(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください。記憶違い等多々あると思いますがご容赦を)


4月14日公開の今年のコナン映画、『黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)』、早速4月17日に観てまいりました。映画館で観るのはおととしの『緋色の弾丸』以来。
劇場版、毎年観ているわけでもなく、もはやテレビシリーズも観てないし、原作もだいぶ前から追えてないのですが、哀ちゃんメインで「黒の組織」の話、ということで劇場まで足を運びました。

うん、面白かった。

いつもながら作画がすごくて、アクションの見せ方、動きがすごいですよねぇ。コナン君の運動神経がとんでもなさすぎる。スケボーであんなことできるの、もう君オリンピック出られるやん。


【園子がいれば何でもできる】

ホエールウォッチングツアーの抽選にはずれてがっかりな子どもたち。そこへ園子が「八丈島に知り合いのホテルがあるから連れてってあげる」と助け船を出すいつもの展開。財閥のお嬢、ほんま便利~。

コナン本人が「来ると思った、この展開」って言ってて思わず苦笑。スタッフも「園子の財閥力使いすぎ」って思ってるんだろうなぁ。
園子と知り合い(のコナンと知り合い)になったおかげで、本当なら出入りできないパーティ会場だのリニアの試乗会だのどこへでも行ける光彦たちが羨ましすぎる。
でもさすがに今回八丈島までの旅費は本人持ちでは?親御さん大変では?と思ったけど、帰る時に「クルーズ船チャーターしたから」みたいなことを園子が言ってたので、ホテル代のみならず往復旅費も園子持ちなのかも。私も園子ねーちゃんとお友だちになりたいぞ。

園子、蘭ねーちゃん&小五郎のおっちゃん、コナン君、光彦たち3人、それに阿笠博士と哀ちゃん。いつものメンバーで八丈島へ。

八丈島近海には「パシフィック・ブイ」というユーロポールのデータセンターが建設されていて、もうすぐヨーロッパの監視カメラデータと日本の監視カメラデータを接続することになっている。

わざわざ「八丈島に行くなら~」とその情報を教えてくれる沖矢昴さん(赤井さん)、親切


【セキュリティガバガバなデータセンター】

で、もちろんコナン君はホエールよりもそっちに興味津々、白鳥警部や黒田管理官がクルーザーに乗り込むのを見かけてこっそり密航。もちろんすぐバレるんだけど、そのままパシフィック・ブイの内部に連れていってもらえるの、ご都合過ぎる。

いくら日本の警察が「この子は知り合い」だと言ったからって、一般人を中に入れて「ここがコンピュータルームよ~」みたいに全部見せるの、ユーロポール、セキュリティガバガバじゃん! そんなだからドイツのデータセンターにもあっさり侵入されるんだよ!

映画の冒頭、ドイツのデータセンターに黒の組織の一員が侵入して、それを不幸にも目撃した職員がキールに追われ、キールはどうにか職員を逃がそうとするんだけど、「もたもたしてんじゃねぇ!」とジンがキールの肩ごと職員を撃ち抜く、というハードボイルドなシーンがあって、職員さんは大変可哀想なんだけど、バイクでの追跡アクションとジンの非情さが格好良かったんだよねぇ。

ともあれちゃっかりしっかり「パシフィック・ブイ」の中を案内してもらうコナン君。コンピュータルームのエンジニアの一人が「なんで日本の警察が」と文句を言いながらも「なんだ、そのガキは!?」とソッコー追い出さないのがほんとに不思議だった。

責任者である牧野局長の声を沢村一樹さんがやってるんだけど、「これゲスト枠だなぁ」ということしかわからなかった。声優さんじゃないな、というのはわかったけど、沢村さんというのはまったく(^^;)

中心メンバーとして出てくるエンジニアは4人。コナンにもとても親切にしてくれる若い女性直美・アルジェントを種崎敦美さん、「なんで日本の警察が」と突っかかってくるけんかっ早そうな男性レオンハルトを諏訪部順一さん、インド出身の男性エドを神谷浩史さん、フランス出身の女性グレースを村瀬歩さんが担当。

最近何を見てもアユムラセが大活躍しているんだけど、今回もすごい。成人女性の声をやってまったく違和感ないのもすごいし、その後「実は彼女は××」でガラッと声を変えるのもすごかった。まったく事前知識入れずに観てたから「あれ?ここは違う声優さん?」と思うぐらいで、クレジットでアユムラセが一人でやってると知って「ひゃあああああ、アユムラセすげー!」ってなりました。

