※ネタバレあります!これからご覧になる方はご注意ください!!!

 

キリヤン(霧矢大夢)のサヨナラ公演、『エドワード8世』観てきました♪

宝塚大劇場では3月5日(月)が千秋楽。見に行ったのは3月3日の土曜日と、「もうあと2日で幕が閉まる」終盤も終盤でした。

たまたまVISA貸切公演がそんな切羽詰まった日程だっただけなのですが。

たいていA席しか当たらないVISA貸切、珍しくS席が当たって、しかも13列目というかなり前方の良い席。上手一番端ではありましたが、こんな前で観るの何年ぶりだろう。

かつては当たり前のようにS席で観ていましたが(18列目ぐらいが多かったかな)、最近は自分で買うのもA席。貧乏だし、昔ほど入れ込むスターさんもいないので……。

そんな、珍しく良い席で観た『エドワード8世』、いや、良かったです! 最近の宝塚にはあんまり期待してなくて(←おい)、今回も「下級生からずっと知ってるキリヤンのサヨナラは一応見届けておかないと」ぐらいの軽い気持ちだったんだけど。

すごい良かった!

一緒に観た母も「キリヤントップになってから一番良かったんじゃない?」と。

狂言回しとして二番手男役の龍真咲さん(次期トップに決定済み)がBBCのプロデューサーで出てきて、「ラジオ放送」の形で色々語ってくれるんですが、それをうまく開演アナウンスと絡めてある。

役のまま龍さんが「携帯の電源は切ってね。写真撮影は禁止、あれホントに気になるんだから!」などと諸注意を喋り、「それではゲストに」とキリヤンを紹介し、トップスターによる開演アナウンスとあいなる。

いやぁ、もうこの段階でお芝居の世界にがっつり引き込まれちゃうものね。

幕開きはエドワード8世のお葬式で始まるんだけど、ここのセリフ・演出もすごく洒落てる。

プリンス・チャーミングと呼ばれた皇太子デイヴィッド(後のエドワード8世)と、人妻ウォリスとの愛。最後にはデイヴィッドが王冠を捨てウォリスを取る、ということは知っているのに、「どういうふうにその最後へ至るのか」、ずっとドキドキ。

なんていうんだろう、こういう言い方おこがましいけど、すごく脚本がよくできてる。

中だるみとか、「このシーンはなくてもいいんじゃない?」みたいなとこがまるでなく。

登場人物も多いし、「有名」とは言ってもそうそう詳しく背景を知ってるわけでもない日本の客に整理してうまく見せるのはけっこう大変だと思うんだけど、展開が実にスムーズなのよねぇ。

「皇太子」であるがゆえに近づいてくる者は多く、「皇太子」ではない「素の自分」を見てほしいと思うデイヴィッドの葛藤。決して素敵な出逢い方をしたわけではないウォリスと掛け合い漫才みたいなことをしながらも徐々にお互いの存在が何より大事になっていく過程……。

キリヤンと蒼乃さんだからこそこんな「大人の話」ができるんだろうけど、脚本・演出も素晴らしかったと思う。

ウォリス、離婚歴のある人妻なんだもんね。

デイヴィッドと結婚する時には「バツ2」。

宝塚のヒロインが「バツ2」だよ!

それがちっともいやらしくなく、「大人の女」の魅力として成立していて。

蒼乃さんってやっと研8でしょう。4月で研9になるけど、「ベテラン」というほどではない。

宝塚でのトップお披露目『スカーレット・ピンパーネル』がそもまず「人妻」だったもんねぇ。私よりずーっと若いのに、「大人の女」を演じられる娘役さん。退団寂しいな。

葛藤していても表面的にはプレイボーイで洒脱なデイヴィッド、キリヤンはもちろんうまくて、軽快で嫌みがない。

チャーチル役で一樹千尋さんが出ていたのも私には無茶苦茶ポイントが高く(笑)。

好きなのよー、一樹さん。我が青春の星組組長!

またチャーチルという役自体がいいんだよね。喰えない狸。「正気の沙汰じゃないなら、正気なんてなくしちまえばいい」とか、「そんな勝手な期待に押し潰されるようじゃとても国王なんて務まらない」とか。(←どちらも正確なセリフではない)

最後、デイヴィッドが国民に退位を告げるラジオ放送の原稿を「校正してもいいか?」と。政治家としてだけでなく文筆家としても名を成した(なんとノーベル文学賞も取ってるらしい。知らんかった!)チャーチルらしい見送り方。

