が殺せるわけがない」。木野さんは普通に殺せそうだもんな……。真島くんを殺そうとしたとことかホントに怖かったよね。あの後も木野さんと行動をともにしてた真島くん、メンタルが強い。
翔一くんがアギトだと知った小沢さんと北條さん。氷川さんに「アギトはどんな人間なんですか!?」と問われて、「……津上翔一のこと、どう思う?」「……言いづらいですね」とまったく同じリアクション。今回の映画で尾室さんのことを「世も末」「世の中も変わったな」と同じリアクションするのも、あれを踏まえてなんでしょうね。なんだかんだ似た者同士な小沢さんと北條さん。
沢木さん(本物の津上翔一)の最期も全然覚えてなかったけど、一回死んでいたのを蘇らせられたとはいえ、従容と死を受け入れ、「俺が勝つさ」と言って消えていくの、なんというか、すごく不思議な立ち位置のキャラクターだったなぁ。彼が“神”を裏切り、人間の(アギトの)味方をしてくれたおかげで人間は滅ぼされずにすんだわけだけど、でももうちょっとみんなに事情を説明してくれていれば……。
美杉のおじさんは、実は雪菜さんのことも沢木さんのことも知ってて、彼が後追い自殺したことまで知ってたのに、名前は知らなかったのかな。もし名前を知ってたら、翔一くんを「翔一くん」と呼ばないよね? 手紙の宛名を見た時に、「あれ? どこかで聞いたような」ってならなかったのか。
TVシリーズの最後、「アギトは人類の敵だから、アギトを狩ってくれるアンノウンを守る」と決定してしまう警察。今回の映画で実際に「アギトが人間の敵」になるわけだけど、あの超能力者たちはどういう理屈で人間を襲ってたんだろう。木野がそそのかしたのか、木野とは関係なく、超能力を持ったことで無差別殺人を始めたのか。ルージュはなんか木野の飼い犬っぽくなってた感じだけど、彼らの側の心情や理屈は描かれてないんだよな。
「狩られる前に狩れ」ではあるんだろうけれど。25年前の警察の考えを知れば、能力をひた隠しにして生きるか、先手で攻撃するかになる。
それでも超能力者は人間、アンノウンではない、と躊躇しかける氷川さんを、北條さんが「何を初歩的なところでためらっているんです!」と叱咤する。結局のところ、人間かアギトか、そんなことは問題ではなく、「他者を攻撃する」ものが「悪」であり、倒すべき「敵」である……。
いや、「他者」っていうかやっぱり「人間」なのかなぁ。翔一くんの最後のエピソードの…カナさんだっけ? アギトになりかけてた人。彼女のような、人間を攻撃するどころか「生きて行けない」と思い詰めるようなアギトでも、人間側は「怪物」として狩るかもしれない。その時に氷川さんはアギト側として人間と戦ってくれるんだろうか? TVシリーズでは翔一くん側に立ってくれた氷川さん。でもあの時はアンノウンがいて、「謎の存在」もいて。アンノウンなしに、人間が直接アギトを攻撃した時には…?
ゆり子や大山、黒谷、そして北條さんも超能力に目覚めちゃって、木野さんが消えたあとも一度覚醒した超能力は消えないんじゃないかと思うけど、この先警視庁(政府)は彼らを野放しにするんだろうか。まぁ翔一くんも25年間野放しだったみたいだけど、ニュータイプ・アムロが軟禁されてたみたいに、しばらくは色々人体実験されたり、監視されたりするんじゃないのかな。
映画の感想で「大山や黒谷は“希望“」と書いたけど、もしも人間側が彼らを排除しようとしたら、彼らも戦わざるを得ない、身を守らざるを得ないよね…。
そして巷には、超能力に目覚めたけれどこっそりひっそり潜伏してる人がいるのでは。もともとのアギトの種、アギトになりうる人、今回の件とは無関係に超能力者だった人もいるだろうし。
「何の力も持たない氷川誠が勝つ」は人間側にとっては美しい話なんだけど、力を持たない側が持つ側を排除しようとしないのか?というところまで、「俺が勝つさ」になるのか。G7スーツを潜在的アギト排除に使わないのか、という…。
強制される進化は進化ではない、でも人間たちの中には自然に超能力に目覚めるものが――人間ではないものに変化していくものがいるかもしれず、その時に、「変化して力を持ったもの」と「変化できず力を持たないもの」とが争わず、共存できるものなのだろうか。
それは別に、「超能力」に限らない話なのだろうけども。

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