エドの神谷さんも「神谷さんの色を消した声」になってて、「ん?神谷さんだよね??」って最初わかりにくかったの、逆にすごいなと思った。色んな声、色んなお芝居。


【ヤバヤバな老若認証システム】

ユーロポールが持ってる監視カメラ映像と日本の警察が持ってる監視カメラ映像を繋いで、顔認証で瞬時に手配中の人物や行方不明者を発見することができるシステム、さらに直美が開発した「老若認証システム」で、若い時の写真があれば現在の顔を予測して検索することができる
長期にわたって行方がわからなくなっている人物の所在を容易に突きとめることができるようになる、画期的なシステムなんだけど。

こんなの稼働したら、「江戸川コナン」と「工藤新一」の関係性、「灰原哀」と「シェリー(宮野志保)」の同一性が一発でバレてしまいますよね。いや、「新一のちっちゃい頃にそっくり~」なのは蘭ねーちゃんも気づいてるはずではあるけど。

黒の組織もその有用性に気づいていて、システムを手に入れるためパシフィック・ブイに侵入して直美を誘拐。
実行犯はバーボン安室さんとベルモットです。昭和のオタクなので安室さんとベルモットが並んでいるとこう、「ふふっ」ってなりますね。小山茉美さん大好きだし、ベルモットの出番がけっこうあるの嬉しい。

直美が身につけていたUSBメモリの中にシェリーと哀ちゃんの「老若認証一致」データが入っていたことで、ウォッカ達は哀ちゃんの行方を捜索。「なんだよ、八丈島にいたのかよ」で、今度は哀ちゃんが狙われます。

ホテルの部屋から拉致られる哀ちゃん。気づいて追いかけるコナン君。さらに気づいてコナン君を飛び越えて犯人に「きぇーっ!」と飛びかかっていく蘭ねーちゃん。

蘭ねーちゃんつえぇぇ。っていうか、すごいな、躊躇なく2階だか3階だかから飛び降りて、どんな武器持ってるかもわからないやつに挑んでいけるの。
善戦するも結局逃げられ、阿笠博士の車で追いかけるコナン。途中から「挟み撃ちにしよう」とスケボーで別の道を行き、最後は海に飛び込んだ犯人の車を追って自分もスケボーでガーッと崖を降りて海に飛び込むの、ほんとにコナン君も命知らずというかなんというか。

このカー&スケボーチェイスのシーン、見応えあったし、阿笠博士もすごいなと。ドライブテクニックもすごいし、蘭ちゃんと同じく相手が何をしてくるかわからない――というか十中八九黒の組織だとわかってるのに、「逃がさんぞ~!」とノリノリで追いかけてるの、一般人とは思えない。肝が据わりすぎ。
まぁ、今さらではあるんだけど。
コナンを新一だと知り、哀ちゃんを自分の家に迎え入れた時から、組織と戦う覚悟はできてるはずか、阿笠博士(改めてすごいな)。

いつものコナンの装備もろもろに加えて、今回ホエールウォッチング用に作った小型水中スクーターが終盤で大活躍。阿笠博士あっての名探偵コナンですわ。

えーっとそれで、哀ちゃんを乗せた車は海に飛び込み、潜水艦と合流。さすがのコナンも何もできず、失意に濡れてとぼとぼと海から上がってくるんだけど。
そこでしっかりスケボーを持っているのがすごい。
潜水艦浮上の荒波でスケボーどっか行ったと思ったのに、ちゃんと持ってた。どうなってるの。


【哀ちゃんと直美は実は…】

一方哀ちゃんは潜水艦の中で直美と同じ船室に囚われ、直美から意外な話を聞かされます。実は直美、子どもの頃の宮野志保と知り合いだったのです。だから哀ちゃんを見て、「本当によく似てるわ」とびっくりするし、老若認証のテストに哀ちゃん――宮野志保の画像を使ったのも彼女を探したかったから。

子どもの頃アメリカでいじめを受けていた直美。それを颯爽と、クールに助けてくれた宮野志保。自分を助けたために今度は彼女がいじめの標的になってしまった、でも自分は何もできず……。その悔恨が老若認証システムを作る原動力にもなっていた。

でもまさか目の前の少女が当の宮野志保だとは思わず、「ごめんね、私のせいであなたまで巻きこんで」と謝る直美に、心の裡で「いいえ、巻きこんだのは私の方」とつぶやく哀ちゃん。

潜水艦の中にはウォッカとキールがいて、さらに後からジンも乗り込んでくるんだけど、キールのおかげで哀ちゃんはジンと直接顔を合わせることなく、脱出に成功。
直美に向かって「子どもの言葉と行動が人を救うこともあるの。私がそうだった。だからあなたも私を信じて!」と言うとこ、格好良かったなぁ。
てか哀ちゃんを救ってくれた「子ども」って、コナン――新一――のことだよね? 歩ちゃんや光彦、元太のおかげもあるのかな。

