おととい、新解さんの「小数」の定義を紹介したが、昨日の夜、何の気なしに旺文社の国語辞典(20年以上前のもの)を引いてみたら、

【小数】①一般に整数でない有理数。

などと書いてあって非常にびっくりした。
「整数でない有理数」って!
そんなんで「3.14」というような姿をイメージできる人が何人いるのだろう。
っていうか「有理数」なんて言葉、何十年ぶりに聞いたことやら。

ちなみに「有理数」というのは同じ旺文社国語辞典で
【有理数】整数または分数の形で表すことのできる数。
と説明されている。

「小数」は「整数でない」と説明されているのだから、この2つの定義を合体させると「小数」は「分数の形で表すことのできる数」ということになって、それはもちろん間違いではないけれども、「小数」と「分数」は見た目が違うよ、という部分をまったく無視した説明になってしまう。

ちなみに「分数」の説明。
【分数】整数aを零でない整数bで割った商をa/b(本当は横棒だけど、入力できましぇん)の形で表した数。


「小数」の説明よりかは親切。
まぁ国語辞典に算数のことを質問してもしょうがないよ、と思う向きもあるでしょう。

でも、です。

新解さんで分数を引いてみたらば。
【分数】横線の上と下に数を書き、上の数〔=分子〕を下の数〔=分母〕で割った数(割ること)を表したもの。例、2/3。〔狭義では、分子が自然数で分母が2以上の自然数であるものを指す。広義では……以下省略〕

新解さんは「算数が得意」という話はかの夏石鈴子女史も言及されていたように思うけど、「横線の上と下に数を書き」というところが親切だよねぇ。
「広義では」というとこ、めんどくさいから省略したけど、「国語辞典なのになぜここまで」という説明がしてあって感心する。
新解さんは「算数が好き」なんだ、きっと。

ところで。
新解さんは「小数」の説明のところでわざわざ「特に断らなければ、十進法によるものを指す」と書いてくれている。
十進法の他には「二進法」とか「十六進法」とかあるわけだけど、二進法の小数とか十六進の分数とか、そういうのってあるんだろうか。
何か、それを使わないと計算できないような分野……。

二進法は「0」と「1」しかなくて、「2」になるともう桁が上がってしまう。
もし二進法で小数があったら、小数点以下もひたすら「0」と「1」だけ。

十六進の場合は「16」まで行ってやっと桁が上がる。
通常10〜15に当たる部分はA〜Fで表現する。
もし十六進で小数だと、9A.14D5Bとかいうことになるのかな。
分数で15分の13だったら「F分のD」?

いや、ちょっと思いついたから書いてみただけなんだけど、これだから辞書を引くのは面白いという話でした(ちゃんちゃん♪)。