(※以下ネタバレしまくりです!これからご覧になる方はご注意ください!)

(西遊玹歌の公式サイトはこちら

観てきましたーーーーーっ!!! 楽しかったーーーーーーーっ!!!!! 


いやぁ、ほんとすごいわ。
公式サイトでメイキング動画も配信されてて、アクション編見るともうそれだけですごいけど、ほんとになんで人形でこんなことできてるんだ、と驚嘆しきり。
アクションだけでなく、表情、仕草、セットに至るまですごいし、カット割りというか、「見せ方」も素晴らしいよね。
映画館の大画面で見ると本当に圧巻だし、映画だからかテレビよりさらにパワーアップしてる感じで1時間半濃ゆい!!!!!

もちろんお話も面白かったんですが、前半は主人公浪巫謠が辛抱の連続なので(前半どころかかなり終盤まで辛抱してる)、多少イライラというか焦らされる感もありました。もちろん、それあってこその終盤の「キタ━(゚∀゚)━!!!」なので、「まんまと焦らされている」んでしょうねぇ。ふふふ。

冒頭は、幼少期の浪巫謠。
人里離れた山奥で、盲目の母親に厳しい鍛錬を課されている。
厳しいを通り越してほとんど虐待、文字通り鞭打たれていて、なんとも可哀想。
歌の鍛錬でもあり戦闘の訓練でもある感じで、「お母さん何がしたいねん」感もちょっとある(笑)。
そんなに鞭打ったらよけいに綺麗な声出なくなっちゃうよー!

子どもの頃の声は東山奈央さんなんですが、主題歌「Crecsent Cutlass」を東山さんの声で聞くのが面白かった。すでに聞いて知っている曲なのに西川兄貴の歌唱とは全然印象が違って(当たり前)、女の子の声で歌うとこうなるのかぁと。

可哀想に浪巫謠、途中でゲホゲホと声が出にくくなってしまい、喜久子お母さん(声が井上喜久子さんなのでついこう呼んでしまう)は「はぁ!おまえどういうつもりや!なんで声出ぇへんねん!」(※個人のイメージです)と鞭打ちつつも、祭壇に生け贄を捧げて「浪巫謠の声が戻りますように」と祈ったりします。

ええと、もしもし喜久子お母さん、それって声変わりだと思うんですけど……普通に成長過程だと思うんですが……。

そうしてめでたく西川兄貴の声に声変わりして「声が出る!」となるのに喜久子お母さん、「おまえは誰!?私の浪巫謠はどこ!?」とパニック。
お母さんが盲目なのがここで生きてくるというか、いや、そりゃ確かに声だけで相手を判別してたら「誰やねん!?」ってなるだろうけど、お母さん色々達人だから声だけでなく他にもこう、たたずまいとか匂いとか他の要素でも浪巫謠を認識していなかったの……?

「私の浪巫謠がこんなおっさんの声なわけがない!」とパニックになった喜久子お母さん、「母上!」と呼びかけ追いかけてくる浪巫謠から逃げるうちに哀れ崖からまっさかさま。

お母さん、だからそれ声変わり……。男の子、声変わりするの、お母さん……。
もしかして盲目だし息子じゃなく娘だと思ってたとかそんなことは。

ともあれ浪巫謠は大ショック。
母と2人きりで育って、虐待まがいの修練を受けながらも母を愛し、母の期待に応えたいとここまで耐えてがんばってきたのに、「自分の声が変わってしまった」ことで母を死なせてしまった。

2人で過ごした山小屋その他を燃やし、山を下りる浪巫謠。
一旦は一緒に燃やしてしまおうとした琵琶を唯一の相棒として。

この琵琶、まだ「聆牙」にはなってないんですよね。時々浪巫謠にしゃべりかけてはきてたんだけど、「鬼の声だ」と言われて無視されてた。
「聞こえてるんだろ」「何も聞こえない」「返事しちまってるじゃねぇか」ってやりとり面白かった。
見た目もまだ普通の琵琶。

山を下りても行くあてもなく、それまで人と交わったことのない浪巫謠がどうやって生きていくのか。

その歌声を見込まれて酒場の歌姫ならぬ歌王子(?)として雇われ数年……。
ここの「客が入れ替わり立ち替わりしている間に時は流れ、店はどんどんと繁盛し、浪巫謠も青年となり」って映像がまた!
メイキングでめちゃめちゃ時間かかったと話されてますが、ほんと布袋劇ハンパないわ。

そこへ現れる嘯狂狷……の前にそうだ、睦天命との出逢いが!

