星組梅田芸術劇場公演『エル・アルコン』、11月28日千秋楽LIVE配信を観劇しました!

予想どおり、悪い礼さんがいい!めっちゃいい!!!

これまで私が観劇した作品では礼さん、いい人の役が多くて、お顔の愛らしさもあいまって「悪役」はあんまり回ってこないのかな、と残念に思ってました。
2月に大劇場公演『眩耀の谷』を見た時に、「礼さんのメフィストフェレス(『天使の微笑・悪魔の涙』)見てみたいな、きっと似合う」って思って、今回のティリアン役も楽しみにしていたのです。

初演のトウコちゃん(安蘭けい)ティリアンも見ているんですが(当時の感想記事こちら)、トウコちゃんはけっこう声が高かったので、礼さんの方がティリアンの声としては合ってる気がしました。
開演アナウンスの声も低く、悪い感じだったし、歌も普段よりいっそう太い声色にしていたような。

礼さん、歌もお芝居も巧くて安心して見ていられるし、ヤバい男の色気もたっぷりで。
「ギルダが再び動き出しました」って報告されて、「マドモアゼル!」って天を仰いで嘆息するところ、台詞の言い方も表情も、たまらなかったよね。かぁーっ、色っぺぇー!

ティリアンのあの派手なコスプレ衣装もよく似合って格好良く、目の保養。たった8日間の公演のためにあの数々の美麗なティリアン衣裳。宝塚頑張った!

しかしいきなり主人公が父を殺すところから始まるの、すごいよね。初演時、『エル・アルコン』をやると知って原作を読み返して、「大丈夫かこれ、すみれコード抵触しまくりでは」と思ったんだけど(原作の話はこちら)、今回もしっかりがっつり再現してて、「おおお///」となりました。

ねぇ、ペネロープとギルダを手籠めにするとこ、「女は抱かれていればいい」とか「服を脱いでください」とか、宝塚でやっちゃっていいの!?修学旅行生に見せていいの!?って(笑)。
宝塚だからこそ変にいやらしくなく美しく再現できるとも言えるけど、ドキドキしたわぁもう~ティリアン様ったら~~~。

舞空さんのギルダもすごい頑張ってると思った。初演では遠野あすかちゃんがバーン!と貫禄で、でもちょっと作りすぎかなって感じもしてて、舞空さんも最初の登場シーンでは「ちょっと無理してる???」って思ったけど、お話が進むうちギルダの可愛い部分もうかがえて、礼さんティリアンとのバランスが良いなと思った。

それにしても舞空さん、『眩耀の谷』の時は盲目の母親で、今回も立ち回りもある気丈な女海賊、宝塚のトップ娘役らしからぬ役が続いて、大変だよね。

愛月さんのルミナスはちょっと地味な感じがしたけど、愛月さんが私の「タイプ」じゃないのでそう感じるだけかもしれない……。すごく正統派な二枚目男役さんだと思うけど。
初演の柚希さんルミナスもあんまりピンとこなかったので、まぁルミナスはそういうキャラクターかもしれない(私にとって)。

なんか、紅さんがルミナスだったらめっちゃ面白かったのでは、と思ったりもしました。紅だけに、キャプテン・レッド……。

一方キャプテン・ブラックの天飛華音さんはすごく良かった! キャプテン・ブラック、もともと美味しい役だとは思うけど、気っ風のいい海賊役がすごくハマって格好良かった。まだ研5と知ってびっくり。巧いよね、お芝居。
エドウィン役の天華えまさんも「ちょっと頼りないいいとこのボン」を好演。天華さん美形だよね。滋賀県出身だし応援したい。

ティリアンの義父パーシモン卿の一の愛人シグリット役の音波さんもすごく印象に残った。「濃い娘役枠」っていうの? 『眩耀の谷』の巫女役も良かったしな~。
パーシモン卿の愛人の「おばさん達」には男役も混じってるぽくて、賑やかで楽しかったな。

そしてそしてティリアンの母イザベラは万里さん! 我が青春の星組、ネッシーさんやシメさんの時代から舞台を彩ってくださった素敵なお姉様、2000年から星組副組長、そして2012年からは組長を務めてくださった万里さん、『眩耀の谷』を最後に専科に異動になってしまったけど、こうしてすぐ「星組公演」で万里さんのお姿を拝見できて本当に嬉しい。

