『ズッコケ三人組』シリーズでおなじみの
那須さんの戦国活劇
図書館でたまたま目にし、チャンバラ好き
の息子にどうかと思って借りてみた。

狙いは当たって息子は一気読み。
小松良佳さんのイラストも可愛いし、
物語もお気に召したようで、
「面白かったで!ママも読んでみ!!」

主人公の小太郎(12歳)は重い鉄棒を
難なく振り回し、大岩やお寺の鐘を軽々と
持ち上げる怪力の持ち主。
目の前で両親を殺され、母方の祖母を頼って
いったところ、そこもまた戦場になって
焼け野原になっていた……。

児童小説と侮るなかれ、いきなりヘビィな
設定です。
小太郎のお父さんは、「たおれたところに
二度三度槍を突き立て」られて殺されるし、
けっこうしっかりした「時代劇」。
「足軽」なんて言葉も説明抜きで普通に
出てくる。息子、わかったのかな??
タイトルの「山賊」だって、普段は耳に
しない言葉だよね〜。

怪力の小太郎、はぐれ忍者のマメ太、
そして少年剣士の剣之助。
並外れた力を持った3人と、子ども山賊
たちが横暴な殿様の軍勢を向こうに回し
て大あばれ。まぁホントに天晴れな子ども
たち
です。
剣之助なんて、まだ15歳なのに
「秘剣○○(その都度違う技が出る)。
また人を斬ってしまった……」だもんね。
鉄砲の弾だって斬っちゃいます。
おまえは緋村剣心か!?

最年少、10歳のマメ太もすごぉくしっか
りしてるし、「こんな子どもいるかよっ!」
とつい言いたくなる。
でもそこが読者の子どもにはたまらない
ところかもしれない。
自分たちとさほど年の変わらない主人公が
大人を手玉に取るんだもんね。
いつも一方的に怒られるばかりの子ども
たちにはさぞかし胸のすく展開なのかも。

スーパーな3人の力だけでなく、知恵を
働かせ、まんまと100人以上もの軍勢を
斥けてしまうところは私もわくわくさせら
れた。

続編の『気球に乗った少年』では
イタリア帰りの「発明家」の少年が加わって
さらにハイパーな山賊に。
もうどっかんどっかん、飛び道具出まくり
ですごいよ。何人死んでる?って感じ。
知恵比べ、技比べは面白いんだけど、
「いくら悪者だからってこんなに殺しち
ゃっていいんだろうか」とちょっと思った。

子どもたちは「向こうが攻めてくるから
身を守るために戦ってる」だけで、
「殺してやる!」と血眼になってるわけじゃ
ないんだけど。
それどころかめっちゃあっけらかんとしてる
んだよなぁ。肝っ玉座ってるっちゅうか。

殿様に雇われた幻術使いは容赦がないので
平気で敵の首を切ったりする。
そんでもって「首のない体が血しぶきをあげ
ながらそのまま馬を飛ばして……」なんて
描写が出てくる。
これ、文章だからいいけど絵で見たら怖い
よね。アニメとかだったら……。

小太郎たちはそういう修羅場をくぐり抜けて
いる。ひょえ〜って感じだけど、こういう
感想を持つのって、甘いのかな?
世界的に見れば、10歳の子どもがのんびり
平和に暮らしてられる国の方がきっと少ない。
「10歳でこんなにしっかりしてるわけが
ない」なんていうのも、子どもを甘く見てる
だけかも。
「どうせ子ども」とたかをくくってるのは、
悪い殿様と一緒だ。

息子は気に入ってくり返し読んでいる。
次は3冊目(最終作)『八雲国の大合戦』を
借りてこなくっちゃ。