カナメさん(涼風真世)の代表作として名高いあの『PUCK』を再演するということで、怖い物見たさで観てきました(笑)。

いや、だって、昔の舞台が大好きだった人間にとっては、たとえどんなに今の舞台の出来が良くても「カナメさんはこうだった」「ここのセリフはこうだった」などと比べてしまうに違いなく。

虚心坦懐に観ることなんてできないに決まってるんです。

「ごめんね 去年の人と また比べている~~~~~♪」

とはいえ。

22年ぶりの『PUCK』(もうそんなに昔なのかっ!)、なかなか良かったです。初演を観たことのない人なら手放しで「良かった!」という感想を持つのでは。

龍さんのパックは十分可愛かったし、歌い方のクセも普段より気にならなかった。(龍さんの歌い方、私はちょっと苦手なのです)

むしろハーミアの方が「ああ、よっちゃん(麻乃佳世)じゃない…」感が(^_^;

カナメさんのパックはもちろんだけど、よっちゃんのハーミアも可愛くて好きだったんだよねぇ。当時「これハーミアみたい!」ってめったに買わないスカートを買ってしまったぐらい。

愛希さんの方がよっちゃんより歌うまい気がするし、お芝居も良くて遠目には素敵なハーミアだったんだけど、双眼鏡を覗くと「ああ、よっちゃんじゃない…」。

大人っぽいというか、愛希さんは「愛らしい」というのとはちょっと違うでしょう。いや、お芝居はホントに良くて、「プック」に向かって「子どもの頃の思い出は日記の中にとざしましょう」と歌う場面では自然に涙がこぼれてきちゃったのですが。

うん、やっぱり素敵な作品だよね、これ。「EVER GREEN」のところも、ラストシーンも、うるうるしてしまう。

「EVER GREEN」の「エバーエバーグリーン♪」っていうところの歌い方がカナメさんと違ったの気になったけど…気にしてもしようがない……。

あと音楽関連では「グローイングアップ」の曲が変わってたのがショックでした。あの曲可愛くて楽しくてすごい好きだったのにぃぃぃ。

プログラムによると「パック誕生」「ミッドサマーイブ」「EVER GREEN」以外の楽曲は書き直しているらしく。

ウッドペッカーズの曲も違ったみたい。さすがに「グローイングアップ」以外の曲については違うのかどうか判別できなかった……。

22年前はゆりちゃん(天海祐希)が演じたウッドペッカーズのリーダー、ボビー。今回は珠城りょうさん。

よく知らないのでググったところ、ゆりちゃんと同じく早くに新人公演初主演を果たし、昨年にはバウホールで主演を経験したという注目株。今回も研7でこの重要な役。劇団大プッシュなんでしょうかね。

大柄で舞台映えがするし、歌も悪くない。ショーでもソロで歌わせてもらってた。美弥さんとか凪七さんは抜かされてしまうのでは……!?

でもやっぱりまだゆりちゃんほどの華はない感じ? まぁボビーの時すでにゆりちゃんは確固たる「2番手」だったから、いくら「注目の若手スター」とはいえオーラは違って当たり前か。

私はゆりちゃん、あんまり好きじゃなかったけど、こうして思い返してみるとやっぱり「違うもの」を持ってるスターさんだったんだなぁと。

しかし珠城さんって星条さんと似てる…。ショーの時、「あれ?どっち?」って思うシーンがしばしば。歌うと声が違うからわかるんだけど、遠目では区別が(^^;)

一緒に見に行った母は「化粧が違うからわかる。青い方が星条さん」って言ってたけど。さすが母ちゃん。

かつてみつえちゃん(若央りさ)が演じたラリーは凪七さん、ノンちゃん(久世星佳)が演じたダニーは美弥さん。

……あまり、印象がない……。どっちがどっちだっけ、みたいな……ごめんなさい……。

初演で男役(汐風幸さん)が演じたヘレンはやはり今回も「男役が演じる女の子」で沙央くらまさん。

沙央さんは雰囲気があってけっこう好きなスターさんだったのですが、この公演を最後に専科に移られるそうで。辞められるのに比べれば全然いいけれど、組子としてはこれが最後かと思うとなんか寂しいです。

