梅田芸術劇場雪組公演『ODYSSEY』
、7月26日に観劇してまいりました。

その数日前、7月23日に峰さを理さん追悼コンサート『愛の旅立ち』観劇のためウキウキして宝塚まで出向いたら、「本日の公演は中止になりました」との無情なアナウンス。悪いのはコロナ、憎いのはコロナ、仕方ないとはいえ、滋賀から往復3時間かけて宝塚に「デンついただけ」なの、がっかりすぎました。

色々と宝塚以外の公演でも中止の報が出る中、『ODYSSEY』は無事上演されるよね?とドキドキしながら梅芸へ。

ちゃんと開場してるわ~良かったわ~と席に着いたんですが、実はこの日、階下のシアター・ドラマシティでは『心中・恋の大和路』が急遽中止になっていたんですよね……。ほんとになんというか、哀しすぎる。

そもそも『ODYSSEY』自体が、元は今年の1月に東京国際フォーラムで上演するはずだった作品。コロナにより全公演が中止となり、その代替として梅芸での上演となったわけです。
それがまた中止になったりしたら、ねぇ。
どうか無事千秋楽を迎えられますように。

そんなわけで。
もしもそのまま東京で上演されていたら見られなかった公演を思いがけず見ることができたのですが、『ODYSSEY』、楽しいショーでした!
もうポスターからして彩風さんの海賊姿が格好良くてわくわくするんですが、動いて歌って踊る実物は
さらに格好良い~~~~~。

いかに彩風さんの多彩な魅力を引き出すかがテーマ、という感じで、海賊姿だけでなく、情熱的なラテン衣裳、美しくたおやかな貴公子、ダルマの衣裳まであって、まさにとっかえひっかえ、「なんて忙しいんだ!」と心配になるぐらいの衣裳替え&出番の多さ。
この暑いのにほんと、よく倒れないな、2回公演とか地獄じゃん!と思ってしまいます。

最初から最後までショーで、ずっと歌い踊ってるんだもんねぇ。お芝居とショーの通常の公演よりさらに体力使うと思う。
なのに彩風さん、しっかりたっぷり声が出ていて、Jazzも素敵に歌いこなしてらして、見事でした。
なんか、望海さんの歌唱が圧倒的すぎたので彩風さんにはあまり「歌」の印象がなかったけど、素直で伸びやかで、歌もお上手だよなぁ、と改めて思いました。

で、そのJazzの場面。
2017年の『SUPER VOYGER』ですごく印象的だったJazzのシーンと同じスタッフの組みあわせ。「音楽:手島恭子、振付:三井聡、録音演奏:Lawland Jazz」。今回も格好良かったぁぁぁぁぁ。まず音楽が好きすぎるし、ダンスも格好良くて……って、「格好良い」以外の語彙がなさすぎるな。他になんと言えばいいかわからない……とにかく気分が上がる、一緒にステップを踏んでしまう、好き。

第一幕の最後も同じ組みあわせで「キャラバンの到着」。ああああ、この曲も好きなんだぁぁぁぁぁぁぁぁ。

作・演出が『SUPER VOYAGER』と同じ野口幸作先生で、よく考えたらテーマも同じ「大航海」で、同じ様に「一緒に盛り上がりましょう」練習動画もあって。

コロナ禍で客は声を出すことができないので、一緒に歌う代わりにフラッグを振って……と思ったけど、コロナ関係なく野口先生はこういう演出がお好きっぽい。

第一幕は「Sea Breeze(海風)」をテーマにしたダンス・ショーケースということで、海賊船が船出するオープニング、ニューヨークでのJazzシーン、そして続く中華な場面は朝美さんメイン。「龍鳳夢(ろんはんもん)」ってなんか聞き覚えがあるなぁ、と思って今ググったら、鴨川清作先生作の「龍鳳夢」という作品があるらしい。その時の曲なのかしらん。

中国の次はスペインで、カルメンを縣さんが!
ちょっと、怖かったwww
いや、なんか、大柄でしょう、縣さん。真っ赤なドレス姿、綺麗だけどやっぱり「男役さん」って感じが……そう思って見るからかもしれないけど。

この場面は縣さんと彩風さんの絡み、そして次のアラビアの場面では華世さんが「囚われた王妃」役で彩風さんと絡み。
華世さんはエスニックなお姫様役が似合ってましたね、可愛かった。
第二幕の方では久城あすお姉様が「リオの女」を務めてらしたし、男役×男役絡みがたくさん見られて楽しかったけど、その分彩風さんと朝月さんの絡みが少なくなっていたので、そこはちょっと残念だったかなぁ。

