7月7日の11時公演を観てまいりました。

はい、7月7日です。

西日本豪雨の最中です。

前日6日には近畿地方のJRがほぼ死亡し、旦那さんも出勤できず自宅待機の状況。私の住んでいるあたり(琵琶湖の東側)はそれほど雨はひどくなかったものの、宝塚を含む阪神間は豪雨が続き、「これ、7日も電車動かないのでは……」とハラハラいたしました。

その後の浸水被害の様子を見ると、「宝塚に行けるか行けないか」なんて些細な心配ではあるのですが、チケット代金どうこうではなく、二度と同じ公演は観られないので……。楽しみにしていた公演を生で観られないのはやはりとても悲しい。

幸い7日はJRががんばって新快速以外の電車を動かしてくれたので、無事観劇することができました。ありがとうJR、ほんとありがとう。

いつもより片道40分ほどよけいにかかって、3時間の公演のために往復6時間みたいなことになってましたし、座ってる時間長すぎてエコノミー症候群になりそうでしたが。

無事宝塚に着けてありがたい。

何しろ。

いつも一緒に観劇している母はJRも神鉄も止まってしまって、観に来られなかったのです。私よりずっとずっと近いところに住んでるのに、母の方が無理だった。JR動いたのは夜、神鉄も翌8日には動いたんですけど……8日の公演だったら観られたのにな……こればっかりは……。

仕方なく一人で観劇。
B席だったのですが、私の前の列と後ろの列がけっこう空席で、元から売れていなかったのか、母と同じく来たくても来られなかったのか。


で、さて。

まずは『凱旋門』です。
トドちゃん(轟悠)が18年ぶりに(博多座公演は2001年だから17年ぶり?)ラヴィックを演じるということで。

うーん。

私としてはどうせ『凱旋門』をやるなら望海さんのラヴィックを観たかったなぁ。
初演の『凱旋門』は大劇場で観ていて、「宝塚がこんな大人の物語を」って思ったし、トドちゃん素敵だったけど、でも望海さんの主演公演をもっと観たいんだよ!と。

実際に舞台を観ても、その思いは変わりませんでした。
千秋楽を二日後に控えた最終盤ということもあるのか、はたまた風邪でもひいているのか、相変わらずトドちゃん声が枯れてて、セリフはまだしも歌が非常に聞き苦しい。
先日のバウ公演『神家の七人』でも声枯れてたし、なんか、喉悪いのかな……。

望海さんの歌が素晴らしいだけに、よけいトドちゃんの声がしんどそうなのが気になっちゃうんですよねぇ。

お芝居も、トドちゃんのセリフ回しってクセがあって、それは魅力でもあるけど、なんか今回はクドく感じちゃいました。
それになんか、奔放で情熱的な若い女(ヒロイン:ジョアン)に振り回されるおっさん感がこう……。
なんだろう、B席だし、双眼鏡使わなければ顔なんかちゃんと見えないのに、すごくおじさん感が。

ラヴィックってもともとそういうキャラクターなのかもしれない。それだけいいお芝居なのかもしれない。

ジョアン役の真彩さんが初演の月影さんより溌剌と若くキュートな雰囲気で、だから一層「おっさんが振り回される」ように見えたんだろうなぁ。

なんか、「あれ?この話のヒロインってこういう女の子だったんだ?」って思ったもんね。

まぁ初演のキャスト、トドちゃんと月影さん以外にはハイメ役がトウコちゃんってことしか覚えてなかったし、さほど思い入れのある公演でもなく、ストーリー全然覚えてなかったんだけど、「一人ではいられない恋愛体質のジョアン」にちょっとびっくりしちゃって。

一週間前に一緒にパリに来た恋人が急死して、「どうしたらいいかわからず」自分も死のうと思ってさまよっていたかと思うと助けてくれたラヴィックに猛アプローチ。てかその前に、助けられてたった3週間でショーガールとしてすっかり店の看板に。

もともと女優志望でパリに出てきたんだし、チャンスを活かすのは当然とはいえ、死んだ恋人は何だったんだろう、「私も死のう」ぐらいまで思い詰めてたの何だったんだろう……。

亡命者であるラヴィックは警察に見つかれば国外退去。「すぐに戻ってくる」つもりが体を壊してパリに戻るのが3か月後になり、その3か月が待てなくてジョアンは映画俳優アンリの求愛を受け入れている。