お姉様方がどんどんいなくなって専科はどうなるんだろ?と思っていたのでそういう意味ではいいことなんだろうけど、でもまだまだ組子として活躍してほしい気もあるし。ああいう雰囲気のあるスターさんがいるとお話にふくらみが出ると思うんですよねぇ。主役だけでは舞台は作れないので。

沙央さんってトップの龍さんと同期だから、まぁ、ホントに「退団じゃなくてよかった」ではあるのですけどね。

ヘレン、良かったです。

「美人」のハーミアといつも比べられ、ブス扱いされてるヘレンだけど、十分美人だよね(笑)。

普段の男役の声とは違う裏声ぽい声がちょっとりんりん(朝凪鈴)や舞希彩さんを彷彿とさせました。舞希さんは初演でヘレンの母親レイチェルをやってたよなぁ、確か。独特の声が素敵な娘役さんだった。

妖精の王オベロンは星条海斗さん、そして王妃タイテーニアは憧花ゆりのさん。ここは実に適材適所、はまってましたね。

特に憧花さんは素晴らしい。歌もうまいし高慢な女をチャーミングに演じられる娘役さんって貴重。

何しろタイテーニアは初演時の羽根ちゃん(羽根知里)が絶品で、なまなかな娘役には務まるまい、という役なので。憧花さんがいて良かったなぁ。

星条さんのオベロン様も良かったけど、初演の真織ちゃん(真織由季)の可愛らしいオベロン様大好きだっただけに……「タイテーニアともども妖精王夫婦は大人っぽくなっちゃったな。そりゃ22年も経っちゃったもん、妖精も年取るな」って感じ(笑)。

台風19号がらみのアドリブ(観劇したのは19号上陸を翌日に控えた10月12日の11時公演でした)などもあり、楽しくて、でも最後はうるっと泣けるお芝居。

うん、やっぱりいいですね、『PUCK』。夏休みにやったら子どもにも喜ばれるのになぁ。初演の宝塚大劇場はちょうど夏休み期間だったのに。

で。

ショー『CRYSTAL TAKARAZUKA』がまたなかなかの出来。

プロローグから客席に降りてきてくれて盛り上がるし、どの場面もストーリー、ダンスともに面白かった。

プロローグでナガさん(飛鳥裕組長)踊っててびっくりしました。「おおお、組長踊ってるぞ!」と(笑)。

だってナガさん、私もう30年くらい見てるよ。カリンチョさん時代の雪組からずっと……。ネッシーさん(日向薫)やハッチさん(夏美よう)と同期だから、わりと早く雪組副組長になられて、組長になったのも早かったのかなとは思うけど、専科じゃなく組子としてショーにも出演されてるの見ると「おおおっ!」と思います。

末永くがんばっていただきたいです。もう知ってる人が専科さんや組長さんしか……(あうう)。

で、えーっと、ショーの話ですけど、中詰めがジプシー・キングスメドレーなんですよ!!! これまでもジプキンの曲は宝塚で何度も使われてますけど、こんな、一場面まるまる全部ジプキンとか初めてじゃないですか?

めっちゃ盛り上がりました♪

自分の好きなジャンルの音楽が使われてるショーはそれだけで評価が上がっちゃいますが(笑)、続く「しずくの結晶」も非常に素敵な場面でした。

一粒のしずくが川となり海となり、やがてまた空へ還る……。いわば「水の一生」を全員出場の群舞で見せてくれるのです。決して派手なシーンではないのですけど、見応えのあるダンスでした。うん、名場面。

 

近所に住んでたらもう1回観に行ってもいいな、と思う公演でした。

そしてやっぱり初演が観たくなってとりあえずカナメさんの「パック誕生」を聞いてしまうという(^^;) 22年前ですか……。