アラビアン・ナイトシリーズ第3弾です。
「開け、ゴマ!」ですね。

はっきり言ってアリ・ババは最初に
この呪文を盗み聞きする以外は
たいしたことはしなくて、活躍する
のは召使い女のモルギアナなんだけど。

なぜ
「モルギアナと四十人の盗賊」
というタイトルじゃないのかなぁ。
やっぱ召使いごときはタイトルに
出て来ちゃいけないのか。
女だし。

美人でめちゃめちゃ頭が切れて、
しかも行動力も抜群、という
モルギアナ。
なんで召使いなんてやってんのぉ、
と思う。別に召し使いだから
頭が弱いとは思わないけど、
ホントにモルギアナちゃんはすごいです。

この本には他に
『バスラのりんごと
大臣ジャアファルの災難』

というお話と、
『ふたりの詐欺師』というお話が
収められてます。

『ジャアファルの災難』がとっても
面白かった。
大臣ジャアファルが、気まぐれな教主に
振り回されて、2度も絞首刑になりそう
になる、というお話で、どこか落語の
ような味わいがあります。

ジャアファルにとっては迷惑この上
ない教主様、自分ではいい教主だと
思ってるんだよねぇ。
「わしの町でこんなひどい殺人が
起こっていいわけがない!
役人がちゃんとしていないのは
大臣のおまえのせいだ!
だから犯人を捕まえられなかったら
おまえが責任を取れ!」
って言って、ジャアファルの一族まで
全部絞首刑にしようとするんだよ。

ジャアファルは町の人達にもとても
人気のあるいい大臣で、彼をそんな
理由で殺したらよけい町の治安が
悪くなるだけだっていうのに……。

何もわかってないくせに「自分じゃ
それが正義だと思ってる」
教主様って、
現代にも通じる気がしない?

そもそもの事の発端も、
ただの怠け者の爺さんの言うことを
真に受けた教主が、「気の毒だ。
なんでもお前の釣ったものを金貨百枚
で買ってやろう」なんて言いだしたから。

それで貧しい人間を一人救ってやった
気になってるんだよね、この教主さんは。

そばで実務をこなす大臣ジャアファルの
災難はまだまだ終わりそうにありません……。