万里さん、初演でもイザベラなんですよね。初演って2007年で、もう13年も経っててびっくりするんだけど、万里さんご自身も感慨深かっただろうなぁ。

2007年の星組、他の面子も色々と興味深い。メインキャストで在団しているのは英真さんと万里さんしかいないという……。

お話の作り自体は初演の時の感想に書いたとおり、盛りだくさんすぎて最初のうち、ちょっと話についていけなかったり(^^;) 今回、事前に原作読み返しとこうと思ってたのに忘れてて、冒頭でティリアンが色々権謀術数するところとか「えーっと、誰が誰だっけ?」ってなっちゃった。

LIVE配信だとプログラムもないので、登場人物と配役を確認できないし、この作品、主要登場人物がすごく多いよね。すっかり忘れてたからびっくりしちゃった。
ティリアン、ギルダ、ペネロープ、ペネロープの婚約者だったエドウィン、ティリアンに父を殺されるルミナス(キャプテン・レッド)、ルミナスを助けるキャプテン・ブラック、もともとはパーシモン卿の妻になるはずだったのにレッドの一味になっちゃうジュリエット、パーシモン卿の愛人シグリットにティリアンの母イザベル、イザベルが愛し、ティリアンの実の父とも思われているジェラード、ティリアンが唯一心を許す少年水夫ニコラス……。

それぞれに見せ場というかしっかり台詞があって、みんなやり甲斐あったろうな、って思うけど、頭の中で整理するのが大変(^^;)

初めてギルダが登場するシーン、いきなりきれいなお姉さんが踊りながら「おのれティリアン!」とか言ってるので、「あれ?ギルダってなんでティリアンのこといきなり敵視してるの!?」って思ったり(笑)。
原作にはないギルダとティリアンの「子どもの頃の出会い」のシーン、ギルダの夢として描かれるんだけど、「あれ?ギルダはティリアンのこと知ってて敵視してたんだっけ??」と混乱してしまった。

かつて自分が短剣を与えた少年がティリアンだって、ギルダ自身は知らなかったんだよね。一方ティリアンの方は剣に刻まれた紋章からあの時の少女がギルダだってことに最初から気づいてる。――気づいてて「服を脱いでください」なのか、おおおおぉ、てぃりああああああん!

初演の時はこの「過去の因縁エピソード」、蛇足だと思ったけど、まぁ2回目で「わかって」見てたので、宝塚作品として、トップコンビの見せ場として、良かったと思います。ペネロープのことはぶっ殺しちゃうティリアン、ギルダの島を守ってあげたり、剣を返したりするシーンがなかったら、あまりにダークすぎるもんね。

初演と再演で演出とか違うところがあるのかないのかわからないけど、最後、あの世でティリアン達が七つの海に船出する、みたいなところ、今回はギルダだけじゃなくペネロープもいたよね? 初演時の感想記事見ると私「ギルダとニコラス」って書いてるんだけど、プログラム見ると最後の18場Bにはティリアンとギルダしかいない、少年少女時代の二人と、あと「グラン・メール」というバックダンサー達しか……。

原作厨としてはニコラスとともに海に沈むところで幕が下りる方が嬉しいですが、18場Bの白い衣裳の礼さんティリアンも素敵でした。麗しい。

ショー『Ray』も楽しかった。大劇場版とは出演者が違ってまた新たな味わい……っていうほど大劇場版を覚えていませんでしたが、「Ray!Ray!Ray!」というあの主題歌、いいですよね。めっちゃ耳に残る。
ダークなティリアンから一転、爽やか好青年な礼さんも格好いいし。うん、でもなんか、爽やかで可愛く見えて実はやっぱりすごく色気があるというか雰囲気があるよなぁ、礼さん。

プロローグで万里さんが踊ってらして嬉しかったし、終盤、ギリシャ神殿バックに総踊りになるとこかな、礼さんと万里さんが頭くっつけてぎゅーってしてて、感激した♡ 千秋楽だもんねぇ、いよいよ万里さんが専科に行っちゃうんだもんねぇ。うう。
フィナーレナンバーの「You Are My Sunshine」でも万里さんの見せ場あって嬉しかった。『エル・アルコン』ではジェラード役だった綺城さん、お芝居もなかなか良かったけど、歌も裏声になるところ巧くて良かった。
天華さんも英語詞のジャズをしっかり歌いこなしてた。天飛さんは歌はちょっとまだ荒削りな感じかなと思ったけど、でも好きなタイプ(笑)。これから注目していきたい。

