※以下、ネタバレあります!これからご覧になる方はご注意下さい。
『SP野望篇』公開から半年弱。
観ちゃったら終わっちゃう…と思いながら公開間もない3月16日、早々に観に行ってまいりました。
いやぁ、なんというか。
「良かった、終わらなかった!」という安堵感。
いえ、もちろんこの先まだ「続き」が作られるかどうかはわからないのですけど、「お話」自体は、「謎」自体は、まだまだ明らかになんかしてやんないよ、という含みを持たせた終わり方で。
嬉しかった。
残念ながら「真実はいつも一つ!」じゃないし、この世のすべてのことは複雑に絡み合い、一人の人間の感情さえもすっぱりと割り切れるものじゃない。現実はコナン君や火曜サスペンスみたいに最後に「わかりやすい種明かし」が待っているものじゃない。
テレビの「革命前日」で尾形さんが書いていた「井上くんへの手紙」も、その中身は一切明らかにされないんですもの。
観た人間それぞれが想像力を働かせる方が面白いとはいえ、気になる。どんなことが書いてあったんだろう。自分の「心の傷」、どうして「革命」を起こそうと思ったか、ってことだろうか。いやいやあの尾形さんが「言い訳」めいたことを書くとは思えないし、井上くんに対して「これからもSPの誇りを云々」といった内容だったのかな。
尾形さんは、「俺が育て上げたチーム」を革命の現場に配置した。革命発動のその瞬間、彼らを別の部屋に向かわせて、すぐには拘束されないようにした。
「大義のため」に命を捨てる覚悟だった尾形さんの真の望みは何だろう?
「あっち側」の人間達に自分が利用され、裏切られることももちろん尾形さんは予想していただろう。最後の最後まで、「あの人」を信じようとしてはいたけれど。
自分と同じ「心の傷」を持ち、道は違ってもゴールは同じ「復讐」だと思っていた「あの人」。
「あの人」は実際家で、尾形さんは理想家だったんだろう。
あるいは尾形さんは、優しすぎた。
いつまでも「復讐」にこだわっていても仕方がない。権力を握れば、人身御供にした尾形さんを裏で手を回して助けることだって簡単だろうし。
結局井上くん達の活躍で「革命」は「尾形さん部分」しか成功せず、「あの人」や「官僚のお坊ちゃん達」が思い描いていた部分はうまくいかなかった。「あの人」はあの後どうなったんだろう。一足飛びの権力掌握はできなかったけど、特にお咎めもなく、捲土重来を期しているんだろうか。
国会を占拠した尾形さんの告発は現状の日本に対してあまりにも耳が痛かった。震災後のこの時期に聞くとなおさらね…。
「政治と金」について次々と告発される閣僚達。「こんなことして何になるんだ!今もし外国が攻めてきたらどうするんだ!政府が機能してなきゃ困るだろ」と言う閣僚(だか国会議員だか)に「大丈夫。首相がころころ変わってもこの国はびくともせずちゃんと動いてきた」。
わはは。
いてもいなくても同じどころか、おまえらの存在自体が癌、みたいな。
苦笑するしかないんだけど、でもあの場の国会議員・閣僚をダーティで無能だと排除したところで、次に「政府」になる人間がいるのか。完全にクリーンで有能で、国民のために命がけで働いてくれる人が。
……今、この震災と原発事故を承けて、自衛隊や消防庁の人々、東電の現場の作業員達は命がけで働いてくれてる。一方で「政府」は混乱し、後手に回り、「政治家」の姿はほとんど見えないように思う。
「現場」と、それを統括し指揮する「上層部」では、「命がけ」の意味も変わってくるだろうし、その時点では不評な政策も10年20年経ってみれば「英断」だと評価されることもあるだろう。
権力を利用して不正に金を貯めたり、保身のために人殺しを容認する(というか積極的に“殺す”)なんてもちろん許されることじゃない。尾形さんの憤り・哀しみはわかる。
でも。
ただその「罪」を告発し、衆目にさらすだけでは、「革命」には至らないと思う。その後どのような政府ができるのか、どんな人間が日本という国を背負うのか。
尾形さんを人身御供にした人々は、結局「自分のために」権力が欲しかっただけ。
なんだかなー。
あの頭でっかちな「官僚のお坊ちゃん」達は最初からどう見ても「悪者」で、「おまえらの革命なんか成功してたまるか」って思ってたけど。
あっさりリバプールクリーニングに始末されとるし。
……一体あのクリーニング屋を真に動かしてるのは誰なのか? 尾形さんを連れて行く刑務官のあの意味深な「もうすぐですよ」という言葉は何を意味するのか。
いやぁ、ホントにわくわくするなぁ。「終わり」だけど「終わり」じゃないって。
井上くんは、もちろん今回もかっこよかった。
つか、今回もタフすぎ。
あれだけボカスカやられてもまだ走ったり戦ったりできるとかすごすぎる。
井上くんだけじゃなく、石田さん、笹本さん、山本くんもさすがに「尾形さんの育てたチーム」でね。ホント、この4人最強!素敵すぐる♪
同じSP同士で戦って、相手の方が人数多い(確か)のに勝っちゃうんだもんなぁ。
井上くんの「文房具トラップ」も楽しかった。爆弾より怖い文房具(笑)。井上くんは頭いいというか、創意工夫というか、サバイバル向きというか。武器がなくても文房具があれば! 勉強になりました(爆)。
そしてタフといえば忘れちゃいけない公安の田中くん。
「よく死ななかったな」という上司の言葉に「死んでるのに気づいてないだけかもしれません」。
きゃーっ、田中くんったらかっこいい!(笑)
あの公安の上司の人もいい味出してるよねー。やる気なさそうに見えて、面倒な事は勘弁してくれってふうに見えて、実は淡々とすごい仕事こなしてそう。
最後、リバプールクリーニングの仕掛けた爆発に遭遇した時も慌てず騒がず、「いつから日本はこんな物騒な国になっちまったんだ」。
ううむ、かっこいい。
あと滋賀県民としては「これ、滋賀県庁なのよねー」というのが面白かった。県庁行ったことないけど、井上くんや尾形さんが滋賀に来てたかと思うと胸熱。(県庁ロケについてはこちらの記事をどうぞ)
スタッフ及びキャストの皆さん、素敵な作品をありがとうございました。テレビシリーズから長く楽しませてもらいました。
「SPの誇りと仲間を守ることは命を懸けるに値すると思います」
願わくは再び井上くん達に会える日が来ることを……。
【関連記事】
・『SP』最終回!~誰が悪いのか?何が悪なのか?~
・『SP野望篇』観てきました♪
映画
0 Comments
コメントを投稿