彩風さんが海賊ブルーム、朝美さんは太陽神アポロンで、朝月さんは月の女神セレネというのが全体通しての設定で、アポロンとセレネに導かれてブルームが七つの海を巡る。さらに海の女神ティティスが「歌姫」としてショー全体を引っ張っていくんですが。

このティティス役、7月29日以降の公演では専科の美穂圭子お姉様、それ以前の日程は音彩唯さんが務められます。東京でやるはずだった時は全公演通して美穂さんだったのでしょうが、他とのスケジュールの兼ね合いで、後半だけのご出演となったのでしょう。(※7月24日まで星組東京公演に出てらしたもよう。そりゃ無理だ)

なので私が観た7月26日は音彩さんがティティス
いや~、堂々たる歌いっぷりでしたよ。見た目もとってもキュートだし、そりゃ美穂さんや他のベテラン歌姫さんたちに比べればまだ硬い感じはあるけど、音彩さんまだ研4でしょ? 十分に素晴らしかったし、むしろその硬さ、懸命さが初々しくてとても素敵な女神様でした。

研4で美穂さんの代役とかすごいなぁ、大抜擢だなぁ、と思ったけど、よく考えたら娘役さんは研4でトップ就任もあるので、すでに新公ヒロインも経験している音彩さんの場合、「順当」だったりするのかな。朝月さんの退団後、いきなり音彩さんがトップに来る可能性もある???

なんかちょっと青山雪菜ちゃんを思い出したんだけど、彼女は大抜擢を受けながら研4で退団しちゃったんだっけ。音彩さんは今後も順調に活躍されるといいなぁ。

って、なんか誰よりも音彩さんの話が長くなってるけど、とにかくティティスは出番が多くて歌も多いので、めちゃめちゃ印象に残るんですよ。大好きな「お祭りマンボ」も歌ってくれるし。「お祭りマンボ」、最後はちょっと歌謡ショーみたいな雰囲気になって面白かった。美穂お姉様の「お祭りマンボ」も聞きたかったなぁ。

えーっとそれで、第二幕は「Colors of the Wind(彩風)」をテーマに、古今東西の名曲をスターたちが歌い継ぐレビュー、ということで、最初がイタリア、カンツォーネ。次がウィーン、そして3章目が日本で「お祭りマンボ」でした。さらに「雪祭男子」による「天下御免の伊達男」と「唯我独尊SOUL」。知ってるような知らないような曲だなぁと思っていたら、東京力車というグループの曲だそうで。

なるほど、お祭りマンボからの流れにはぴったり。この場面、役名もスターさん本人のものになってて、プログラムに「じゅん、ゆーり、るい」などと書いてあるのが面白い。縣さんは「あがちん」、華世さんは「かせきょー」って書いてあるし。

4章目はブラジル。先ほども書いたように久城さんが「リオの女」で歌唱も披露。エル・クンバンチェロやシボネーなど、お馴染みの曲でテンション上がる♪

続く第5章はフランスで、俳優ジェラール・フィリップの主演映画をコラージュ。彩風さんファウストに朝美メフィスト(『悪魔の美しさ』)、彩風さんジュリアンに朝月さんレナール夫人(『赤と黒』)が観られたのが良かった。

6章はカリブで7章は「宝塚」! 世界中を回って、最後にたどり着いたもっとも素晴らしい場所!!!
まず音彩さんが「宝塚我が心の故郷」を独唱。そして「ハロー宝塚」「ボンジュール宝塚」「パレード宝塚」など「宝塚」がタイトルに入った曲のメドレー。はぁ、なんか、目頭が熱くなっちゃいましたね……。きっと峰さんの追悼コンサートでも歌われたんだろうなぁ、とか、「宝塚まで行って宝塚を観られずに帰った」空白に染み入ってきたというか。

やっぱり宝塚の曲はいいなぁ。うん。

フィナーレ前の彩風さん&朝月さんのデュエットダンス、朝美さんがカゲソロでぜーたく&とても素敵な場面でした。

次の雪組大劇場公演は一本立ての『蒼穹の昴』なので、こうしてたっぷり「雪組さんのショー」が観られて楽しかったです。梅芸で上演してくれてありがとう。どうか無事、千秋楽を迎えられますように。