昨日、毎日放送『ちちんぷいぷい』で紹介されていた本、『大阪のことば地図』。

「監修:真田信治、編著:岸江信介、中井精一、鳥谷善史」という名前に「おおっ!」と反応してしまいました。

真田先生はゼミでお世話になった恩師(と呼べるほど真面目に勉強していなかったけど……)、岸江先生と中井先生とは2回ほどフィールドワークをご一緒し、お世話になりました(きっとお二方は私のようなただの学生のことをご記憶ではないでしょうが)。

詳しい本の内容は和泉書院のサイト(こちら)で見られます。12月18日付の読売新聞(大阪版)にも紹介記事が載ったそうです(こちら)。

出版は今年の10月なんだけども、掲載されている言語地図のもととなった調査は1990年から1992年にかけて行われたものだそうで……「成果」として世に出るにはなかなか時間がかかるものだな、と思ったりします。

調査対象はその土地生え抜きの70歳以上の男女。

当時調査された方々は、今生きてらしたらもう90歳ですよね。

方言の正確な調査って難しくて、たとえば私なんかは福井出身で10歳頃から大阪に住んでいた父と、神戸育ちの母との間に生まれ、大阪府池田市で育ち、結婚して滋賀に移り住んで早や14年。

「滋賀弁」の調査対象にはなりえないし、池田に住んでいた時にもたぶん調査対象にはならなかったろうなぁ。

「大阪弁」をしゃべってはいるんだけど、決して「池田」に固有の言葉を話しているわけではないから、「地図」を作る時には対象にならない。

その土地にずーっと住み続けてる人を探すのって、だんだん難しくなるような気がするけど、この先の方言調査はもうざっくりと「大阪府民の言葉」「京都府民の言葉」とかになっていくのかしら。どうなんだろう。

さて。

この本は「大阪のことば地図」で、「大阪府内でも言葉に違いがあるんだよ」ということがわかる本らしい。

かの有名な、「ものもらい」のことを「めばちこ」と言うという話も、「いやいや、うちでは“めいぼ”と言う」と、違いがあるそうな。

私は断然「めばちこ」ですねぇ。

「めばちこ」がよそで通じないのってけっこう大阪人にはショックなんだけど(笑)、しかし大阪の中にも「めいぼ」という地域があるのだから、言葉というのは奥が深いです。

一口に「大阪」と言ってもかつては「摂津」「河内」「和泉」と分かれていたわけで、そのへんの考察も本書には収められているそうです。

そういえばこの間「ケンミンSHOW」のスペシャルで「なまりサミット」とかいうのをやってて、東国原宮崎県知事のあの「どげんかせんといかん」は宮崎弁じゃないんだ、って話が出てましたね。

東国原知事の出身地は旧薩摩藩の地域だから「どげんかせんといかん」になるけど、宮崎の他の地域ではあーゆー言い方ではないんだと。

「藩」のくくりってすごいなぁ。


ところでうちの息子もちょうど「国語」で方言のことを習っていて。

「でも関西弁って、ほとんど標準語と一緒やん?」

ははは。

そーだよねー。自分がしゃべってる言葉って、日本ならどこでも通じそうな気がするよねぇ。特に関西弁は「お笑い」でテレビでもよく耳にするから。

テレビのアナウンサーの言葉を聞いて、それを「標準語」だと知っていても、そして「書き言葉」としての「標準語」を知っていても、意外と「それ」と「自分の言葉」との違いって、意識にのぼらない。

自分にとっては自分のしゃべってる言葉が「あたりまえの普通」だし、「テレビ」から流れてくるのは言ってみれば「テレビ言葉」で、一対一でリアルに会話してるわけじゃないし。

全然違う地域から転勤してきた子とかいると、「言葉の違い」が鮮明になるんだけどねぇ。

いじめの原因になったりもするけど……。

そういえば昔、「私さー」「だからさー」とか言うと、父に「東京モンみたいな言葉使うな!」って怒られたりしたけど、今は関西でも「さー」ぐらい使うような。

昨日「ぷいぷい」で石田さんが言ってた「いちびり」とか「嬉しがり」とかいう言葉。

「いちびり」が方言なのは知ってたけど、「嬉しがり」って標準語じゃないの? 「暑がり」「寒がり」とかの「がり」だよね?

って、もしかして「暑がり」「寒がり」も方言だったりする???

「…がる」という接尾辞はちゃんと辞書に載ってる。「さびしがる」とか。

これを名詞にしたものが「さびしがり」。

すぐさびしがる人。

「寒がり」は「すぐ寒そうにする人」。やたら寒がる人。

「嬉しがり」は「すぐ嬉しがる人」……うーん、ちょっと違うか? 「嬉しがり」は「嬉しがり」だよなー。他の言葉では置き換えがたい。


言葉について考えるのは面白いな。と考えるこれも「言葉」。