2011年11月24日木曜日

実写版「妖怪人間ベム」って時代劇に

始まる前は

“『ベム』を実写だとー!しかもベム役は亀梨くんだとー!?何考えとんじゃーーー!”

と思っていたドラマ『妖怪人間ベム』。

怖い物見たさで1話目見たら「えっ、なんかよく出来てる……しかも泣ける……」とすっかりハマってしまい、毎週楽しみにしてたりします。

なんと言っても杏さんのベラがびっくりするほど秀逸で惚れてしまうけど、ベロ役の福くんも可愛いし、ベムの亀梨くんもまったく変じゃない。

いや、もちろんアニメ版のベムとはずいぶんキャラクターが違って、あまりにも苦悩しすぎ・葛藤しすぎの暗~い青年なんだけど、見てると「こーゆー妖怪人間もありかな」と思えてくる。

「人間ではない異形のもの」に生まれてしまった悲哀。いっそ「優しい心」なんか持たなければ楽だったに違いない彼らに課せられた重い宿命。

「人間になりたい」と思う彼らの前にいる「人間」は必ずしも「いいもの」じゃなくて、つまらないことで罪を犯し、見た目だけで彼らを排斥する。それでも「いつか人間に」と思うことをやめられない妖怪人間たち。

「異形のもの」を描くことでより「人間」が見えてくる、結果的に「人間」というものを深く考えさせるドラマになる。ベムの造形は違っても、アニメ版が持っていた基本コンセプトはちゃんと押さえられている。

というかむしろ、実写の方が現代日本が舞台で、無国籍でホラーな色合いも強かったアニメ版より一層そこが前面に押し出されてるかも。

そしてそーゆーコンセプト、私は大好きなので。

毎週「ベタだな」と思いつつ喜んで泣かされています。

うん、なんていうか、ホントに毎回ストーリー展開がベタというかド真ん中というか、こう、「物語」だなぁ、って。

時代劇に近いものを感じる。

時代劇って、「話型」が決まってるでしょう。「こんな話前にもあったじゃん」っていう。でもそのマンネリな「話型」こそが「安心して見ていられる」だし、やっぱり一番心に響くからこそ「話型」として語り継がれているわけで。

だって実写版「ベム」の各話って、そのまま『鬼平犯科帳』にしちゃってもおかしくないと思うもん。

・1話→ベテラン与力が息子の復讐のために道を踏み外してしまう。

・2話→忠吾あたりが「あの女が犯人ですよ!」と言い、おまささんあたりが「あたしにはどうしてもそうは思えないんです」と言って、頑なな女の心を溶かし、真犯人も挙げる。

・3話→鬼平がまだ不良の時に一度助けた男がまた自殺を図って…。

・4話→放火魔の女。これは以前ホントに時代劇であった。町人から武家に嫁いで肩身の狭い思いをしているご新造が放火で気持ちを鎮めている、という。国生さゆりがやってた(たぶん「髪結い伊三次」4話赤い闇)。

・5話→父親の家庭内暴力を訴えにきた青年を忠吾あたりがテキトーにあしらったせいで青年は同心達を逆恨みして……、って、忠吾は火付け盗賊改めだからそんな相談受けないかな。でもたまたま知り合ってとか、知り合いの知り合いで、とか。

時代劇とか「妖怪」とか、どっちもある種の「ファンタジー」で、ファンタジーだからこそ普通じゃ恥ずかしいクサい台詞も素直に聞けるんだよね。「人間に生まれたことをなぜ幸運だと思えないのか」とか、「それでも存在してる意味を信じたい」とか。

平田満さんのさすがの演技が光った第3話は『ポーの一族』もヒントになっているとか。(→「スタッフ日記」)

年を取らないバンパイア、年を取らない妖怪人間。昔、まだ青年と言える時期に助けた男が今は老境にさしかかり、けれどベム達は変わらず若いまま。

何を成し遂げても、あるいは何も成さなくても、結局は死んでしまう人間達。

事業に失敗し、妻を亡くし、癌と診断され、「俺の人生は何だったのか」と問う男。

一方で、人間にとっては見果てぬ夢である「不老不死」の存在であるベム達も、「一体何のために自分たちは生み出されたのか。存在に意味はあるのか」と「生きる意味」を探してる。

「この世に存在する」っていうのは、どういうことなんだろう。

そこに「意味」って、ホントにあるもんなんだろうか。

平田満さん演じる男は再びベム達と会ったことで残りの人生を前向きに生きていく。そしてベム達も彼に「ありのままの自分たち」を受け入れてもらったことで、たぶん少し「俺たち生きていてもいいんだ」って気持ちになっただろう。

そうやって出会いと別れを繰り返すことこそが「存在の意味」なのかな。

「おいら達も人間になったら死んじゃうの?」と訊くベロ。

「それでもやっぱり人間になりたい」と思う妖怪人間達。

「不老不死」の方がずっと羨ましいし、彼らが本当に望み、必要としていることは、「生物学的に人間になる」ことじゃなくて、人間社会の一員として受け入れてもらうことなんだろうけど。

……でも、大事な人たちが老いて死んでいくのを何年も、何人も見送り続けるのはやっぱりつらいことかな……。

『ポーの一族』や『MOON CHILD』のバンパイア達。あるいは清水玲子さんの描くジャックとエレナのような精巧なアンドロイド。「人間でない」ということはどういうことなのか、「人間である」ということは――。

 

実写版『妖怪人間ベム』、あと4話ぐらいかな? アニメ版は「生死不明」だったけど、どんな終わり方をするのか、柄本明さん扮する謎の男の「目的」は何なのか、今後の展開が楽しみです。

2 件のコメント:

  1.  ひゅうがさんもこのドラマ、取り上げられましたか[E:happy01]
     ベラの秀逸さはネット上でも騒がれていますが、ひゅうがさんが僕のところにもコメントいただいていたように、この亀梨君扮する『ベム』もこれはこれでアリというか、良く演じているなと思いますね。
     ベラの杏さんは見た目もハマリすぎだろう[E:coldsweats01] って感じですけど。 もちろん杏さんの方が圧倒的に美しいですけどね。
    �� 「異形のもの」を描くことでより「人間」が見えてくる、結果的に「人間」というものを深く考えさせるドラマになる。ベムの造形は違っても、アニメ版が持っていた基本コンセプトはちゃんと押さえられている。
     本当にそうですよね。
     僕は毎回観ている訳では無いですけど、アニメの良さを引き立てこそすれ、貶めてはいませんよね。 これって凄いことです。
     ちなみに、実写版『ドラえもん』のジャン・レノも、あれはあれでアリかと[E:coldsweats01]

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  2. ��ちゃんちゃん様
    ホントに杏さんはお見事ですよねぇ。
    もう「妖怪人間ベラ」というタイトルにしたいぐらい(笑)。
    無口なベムと時にボケとツッコミみたいになるのも面白くて。
    亀梨くんも抑えた芝居が多くてけっこう難しい役だと思いますが、よくやってますよね。
    実写版ドラえもんは「よくそんな仕事受けたな」って感じですが[E:coldsweats01]
    CMだし、シュールな雰囲気が面白いですね。

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