いいシーンだったなぁ。

そこから続いてウォリスが「後悔してない?何度でも聞きたいのよ」って言うところもうるうるした。

あー、大人のお話ってええね。

デイヴィッドの父親ジョージ五世としてソルーナさん(磯野千尋)も出ていて。

専科のW千尋お姉様が同時出演♪

お懐かしい(涙)。

でもなんか考えちゃったなぁ。日本のロイヤルファミリーも大変なだけに。

愛のために王冠を捨てるって、そりゃロマンチックで素敵だけど、でも「責任を放棄した」とも言えるわけで。

誰も好きで皇太子なんかに生まれたわけじゃない、勝手に背負わされた責任を、まっとうしなきゃいけない義務はあるのか。

「名もないただの国民」は、彼らにどれほどのことを要求できると言うんだろう? その国の「国民」だというだけで、勝手な期待を押しつける権利があるというのか……。

「じゃあ私に許されることは何だ!」とデイヴィッドが叫ぶシーンがある。王家に生まれ落ちることは、庶民が思うほど羨ましいことではなかろう。

観劇後にプログラム見たら下級生の分までどーんと詳細な役の説明が書いてあって、「すごいなぁ、みんな実在の人物なんだなぁ」と。

龍さん演じるBBCのプロデューサー、実はソ連と通じてました、っていうのが「これだけは余計じゃない?」って見てる時思ったんだけど、それも「実話」だということで。

事実は小説より奇なり、ですねぇ。いやはや。 

さてそして。

ショー『Misty Station』。

こちらも楽しめました。衣装、セットともなかなか凝った感じで良かったし、何より。

専科のW千尋お姉様方がお芝居に引き続いてご活躍!!!

専科のお姉様方って、お芝居のみのご出演のことが多く、ショーまで居残ってくれないのがいつもすごく残念だったんですよね。一樹さんは歌もとても素敵で(ああ、思い出すコーイヌール!)、お芝居だけではもったいないと常々。

ソルさんもナツメさんとともに「ダンスの花組」を引っ張られた方。若い時のように何場面も激しく踊るのは無理でしょうけど、少しぐらい……と思っていたら。

ギャングの「顔役」として格好いいスーツ姿で踊ってくださった!!!

きゃーきゃー!!!

すいません、主役のキリヤン見ないでソルさんばっかり見てしまいました。

ソルさんが来たんだから絶対一樹さんだって出番が、とドキドキワクワクしていたら。

キターーーーーーーーーーっ、一樹さんの歌キターーーーーーーーーーっ!!!!!

白いドレスでニンフの歌手役。もう一人若いニンフと二人で「Daydream」という歌を大変素敵に歌い上げてくださった♪

やはりここでもキリヤン見ないで一樹さんばかり(笑)。

だって次いつ見られるかわかりませんよ、一樹お姉様の女装!(爆) 歌声だけでなくそのお姿も目に焼き付けておかないと。

もう一人のニンフもすごい綺麗な声でうまくて、しかも顔も可愛かったから後でプログラムでチェックしたら輝城みつるという生徒さんで。

え、彼女も男役なんだ、とびっくり。なんかNHKニュース9のお天気キャスター井田寛子さんをちょっと思い出させる可憐さだったのに。

声も高く澄んできれいだったし。

娘役するには背が高すぎるのかな? しかし要注目の若手さんです♪

私的にはW千尋大活躍なだけでも十分観る甲斐のあるショーだったのですが、さらに。

なんとキリヤンが「魂のルフラン」を歌ってしまう!「魂のルフラン」ですよ、あなた!!!



そう、エヴァンゲリヲンの…。

まさか宝塚で「魂のルフラン」を聞くとは――。齋藤先生、こないだ雪組のショーでは「派手に行くぜ!」ってゴーカイジャーしてたし、世代ってゆーか厨二ってゆーか(笑)。

ジャングルのシーンで、ガルーダやナーガといったインド系の神様を従え、「God」役(どうせならシヴァとかにすれば良かったのにな)のキリヤンが「♪私に還りなさい 生まれる前に あなたが過ごした大地へと♪」と歌う。

全然変じゃないどころか曲も詞もやたらハマってて、知らない人は「宝塚オリジナルの曲」だと思うんじゃないだろうか。

こないだの「ゆず」より何百倍も良かった!(←単に私がアニヲタなだけ)

またキリヤンが歌うまいからさー。いやー、もうホンマ良かったわー。

フィナーレ前には蒼乃さんが「Goodby My Love」を歌い、「おおっ、アン・ルイス!」と思ったら男役燕尾大階段は「ファイナル・カウントダウン」と来た。ぎゃおー、なんだこの「世代」なラインナップ(笑)。

キリヤンのサヨナラということで、お芝居の方も「王位を去る=トップの座を去る」って感じで最後役と本人がダブったし、ショーの方も最後のデュエットダンスはマイウェイ、「別れ」や「旅立ち」を意識させる演出が随所に。

「Misty Station~霧の終着駅~」ってタイトルなんだもんねぇ。

キリヤンだけでなく青樹泉さんや一色瑠加さんも卒業で。

…本当に、専科のお姉様方しかわからない時代が来ちまったよ…。

ゆうひ君も卒業だもんね。ついに私が通ってた時代に舞台に立ってた人がいなくなる…。桂ちゃんは1998年初舞台、蘭寿さんが1996年、柚希さんなんか1999年かー。もう私子どもも産んでるっちゅうねん。

ショーのグランドフィナーレ、W千尋お姉様方が白いハットにステッキ抱えて大階段降りてこられて。素敵だった。嬉しかった。もう、私の頼みの綱は専科のお姉様方しかいない。ううう。

宝塚での公演は終わってしまったけど、お芝居もショーもとても素敵だったので、東京公演是非!(って言ってももうチケットないかしら…)