男役燕尾の小階段も格好良かったし。

配信で見るとみんなアップになるし、踊り終わった後娘役さん達が肩で息してるのがわかったりして、ほんとタカラジェンヌは体力だなと。大劇場公演より人数少ないからほぼみんな全場出場みたいなもんだよね、はぁ~、大変。

グランド・フィナーレの後、幕が下りずにそのまま挨拶。千秋楽は挨拶があるのがいいですよね。もともとは梅芸に行くつもりで、平日ならチケット取れそうだったんだけど、コロナ他色々の事情から配信観劇にして、結果的に千秋楽ご挨拶が見られて良かったです(貧乏なので劇場観劇した場合は配信にまで手を出せないので)。

まずは副組長白妙なつさん。白妙さんは初演『エル・アルコン』にも出てらっしゃいました。プリマスの歌手とか女海賊とかやってたらしい。

万里さんのこといっぱい言及してくださって、嬉しかったなぁ。ただ見ているだけの私より、星組生の皆さんの方がもっとずっと万里さんいなくなるの寂しいに決まってるもんね……。

コロナの話、ドラマシティ公演『シラノ・ド・ベルジュラック』の話、そして来年の大劇場公演『ロミオとジュリエット』の話。「1年ぶりの大劇場」なんですよねぇ。言われて初めて「あ、そうか!」と。公演の途中で休演になってしまった『眩耀の谷』……あれからもう10か月近く経つんだなぁ。
本当だったら今年の8月9月に上演されていたはずの『ロミオとジュリエット』、コロナのせいで延び延びになってしまって。

白妙さん、「極悪非道なティリアンが純真無垢なロミオになれるのか!?」みたいに言ってらしたけど、オスカルやったと思ったらちょんまげの武士やっちゃうのがタカラジェンヌですものね。私としてはロミオの次は礼さんにまた黒い、悪い役をやってほしいけど(あんまり『ロミジュリ』好きじゃないんだ…)。

で、いよいよ礼さんのご挨拶。たった8日間のこの公演、「やっと慣れてきたところ、何ならまだ慣れてないうちに終わっちゃう」と。もともとは地方ツアーのはずだったけど……何公演予定されていたのかな。
地方ツアーのはずだったから、地方公演恒例ご当地メンバー紹介、まずは大阪府出身。けっこうたくさんいたような。最後に満を持して万里さんが紹介され。
「また近いうちに6度目の息子をさせていただきたい」と、礼さん。今回で5回目の親子役だったのかぁ。万里さんは威勢よく「ほんまにおおきに!これからもがんばるでぇ~!」と。ふふふ。ほんとこれからも万里さんの舞台、楽しみにしています。

一旦幕が下りたものの、その後3回は開いたような。どんだけやってくれるの!?と感心&感激しちゃった。
京都で地方公演をやることはまずない、ということで京都出身者が紹介され、そして毎日公演をやって「毎日がご当地」なのに決して紹介されることのない兵庫県出身者の紹介。
「エル・アルコン」初演時は予科生で客として見てた、という礼さんのお話。そんなに昔だったんだねぇ…おばさん、ついこないだ見たような気がしてたよ……。

最後に礼さん、「千秋楽恒例のものを何かやりたい」と考えてきたとおっしゃって、「熱いぜ!星組!燃えろ!星組!進め!星組!」「星組!パッション!」とコール&レスポンス。
と言ってもお客さんはコロナ対策で大きな声が出せない。うう。「おうちで配信を見ている方は心おきなく」と言われたけど、別の部屋に家族いるし、しょぼい声しか出せなかったわ~~~。無念。

普通に客も声を出してレスポンスできる日は……まだ当分来ないとは思うけれど、こうして幕が開くだけでありがたい。ありがとう宝塚、ありがとう星組。
礼さんのティリアンを見せてくれて、本当にありがとう!

(※おまけ。2007年公演プログラムに載っていた紅さんのお写真。可愛いな~。『エル・アルコン』ではシェリンガムという役をやっていたらしい。キャプテン・レッドと一緒に出て来る海賊の一員ぽい。)