(※以下ネタバレ大ありです! 内容、結末を知りたくない方は読まないでくださいね!!)

やっと、『ZORRO』の方の感想です。

言わずと知れた「怪傑ゾロ」の舞台化なんですが。

私は映画を見たことも小説を読んだこともなく、詳しいことは知りませんでした。

私にとって「Z」という字を書く正義の味方といえばそれは「ゼンダマン」で(笑)。

いや、あれは「書く」んじゃなくて二人で「Z」の文字を形作るんでしたっけ?

まぁそれはともかく、「怪傑ゾロ」って、スペイン領だった頃のカリフォルニアはロサンジェルスを舞台にした物語だったんですね。ほんとに全然知らんかった。

スペインの圧政に苦しむ民衆達を救うため、颯爽と現れた仮面のヒーロー、それが「ゾロ」。

『風の錦絵』が35分と短かった分、『ZORRO』は通常のお芝居よりも長くて、ショー的なプロローグとフィナーレが付きます。

プロローグ、大階段上にずらっと男役さん達がゾロの格好で登場し、スパニッシュな音楽に乗せて踊る!

いや、実にかっこいいです。

「ゾロの格好」ですから、みんな仮面つけてて顔がわかんないけど、でもあの出で立ちで大階段に勢揃いっていうのはね、思わず「わっ」と歓声を上げてしまう。

今回久々の2階席で全体がよく見えて、こういう場面は特に楽しめました。

ストーリーもわかりやすく、けっこうコメディタッチで笑えるところも多く。

うん、マヤさん(未沙のえる)のあのノリ、久しぶりに見たけどやっぱりおもろい。

主人公ディエゴ(もちろん演ずるのは雪組トップ男役の水夏希さん)が、ゾロだとばれないように白い鬘かぶってピンクの服で「なよなよして頼りない優男」を演じるシーンも楽しくて。

なんか、水さん、かっこいいシーンよりあっちの方がうまくない?(笑)

レディ・ゾロに変身する(?)おてんば娘白羽さんもさすがの迫力ある演技。これで退団とは本当にもったいない。

が。

そんな主演コンビよりも。

私は音月桂ちゃんに釘付けであった!

桂ちゃんの役どころはベルナルドというインディアンの青年。ディエゴの家の使用人であり、ディエゴとは幼なじみ。ディエゴを助けるため、ベルナルドも「ゾロの影」として同じ扮装をしてともに闘う。

そしてベルナルドは。

口を利かない。

幼い頃の哀しい出来事がもとで「言葉を捨てた」ベルナルドは笛の音と心で他者と会話する。

なので桂ちゃんには、ほとんどセリフがないのだった。

表情と仕種だけでの演技なのだ。

この難しい役を、桂ちゃんはとっても見事に演じていた。

なんせ「表情」での演技ですから、双眼鏡を持つ手が桂ちゃんから離せない!

めっちゃいい顔するんよね~、桂ちゃん。とっても優しそうでピュアな顔、そうかと思うと憂いを秘めた表情、ゾロの格好の時は凛々しく。

もともと下級生の時からあの顔立ちと雰囲気が好きで注目していたんだけど、これまであまり舞台を観る機会はなくて。

いやぁ、もっと頻繁に雪組観てれば良かった。後悔。

うちの母も、「昔から好きやねん。早くトップになってほしい」と言っている(が、母もまた、そんなには雪組を観ていない。なんでや)。

なんてゆーか、桂ちゃんって、笑うとほんとにキュートで「ぱっ」と周りが温かくなるのに、きりっとした、冷たい刃のような表情もできて、なんともこう、色気というか、「雰囲気」があるのよね。

やんちゃな瞳と不敵な口許。

『風の錦絵』の方でも、手の使い方、目線の使い方とかにすごく「表情」を感じた。「余韻」というか。

いやぁ、もう、ほんとに。ベルナルド~~~。

ああ、スチール買って帰ればよかった。頭に羽根飾りをつけたベルナルドの写真、プログラムには載ってないし。

でね。

ベルナルドって、「ゾロの影」でしょ。

こーゆー設定の時って、大体結末が予想できるじゃない。

「君は光ぃ僕は影ぇ離れられない二人の絆ぁ~♪」(知ってる人は知っているアニメ版『ベルばら』エンディングテーマ)

「影」の人は、「光」の人の身代わりとなって命を落とすものと相場が決まっている。

なので。

ベルナルドの奥さん「夜の稲妻」(なぜか彼女だけこんな名前。他のインディアンはブラック・エルクとかカタカナになってるのに)が、「子どもができたのよ」と告げるところは、「そんなお約束の悲劇、やめてよ」って思っちゃった。

ただ死ぬだけでも十分かわいそうなのに、身重の妻を残していくなんて。うっうっ。

しかも。

最後、ディエゴとレディ・ゾロのハッピーエンドでみんなが「ビバ!ゾロ!」って陽気に踊り騒いでるとこで終わるねん。

ベルナルドが死んじゃったのに。「夜の稲妻」はお腹の赤ちゃんとともに残されてしまったのに。

なんであんただけ幸せになってんのよ~~~~~っ!

納得いかんかった。

「何よぉ、この話ぃ、許せな~い!」(笑)。

楽しくわかりやすいし、インディアンの歌う「ワカン・タンカ(大いなる魂)」はとても素敵な歌だったし、宝塚らしい作品で、初心者の皆さんには特にとっつきやすい、いい作品だとは思うけど。

うちの母も「もう1回観に来ようかな」って言ってたぐらいだけど。

私だってもう1回ベルナルドは観たいけど、でも。

お話としては、そんなに好きじゃなかったです。この間の『愛する我が街』の方が感動したし、好き。

たっぷり長いフィナーレ。素敵だったんだけど、なかなか桂ちゃんが出てこなくて、「ちょっとぉ、どうなってんのよっ!」(笑)

桂ちゃんは、「夜の稲妻」役の愛原実花ちゃんと、劇中での悲劇を補うようなインディアンのデュエットダンス。裸足で踊るの。すごい良かったぁ。

愛原さんって、白羽さんの後を受けてトップ娘役になることが決まってるのね。知らずに観てたんだけど、お芝居もダンスもうまくて、トップとしてこれからの舞台が大いに楽しみです。

劇中ほとんど声が出せなかった桂ちゃんのストレス発散のためか(笑)、エトワールも桂ちゃん♪ 「ワンカ・タンカ」を聞かせてくれます。

トウコちゃん(安蘭けい)の退団で私の宝塚通いもこれまでになってしまうのかと思っていたけど……これからは桂ちゃん(笑)。

なるべく長く在籍していてね。

トップになるまでやめないでね。

トップになっても、すぐにはやめないでね(爆)。

いや、でも、ほんとに、有望なスターさんでも、いきなり退団しちゃうことけっこうあるから……。心配。

次の雪組公演は8月。ちゃんとスケジュール空けておかなければっ!