うん。

これもね、3か月音信不通で、不安になるのはわかるよ。「私は捨てられたんだ」と思ってもしょうがない部分ある。その前からアンリはジョアンに夢中で、さんざんアプローチされてたんだろうし、彼のおかげで女優への第一歩も踏み出せちゃって、「誠実に尽くしてくれる人をそんな簡単に切れないわ」もわかる。

だからと言ってラヴィックへの想いが嘘だったとかいうわけでなく、ジョアンは「そういう女の子」なだけで、そういう女の子に惚れちゃったおじさんの方が悪いわけだよ。で、そういう女の子に「あなたに会いたかったのよ」なんてアタックされておじさんが落ちちゃうのもしょうがないなぁと思うんだけど。

亡命者ゆえにコソコソとしか働けないとはいえラヴィックは優秀な外科医で、ゲシュタポに尋問され恋人を殺された辛い過去もあり、最後に若者に希望を託す「大人の男」なんだ。でもそっちの面より「情けないおっさん」の面ばかり印象に残ってしまった……。

真彩さんの奔放な「ファム・ファタル」が素晴らしかったということなのでしょう。

最終的にあんなことになっちゃうの、カルメンだもんね。

真彩さんのジョアンと望海さんのラヴィックで観たかったな……(しつこい)。

でも望海さんのボリスも良かった!!! クールで格好いい、でも友人ラヴィックのことは心底案じていて、芯には熱いものを持ってるってわかる。

最後、ラヴィックとの別れの場面で「来いよ!」ってハグを要求するとこ、「ロシア式はどうも…男とキスなんて」というラヴィックをひしと抱きしめ熱いキス!

その前(だったかな)「英雄気取りが!」ってとこの表情もすごく良かった。

歌もお芝居もほんと素晴らしいよね、望海さん。

二番手彩風さんはジョアンに夢中になるアンリ役。二番手としては少々物足りない役だけど、スッと格好いい若い映画俳優でありながらちょっと危ないストーカー気質の男を好演。

望海さんがラヴィックなら彩風さんがボリスやってたと思うけど、揺れる大人の男望海さんと、それを見守る陽気な(きっと彩風さんならクールというより陽気な感じになると)ボリスの組みあわせ、良かったと思うなぁ。観たかったなぁ(まだ言う)。

 
一転、ショー『Gato Bonito!!』はそんなモヤモヤを吹き飛ばす望海さん歌いまくりの熱いラテンショー!!!

ラテンってだけでも好みなのに、望海さんの「クンバンチェロ」、圧倒的すぎる!!!!!

幕開きも「世界一美しい猫のような男」が猫のようにセクシーに寝そべって「来てしまったよ あなたの愛の中に♪」って、悩殺してくれる。

扇をうちふるってのプロローグ、エル・クンバンチェロ、ブエノスアイレスのマリア、コパカバーナ……。好きなもののオンパレード。ブエノスアイレスのマリアでのタンゴシーンはヤンさん(安寿ミラ)の振り付け。素敵だった♪

「大地の歌」っぽいサバンナの場面は新しい先生の振り付けで、こちらも印象的でした。

望海さん、二度ほど客席に降りるところがあって、1階席の人羨ましかったなぁ。

あ、「黒猫のタンゴ」のところは客席から登場したんだっけ(B席なので出てくるところはまったく見えず)。

「世界一美しい猫のような男にも悩みが……。今日は七夕なのに雨で星が見えません! そこで七夕生まれのそこのあなた! 短冊にどんな願いを書くか、ジェスチャーで答えて!」

と、望海さんが真彩さんに無茶ぶり。

真彩さん、お誕生日だったのねぇ。ジェスチャーを「大きなマグロを食べたい!」と解釈されていたけど、本当は何を表現していたんだろ(^^;)

最後、幕が下りる時も踊り続けるラテンショー。最初から最後まで楽しかった! 本当に観られて良かった。観られなかったお母ちゃん、一人で楽しんでごめんね。
 

次の雪組公演は『ファントム』。
ショーがないし、この演目正直あまり好きじゃないので(和央さんのと春野さんのを観た)観なくていいかな、と思ってたけど、やっぱり望海さんの歌聞きたいしチケット取ろうかな……。



【映画ではバーグマンがジョアン…。見てみたい】


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