酒場で歌っていれば生活は保障されているけど虚しさを抱えてさまよっていると昔の自分の歌声が聞こえてきて、その先には東山奈央さん演じる睦天命がいる。

古箏をかき鳴らしながら「Crecsent Cutlass」を歌う睦天命。「ここまでしか知らないの」と。
美しくたおやかで音楽の才もある彼女に惹かれる浪巫謠。
「あんな店に長居していてはろくなことにならないわ」と忠告されるも、「1人になると声が聞こえて怖い」と……。ええっと、それ聆牙……琵琶が喋ってるんだよ、浪……。

天命ちゃんが「私は強くないけど、本当に強い人をいつも見てるから」みたいなことを言うんですが、「それって殤不患か!?殤不患だろ!」とその時点でドキドキ。

あらすじを見た時に「え~、この“各地で魔剣を強奪してる啖劍太歳”って殤不患でしょ!?」と思ったし、すでに公式サイトでもネタバレされてますが、「この女の子は殤不患側の、彼を慕っている子なのかな」と思ってワクワク。

しかしそこへ現れるのはショウはショウでも嘯狂狷なのであった。

「火付盗賊改である!」という感じで浪の歌う店に踏みこんでくるわけです。お店は大変なぼったくりバーで、しかも客に阿片酒を出していた。どんな金額をふっかけても、客は浪の歌聞きたさに通ってくる。通うための金を工面するために盗みさえ働いて。

というわけで浪巫謠も「一味」として拘束されるわけですが。
そこはゲスな嘯狂狷、「聞くものをそこまで虜にする魔性の声の持ち主」をただ捕まえるだけで終わるはずがありません。

退屈しのぎに楽士を戦わせて喜んでいた西遊の皇女嘲風に浪を差し出します。

まぁこの皇女様がまたね~。いいキャラだわ~~~~~
我がまま放題好き放題、ただ音楽を聞くだけじゃつまらないから、「攻撃に耐えて最後まで演奏しきったら100万円」的なことを言って、楽士たちの断末魔の叫びに「やっぱり命は燃え尽きる時が最高の輝きよね」などと歓喜する。

普通の楽士は衛兵に本気でかかってこられたら演奏どころじゃないですが、もちろん浪巫謠は喜久子お母さんの鍛錬の甲斐あって、戦闘能力も超一流。見事に演奏を続けるどころか衛兵たちはあっさり返り討ちです。

大喜びの嘲風は「私の鶯」と言って浪巫謠を籠の鳥に。
浪を見出した功績で嘯狂狷は出世。
って、ええー、おめー浪巫謠のおかげで偉くなったのかよ。2期で浪に再会した時は「楽士風情が」とか言ってなかった???

出世して啖劍太歳の捕縛を命じられる嘯狂狷。
一方、浪巫謠は皇女殿下に壁ドンされ。
「外の世界でおまえはどんな目に遭ったの? 私は邪悪だけど、ここにいれば私の悪だけで済むわ。世間の邪悪からは私が守ってあげる」とかなんとか(※セリフはうろ覚えのテキトー
です)。

いやー、いいよね。
いい。
好きよ、皇女様(笑)。

皇女のやりようも、自分を利用するだけだった酒場の店主や嘯狂狷をも「悪」と感じながらも、どう生きていけばいいのかわからず流されるしかない浪に比べ、皇女様は一本芯が通ってらっしゃる

で。
浪は仕方なく皇女様のお遊びに付き合い、挑戦しに来る楽士と「どっちが最後まで生き残れるか選手権」を繰り広げるわけですが、なんと挑戦者は睦天命!

「これはさすがに浪も睦天命を守っちゃうよな。演奏より彼女を守る方を取るよな」と思ったら。

天命ちゃんたらフツーに強い
古箏は実は武器でもあって、余裕で演奏しながら戦っちゃう。
ええっ……そうなの……。

2人で「Crecsent Cutlass」歌いながら華麗に戦闘。いやほんと、アクションすごいし、宮中のセットもすごいし、歌も良いわぁ。
浪が酒場で琵琶だけで「Roll The Dice」歌ってるのとか、音源全部欲しい。

天命ちゃんはもちろん啖劍太歳(=殤不患)側の人間なので、ただ浪に挑戦しにきただけではなく、そうやって衛兵たちを引きつけ時間稼ぎをしているのです。しかも浪の歌声により外の衛士たちもメロメロになっていて、啖劍太歳はまんまと宝物庫(?)から目当ての宝剣を盗み出す。

まだベール付きの笠みたいなので顔は隠されてるけど、音楽も殤不患のテーマだし、予想より出番早い!

