「昔読んだ本を読み返そう」プロジェクト第……何弾かな?(笑)。

実はこの間、ひょっこり『宇宙叙事詩』を見つけたのは、この本を探している時で。

あれ、こんなところに『宇宙叙事詩』がっ!と驚いた後、やっとこの本を見つけたら、表紙が萩尾望都さんだったのでまたすごくびっくりして。

何、私ってもしかしてニュータイプ!?(笑)

だって、どんな表紙だったかなんてまったく覚えていなかったし、なんでこの本を読み返そうと思ったかっていうのも、「なんとなく」としか言いようのない、「閃き」だったんだもん。

現在Amazonで売られているのは昨年復刊されたもので、表紙が変わっています。

私が持っている1982年初版のものは萩尾望都さんの表紙。


うふっ、素敵でしょ。

たぶん大学生になってから買ったものだと思うんだけど……実のところお話の内容はあんまりよく覚えていなかった。

妖魔の王であり「闇の公子」と呼ばれるアズュラーンの名は覚えていたんだけど、具体的なところはほとんど忘れていて。

20年ぶりくらいに読み返して、すごく新鮮だったし、面白かった。

うん、「こんなに面白かったっけ?」っていうぐらい、世界に引き込まれた。

訳者の方が「あとがき」に書いておられるんだけど、まさに「千夜一夜物語」。

なんというか……妖魔の王アズュラーンが人間界に仕掛ける戯れをきっかけにして、描かれるのは人間の業――人間の醜さであり、また美しさであり。

非常に耽美で華麗なおとぎ話。

また訳文がね~、素敵なんだ。

タイトルからして、英語だと「Night's Master」で、普通に訳すと「夜の主人」(笑)。

これを「闇の公子」と訳すところからして、素晴らしい。

もともとの英文も華麗な文体らしいのだけど、華麗な英文を、文意を変えずに華麗な日本語に置き換える……これってほんと、大変な作業だよね。

タニス・リーが書いた「Night's Master」という作品が魅力的なのはもちろんだけど、『闇の公子』という日本語の作品は、訳者・浅羽莢子さんの「作品」と言っても過言ではないのじゃないかな。

妖魔の王アズュラーンはもちろん美形♪

決してただの「悪魔」ではないのよね。

最後の方で「神」が出てくるんだけど……「神」と「妖魔」の対比が実に面白い。

私も「神」ってあんなもんだと思うな。もしいたとしても、人間のことなんてどーでもいいと思っているだろう、って。

それに引き替え「妖魔」はね。「人間」あっての「妖魔」だから。

終わり方が実に粋で、「おおっ!」って思っちゃった。

この『闇の公子』は「平たい地球」シリーズの1作目。

次は2作目『死の王』を読み返します。楽しみじゃ。