新解さんも算数が好きでいらっしゃるようだが、私も算数が好きだった。全教科のうちで一番好きだったのが算数。
やたらに文章を書くのが好きで、一応文学部出身だったりするのだけど、「国語」は嫌いだった。
教科としての「国語」はとてもつまらないと思う。
「ここで作者は何を言いたかったのでしょう」
そんなん知らんって。

それはともかく今日は「マイナスの数」の話。

最初、「マイナスの数」というのを習った時に、私は「零より小さい」ということがよくわからなかった。すでに何もない「零」よりまだ小さいってどーゆーことやねん。なんで「何も存在しない」よりも少ない数を足したり引いたり割ったり掛けたりできんのん。

もちろん「なんで?」がわかんなくてもやり方さえ覚えれば計算はできるので、支障はない。
そして、「何も存在しない」よりも「まだ少ない」というのはちゃんと現実にある話である。
そう、借金!
キャッシュコーナーでうっかり残高以上にお金を引き出してしまった時(定期預金等の担保があれば残高以上にお金が出てくる。恐ろしい話である)、通帳には「-21,456」とかいうふうに記載される。ご丁寧に赤字で。
うちの夫はうっかりこれをやって、「まずい!」と思って引き出したお金をすぐまた預け入れたらしいが、とにかく「零」より少ない「数」は現実に「借金」という形で存在するのだった。
「負債」と言うよねぇ。
「負の数」の「負」と「負債」の「負」は同じ字だもの。

ケーキが5つあって、家族が3人だと「5−3=2」で2つ余る。
ケーキ5つに家族5人なら「5−5=0」で全部なくなる。
ケーキが5つしかないのに家族が7人なら「5−7=−2」。
2個足りない。

「マイナス」って不足の意味なんだなぁ、ということに、いつだったかしみじみと気づいた。とても人間的な概念というか。
「物はゼロ」で、「何もない」だけなのに、そこに「足りない2つ」を見るというのは人間の想像力のたまものでしょう。

滋賀県のニュースでは毎日琵琶湖の水位を教えてくれたりするが、これが「マイナス何�」ということが多い。
「マイナス」と言ったって、水はある。
別に干上がってるわけじゃないのだ。
でも「マイナス」。
基準水位に対してどれだけ少ないか、ということを「マイナス」で表しているので、あんまり渇水がひどくてむこう何ヶ月間の水をもう使ってしまってます、という話ではない(でも実はそーゆー話だろうか?)。

どこかを基準の「ゼロ」にして、それより少ないと「マイナス」というのは非常に身近な話で、「気温」がそう。
「0より小さい」がかなりのところまである。
「絶対零度」は-273℃?
「絶対」じゃない「零度」には「それより少ない」がある。

基準を「ゼロ」とする考えだと、「現在地(基準点)から東へ行く方をプラス」「西へ行く方をマイナス」という表現ができて、「+2キロ」なら東へ2キロ進む。
「−5キロ」なら西へ5キロ進む。

1時間に2キロ東へ進む私は、3時間前はどこにいたか?
2×−3=−6
今いるところより西へ6キロの地点。

マイナス同士を掛けたり割ったりすると答えはプラスになる。

1時間に2キロ西へ進む私は、3時間前はどこにいたか?
−2×−3=6
今いるところより東へ6キロの地点。

ああ、そうか。
なるほどね。