剛ちゃんファンとしては買わざるを得なくてですね、ええ。

しょーがねーな、ぐらいの気持ちで読み始めたんですけど、これが予想外に面白くて。

買って良かったと思いました、うん。

剛ちゃん可愛いよ剛ちゃん♡



お話は、2017年のクリスマスイブから始まります。ドライブのテレビ本編が終わったのは2015年の9月。物語の中の時間も同じ2015年の秋で、その後「MOVIE大戦」の最後で進之介と霧子が結婚したのが2015年のクリスマスイブだったらしい。

あれから2年。

進之介と霧子の間にはめでたく息子英志が生まれていて、2年前にできなかった結婚パーティのやり直しをしようとしています。「MOVIE大戦」で描かれたあの挙式の後、事件が起きて祝賀パーティの方は中止になったらしいのです。

で、そのやり直しパーティに参加するべく剛ちゃんも日本に帰ってきたのですが、案の定というかお約束というか、またしても事件。

それも過去のロイミュードの事件をなぞった犯罪が次々と起こるんですね。

解散していた特状課の面々が再び集まり、剛ちゃんと、そしてチェイスのコピー元だった白バイ警官狩野も加わって、事件解決に奔走することになります。

かつてロイミュード事件に関わって投獄された仁良さん達も脱獄して大活躍! そういえば仁良さんは死んでなかったんだなぁ。あの強烈なキャラクターは殺すには惜しいもんね。今回もあのままのテンションで頑張ってくれています。文字だけだけど仁良さんのセリフ回しや表情は脳内再生余裕すぎる(笑)。

他の犯人たちは「誰だっけ?どんな事件だっけ?」と思う人が多いけど、ちゃんとカバーの見返しに全員のカラー写真がついているので「ああ~、こいつか」と思い出せる人も(写真見ても思い出せない奴もいる)。

しかし進之介や霧子の写真はついてなくて、主役である剛ちゃんも帯に写真があるだけで本自体には載ってないのに、犯人達の顔写真はばっちりって、なんかすごい。普通カバー見返しには剛ちゃんや狩野くんの写真じゃない!?

まぁ二人の顔は読者みんなすぐ脳内再生できるだろうからわざわざ載せなかったんでしょうけども。

剛ちゃんのカラーグラビアつけてくれても良かったのよ。剛ちゃんと狩野くんのツーショートグラビアがあっても良かったのよ!



事件解決の糸口を探るため、かつて自分を陥れた西堀令子のもとを尋ねる剛ちゃん。ロイミュードを作った蛮野を父に持つ剛ちゃんと、犯罪心理学者でありながら自らも凶悪なコピーキャット(模倣犯)だった西堀光也を父に持つ令子。同じ「怪物の子ども」という宿命を背負わされた彼女と向き合い、事件の真犯人を倒すことで剛ちゃんは今度こそ本当に「父」という呪縛を断ち切り、新しい未来へと足を踏み出していきます。

テレビ本編では詳しく描かれることのなかった剛ちゃんのアメリカ時代。ハーレー博士との出逢い。なぜ剛ちゃんが最初あんなに派手に、まるで『エロイカより愛をこめて』のロレンスかと思うぐらいけばけばしく登場したのか。

みんな姉ちゃんのためなんだよねぇ。

姉ちゃんに心配かけないために、マッハの訓練だけでなく「笑顔の練習」までしていた剛ちゃん。アメリカで何があったか、何を知ってしまったか、決して悟られないように、それだけの笑顔が見せられるようになるまで、姉ちゃんの前に姿を見せることはできなかった。

うう。泣けるわ、剛ちゃん。

剛ちゃんの一人称で書かれているので、剛ちゃんが色々思い出したり、決意したりするたびにうるうる。

剛ちゃん可愛いよ剛ちゃん。

なんかほんと改めて、剛ちゃん可哀想だなぁ、って。「蛮野の子ども」という十字架を背負って、でもそのことをずっと誰にも言えなくて、その心の傷、負の感情をロイミュードに利用され、チェイスを喪い、父をその手にかけて――。

進之介の父が「正義の味方」であっただけに、父を信じ自分を信じてまっすぐ正義の道を行く「進兄さん」がまぶしく羨ましかったろうなと。

この「マッハサーガ」があまりに楽しかったのでついついDVDを引っ張り出して西堀令子回を見てしまったんですけど、進兄さんに「おまえらしくない」と言われた剛ちゃんが「俺らしいってなんだよ、俺が何を背負ってるのか、知りもしないくせに!」って言うとこ、ほんとつらい。ううっ、剛ちゃん可哀想だよ剛ちゃん。

アメリカで親友をロイミュードに殺され、そのロイミュードを作ったのは他でもない自分の父親だと知り、その葛藤からチェイスをダチと呼べないまま喪うことになってしまった剛ちゃん。

この小説ではチェイスのコピー元狩野くんとの絡みもしっかり描かれてますし、最後の変身しての戦い(もちろん変身します!)ではチェイスの想い、チェイスに対する剛ちゃんの想いが新たなパワーを!!!

いやー熱いわほんま。

小説だけじゃなくちゃんと映像で見たいです。

11月に発売されるVシネマ『仮面ライダーマッハ/仮面ライダーハート』のマッハパートはこの小説のさらに後を描いたものになるそうで。



んー、じゃあついにりんなさんが新しいマッハドライバーの開発に成功するってこと? 剛ちゃんとチェイスの融合がさらに進むと!?

りんなさんと言えば小説の中でめでたくゲンパチとラブラブになってくれて嬉しいです。本編の最後で特状課のみんなの「その後」が紹介されていた時二人がくっついてなくてすごく残念だったんですよねぇ。霧子と進之介よりそっちが先だろう!みたいな。

「思わず見ちゃった西堀令子回」では新興住宅地に引っ越してきた新婚夫婦を装うゲンパチ&りんなさんの姿も見られるんですが、ほんとにいいカップルでねぇ。これでくっつかないなんてりんなさんゲンパチを弄びすぎだよ!

そしてラブラブと言えば剛ちゃんも西堀令子と急接近して、Vシネにも当然令子さん出るらしくてさらにラブラブになっちゃうのか?と剛ちゃんファンとしてはやきもきしてしまいます。

剛ちゃんにはチェイスがいるじゃないかっ! チェイス死んだけど狩野くん出てきたし、チェイス復活もありうると希望でてきたし、なにより「チェイスと一体化することで完成する」とか言っちゃってるじゃーん!(※実際は「チェイス」とは言ってません。ロイミュードと人間が一体化することで云々と言ってるだけ)

まぁね、苦労続きの剛ちゃん、幸せになってほしいとは思うので。思うけど……うう。



巻末には「公式『仮面ライダードライブ』全史」がついていて、ロイミュード誕生前夜(1995年)からの歴史を振り返ることができます。

作中「そんなのいたっけ?」と思ったエンジェル・ロイミュードはVシネマ『仮面ライダーチェイサー』に出てくることもちゃんと書いてありました。

まだ見てないんだよー、仮面ライダーチェイサー。テレビ本編を見ていれば小説は十分楽しめますけども。


Vシネマの発売が待ち遠しいですわ。剛ちゃん可愛いよ剛ちゃん!