この間の「空心鳥」に続く番外編。いよいよこれで『BUD BOY』は完結だそうです……って、一回本編は「終わった」ことになってたんだけどね。

『BUD BOY』ってもともと最初の頃は1話完結の連作集みたいになってたし、本編と番外編とどう違うのん?って気もする(笑)。

本編の方は途中から「長いエピソード」が主体になって、怪魔界に捧げられた生け贄の皇子の話とか、読むのがしんどい辛い話も多くなってきて、むしろ今回の「番外編」みたいに、短いエピソードの方が好きだなぁ、と改めて思った。

人間の哀しい業と「花」を絡めた、主人公たる蕾たちがどちらかといえば脇に回ってるエピソードの方がじーんとさせられて、好きだったな。

あ、そっか。今回の『春指南』が「番外編」なのは、「人間との絡み」が少なくて、蕾たち主要キャラだけの内輪のどたばただからか。

もちろん「どたばた」は楽しくて好き♪

蕾の花嫁選びの騒動を描いた「四姫抄」。オチがなかなか笑わせてくれました。花仙たちの年の取り方は人間とは違うわけだけど、蕾の母ちゃん、麗しの錦花仙帝様は今いったいおいくつなのかしら。いずれはやっぱり年老いておばあちゃんになって死んでいくのかなぁ。いつまでも美青年の父ちゃん、玉風大帝も……。

蕾が完全に天界に帰ってしまう日が来るのを怖れる人間の透に向かって、蕾は言う。

「だがおまえは考えたことがあるのか?最終的には置き去りにされるのはオレの方だと……。おまえが老いていくと同じ時間と同じ時は オレには流れない」

好きだわ、この感覚。

二つ目は「宝占卦(ほうせんか)」。

各話のこの凝った漢字タイトルも好きなのよね~♪

透と夕姫ちゃんの話で、ちょっとうるうるしちゃった。最初、透は高校生だったし、夕姫ちゃんは小学生だったんだよねぇ。ほとんど年を取ってない(ように見える)蕾たちと、ちゃんと「時を重ねて大人になっていく」人間の透と夕姫ちゃん。

ラストの「春指南(こいのてほどき)Ⅲ」ではめでたく二人の間に子どもも生まれちゃって……。いやー、めでたい。

なんか、ずっと10年以上も読んでる作品やし、まるで旧知の友達が結婚したかのような、「良かったね、夕姫ちゃん」という、温かい感慨がある。

三つ目の「春指南Ⅱ」と「春指南Ⅲ」は蕾と東雲のお話で……辛いねぇ、お互い。でもそこも込みで、切っても切れない縁だよね、二人は。

最後、いい終わり方だったな。じーんとさせておいて、くすりと笑わせてくれる。マンガとして描かれるのはこれが「最後」かもしれないけど、みんなの時間は――みんなの人生は、まだまだ続いていくんだよ、って思える。

きっとまた逢えるよね、って。


んで。

今月発売のプリンセスGOLDでは『やじきた』が復活するそうだ。

「やじきた学園道中記 昭和仕立~八丁堀事始メ」ってことで、「続き」ではなく、やじさんとキタさんのそもそもの出逢いが描かれるらしい。

『やじきた』って、途中で話がブチっと切れて、その後復活したら全然違うエピソードで……今度は「最初に戻る」なのね(^^;)

ブチっと切れた「元の話」の方は話が大きくなりすぎて収拾つかなかった感があったもんな(他人事は思えません)。

『やじきた』もあまりデカい話より、こじんまりした「その学校だけの話」の方が好きだわ。とにかく姫御前やハーディはうっとうしいから、もう出さないでほしい。

「そもそもの出逢い」なら彼らは出てこないから、ある意味安心して読めるな。

その代わり雪也も小鉄も出てこないけど。

「昭和仕立」……そうだよね。『やじきた』の世界にケータイとか要らないし。「義理と人情を秤にかけりゃ恥ずかしながら義理が勝つ」な世界やもんな。

そうでなきゃ「ドラマ」にならない、って思うのは、私がアラ40だから?



(懐かしの第1巻、なんと25年も前の刊行!ひえ~。)

『BUD BOY』もそうだけど、こーゆーベタな、いかにも「物語」な作品を発表する場がちゃんと残っていて嬉しい。

……森川久美さんとか、ことごとく掲載誌つぶれていくし……。

頑張ってくれ、秋田書店。『プリンセスGOLD』では『エロイカ』も連載中!


そして亮子さんは『エリュシオン』という作品も描いてらっしゃるのだな。

これ、Web配信?

なんとギリシア神話、アマゾネス王国にトロイ戦争。きゃ~、大好きな世界ぢゃないの。Amazon見るまで知らなかった。

『夢の夢』でのギルガメシュ叙事詩の描き方、好きだったし、期待しちゃうなぁ。ついAmazonぽちっ。



亮子さん、ますますがんばれ~。楽しみにしていま~す。