あまたの宝剣・邪剣をあの「目録」にする経緯も描かれ、「ひょぉー、お爺さんすごい!」。

そして嘯狂狷率いる兵士たちとの大乱闘。
戦いの途中でいよいよ暴かれる啖劍太歳の素顔。
殤不患キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!

殤不患の見得の切り方が「これよ、これ!」って感じだし、ほんまにアクションがハンパない。その辺の柵の竹ちぎって武器にしたりするの、超痛そうで、切り口がザクザクになった竹で顔貫通とか、モブでどんどん殺されていく兵士さんたち、人形だけどすんごい痛そうだし気の毒……。なるほどPG12だ、と納得の大殺戮

剣じゃなくその辺の木切れとか椅子とか柵とかでバンバン戦っちゃうの、アイディアもすごいしそれを「人形劇で実現」しちゃうのもすごいし、いかにも殤不患らしい戦い方でもう、もう。

最高っす!

殤不患も睦天命も強いけど、それでも多勢に無勢で不利になりかけたところへ浪巫謠が……。
あれ? どういう順番だったっけ?
宮中から逃げ出した浪、昔の雪山の、母と2人で暮らしていた場所に一旦引きこもって、そこへ睦天命が「これだけは伝えたいの」とやって来て……。

その後大乱闘→覚悟を決めた浪が助太刀、かな。

そのままでも十分強い浪巫謠だけど、「たとえこの身が魔剣であろうと、その柄(つか)は誰にも握らせない、自分で握る!」とようやく意を決した時、聆牙も黙っていられず「そういうことなら俺はおまえの牙になってやる!」と。

「聆牙爆誕!」

自分で爆誕言うかw
てか「聆牙」って名前も自分でつけたよねw

ただの琵琶から聆牙へとフォームチェンジ。するとなぜか浪巫謠もドッカーン!と爆発バックでフォームチェンジ、髪型も衣裳も替わって、2期でおなじみのあの姿に(それまではサラサラロン毛の優男ふう)。

どういう理屈で一瞬で衣裳変わるんだろう…。実は変身ベルトとかしてたの?
なんか顔も変わってる気がするんだけど、髪型が変わるとそれだけ印象が変わるってことなのかな? なんか細い切れ長だった目が少しぱっちりしてるような……内気で伏し目がちだったのが覚醒したって感じなのかな。

ともかくフォームチェンジした聆牙と浪巫謠は激強。
激強だけど最後は神誨魔械に頼ってた。
啖劍太歳の捕縛とともに「逃げた私の鶯も連れ帰れ!」と命令を受けていた嘯狂狷はぐぬぬとほぞをかむ。

2期で再会した時、浪に対してそういうこと言ってたっけ? うーん、浪とはそこまでやりとりがなかった???

ともあれ殤不患たちとともに行動することを選んだ浪巫謠の前に今度は蠍瓔珞ちゃんが!!!
嗚呼、2期でせっかく心を入れ替えかけたところあっさり殺されてしまった蠍瓔珞ちゃん。登場人物の中で実は一番「普通の人」だったのでは、と思えた大好きな蠍瓔珞ちゃんが生きて!その姿を!!!

出番ちょっとだったけど嬉しかったよありがとう。

浪巫謠が立ち向かっていくところで幕。
クレジットが流れ、その後で!
まさかの!
凜雪鴉様!!!!!

殤不患もいいけどやはり私のイチオシは凜様!
あの、1期冒頭で凜様がいた(と思われる)あの樹の下に腰掛けながら、「今宵はここまでに」と大河『武田信玄』を彷彿とさせるエンディングナレーションをしてくださる!!!

そしてラストカットはあの地蔵様。雨傘の……殤不患との出逢いとなったあの……。

このサプライズ凜様、メイキングによると台湾スタッフのアイディアだったそうで、「重要なキャラが1人出てないので」とわざわざ付け足してくれたのだとか。

うおーーーーーーー、ありがとうスタッフ!ありがとうありがとう!!!!!

そうよね、蠍瓔珞ちゃんまで出て来るのに凜様が顔見せしないなんて。
1人だけ東離の人間だからお話的にはそりゃ出番ないけど、でもこういう形で凜様も登場させてくれる。
スタッフの皆さんもこの作品を本当に愛してらっしゃるんだなぁとしみじみ。
まぁそうでなければあんなアクションシーンや、1日がかりで「時間の変化」の1シーンを撮るとかできないよね。愛と情熱がなければ。

演奏しながら戦うやつも、「人形師の人間としての身体能力を超えてる」とか言ってはったし……。
(※メイキング1回見ただけで書いてるので間違ってたらごめんなさい)

ちょっと記憶が曖昧だけど、凜様の後にメイキング映像だったのかな?前かな?
人形を思いきりバーン!と投げつけてるのとか映ってて、ひゃあーってなりました。
臨場感溢れるアクションのためとはいえ、せっかく作った人形をバーン!て壊しちゃうんだもんねぇ。撮るの失敗したら何回でも作ってはぶつけ作ってはぶつけ、みたいになるよね……。

はぁ、ほんと最後の最後まで楽しかった

歌メインでセリフはさほど多くないとはいえ西川兄貴も堂々たる主演声優っぷりだったし、耐えに耐えた後での「自分の柄(つか)は自分で!」のセリフ痺れたわ。

その場面の前に殤不患が、「もしも魔剣にも心があったら」って考えるところも良かったなぁ。
自分の意志に関わりなく、その歌声が人々の心を惑わし、魔法のような効果を生んでしまう。様々な思惑を持った人間が、その能力を利用しようと群がってくる。
浪巫謠の能力は言わば「魔剣」と同じ。
どう利用されようと、たとえどんな悪事に使われようと、「剣」が苦しみや葛藤を感じることはないけど、もしも剣に心があれば。

集めた厄介な魔剣の数々、殤不患はいずれそれらを無事手放すことができるかもしれない。しかし浪巫謠の「魔剣」は自分自身。捨て去ることはできない。

だからこそ、「その柄(つか)は自分で握らなければならない」のよねぇ。
睦天命ちゃんが、「これだけは伝えたい」と言って背中を押しに来てくれたおかげで、浪は自分自身を認め、受け入れ、立ち向かっていくことができた。
台湾スタッフさんも「浪の睦天命に対する気持ちは脚本には書かれてないけど」と「でも惹かれてるよね?」って言外に匂わせてらしたけど、うん、天命ちゃんのこと、好きだよね、浪。

まぁ、母親以外の他人を知らなくて、外界に出てからは酒場の主にいいように使われるだけだったんだから、惹かれるも何も“初めてのお友だち”だよね。一人の人間として対等に、ごく普通に言葉を交わした初めての相手。

しかも美人で強くて自分と同じように音曲の才があり、声はなんと昔の自分と同じ!(笑) 惹かれるなと言う方が無理よね。

でも天命ちゃん自身は殤不患を慕っている感じだし、あの後三人旅はどんな感じだったのかなぁ。殤不患は朴念仁だから天命ちゃんのこと「いい相棒」としか思ってなさそう(少なくとも異性として見てはいなさそう)、浪もたぶん恋心があっても自覚しない気がする。代わりに聆牙がなんか言ってくれそうだけど(笑)。

殤不患が一人で東離に来て、その後浪がまた一人で来て、天命ちゃんは戦いの中で殤不患を守って命を落としたのでは……と想像してしまったんだけど、3期にも出るという情報もあり。

回想シーンだけなら死んでても出られるけど、生きてるのかなぁ。生きて、彼女は彼女で戦い続けているのかしら。もしや彼女もまた鬼没の地を渡って……?

2期の最後では刑亥の声も聞こえたし、3期どんなお話になるのか、ほんとに楽しみすぎる♡

でも2期が去年の10月期放送で、もう1年経ったっていうの、びっくりよね。1年早すぎる。

2枚組の入場者特典ポストカード、2週目はまた絵柄が違うそうで、近所で上映しているなら2週目もまず間違いなく行ってるけど……無念。


2期の録画を見返して楽しもう……。1期もどこかで再放送してくれないかな。3期放送前にどこか、滋賀でも見られるテレビ局で……。



それにつけても主題歌「Crecsent Cutlass」、格好いいですね♪
曲はもちろん、詞も見事に浪巫謠のことを歌ってて、いつもながら藤林聖子さん天才

カップリングの「Claymore」も格好いいんだけど、これInstバージョンを聞くとサンファンのサントラのフレーズがそのまま使われてますよね? その上にまったく違うメロディーが乗って、歌入りを聞くと全然違う印象。面白い。

はぁ、ほんと3期が待ち遠しい~~~~~。