船の中で探偵バッジ使ってコナンと会話してた時、コナンが「俺がぜってーお前を助ける!」とか言ってた気がする。潜水艦から脱出できても、黒の組織にシェリーだと知られた以上、もうコナンたちとは一緒にいられない。
「心配するな、俺がなんとかしてやる」
いやそれは、あまりに安請け合いでは……。

「どうしてあなたはいつもそんなに前を向けるの」と哀ちゃん感動してたけど、「老若認証」が無効になったのはコナンのおかげじゃなくてベルモットのおかげ、ボスのおかげなので。

ベルモットが嘘画像を流して「老若認証でシェリーはこんなにヒットしちゃったわよ~」というふうにしてくれたおかげで不問になったのであって、もし黒の組織側が全力で「シェリー=灰原哀」を押し進めてたらどうなってたか。

コナンが「俺がぜってー助ける!」とか「心配すんな(キリッ!)」と格好つけてもまぁ子どもの言ってることだしな、背伸びしちゃって、みたいに見えて許せるけど、実は高校生男子が言っているんだと思うと本当に、本当に、「なんなんだよ、おまえはよ」って気持ちになりますね。あまりお近づきになりたくないタイプだよ、工藤新一。子どもの姿になってて良かった。


【怒濤のサービスシーン連発】

哀ちゃんと直美が脱出する一方、パシフィック・ブイの中では殺人が起きて、それをコナン=眠りの小五郎があっさり解決、エンジニアの一人グレースの正体が黒の組織の一員ピンガだと判明します。
ここのアユムラセの声の切替がねー。ほんとすごい。ピンガは男性で、けっこう怒鳴ったりもしていて、「こんな声も出せるんだ!」って。

ピンガの件と哀ちゃん救出→合流がどういう順番だったかもう忘れちゃったけど、潜水艦に残ったジン達は魚雷でパシフィック・ブイを攻撃してきます。職員たちは「総員待避!」で、せっかく合流できた哀ちゃんや蘭姉ちゃんは先に船で逃げ出して、コナンは……コナン、どうしたっけ?

コナンはギリギリまでパシフィック・ブイに残ってたんだったかな。安室さんと赤井さん、両方から電話来て、「潜水艦を沈められる武器を手に入れた」「その声は赤井!?」と電話越しに二人を会話させて。
「本当にできるんだろうな、組織一の狙撃手、ライ」
「ああ、バーボン」
みたいな。
(※台詞はうろ覚え、全然違う可能性が高いです、すいません)

あれはサービスシーンだったなぁ。
ついニヤニヤしちゃったよ。

コナンは阿笠博士の小型水中スクーターを使って海に潜り、赤井さんに潜水艦の正確な位置を教えます。コナンの合図のおかげで赤井さんは見事上空から潜水艦を狙撃、ジン達は脱出、ピンガは爆発に巻きこまれ、そしてコナンも衝撃と波に揉まれて意識を失い大ピンチ。

「もう、何やってるのよ!」とコナンを助けるべく、別の小型水中スクーターを使って海に飛び込む哀ちゃん。「いかん、そのスクーターはバッテリーが」という阿笠博士の声はもう届かない。

「今度は哀ちゃんがコナンを助ける番か、熱い!」と思ったのですが、ここからの展開は「熱い」とかそういうレベルを超えてましてですね。いや、ちょっと、その、何これ、いいの?ここまでやっちゃっていいの???

コナンの意識を取り戻すため、口移しで酸素を与える哀ちゃん。
無事ゲホゲホッとコナンが息を吹き返したら、一つの酸素パイプ(なんていうんだ、あれ)を交互に口に突っ込み合って、「ゆっくり上がろう」と目と目で会話して、固く手を繋いで海面へ上がって行く。
そして、「あなたは知らないけど、今私たち、キスしちゃったんだよ」という哀ちゃんの心の声。

いや、ちょっと、それ、言っちゃいます?

コナン×蘭より圧倒的コナン×哀ちゃん派ではあるんだけど、哀ちゃん、中身は大人だと思うとこう……いや、いいけど……いいけど………。
コナンも哀ちゃんももう30年近く子どもやってるんだもん、「子どもが本来」になるよね。

そのあと哀ちゃん、しっかり蘭ねーちゃんの唇を奪って、「返したわよ、あなたの唇」って心の中で言うのがまた。

お腹いっぱいすぎる。

まぁなんというか、罪作りなやつですよね、工藤新一……俺はおまえのそういうところが嫌いだぞ(笑)。

海中に浮かぶパシフィック・ブイは中のコンピュータルームだけでなく、「建造物」としてもSFチックで、対魚雷デコイを出して潜水艦からの攻撃を躱す描写とか、非常にスペクタクルで見応えたっぷり。いつも(というほど全作見てないけど)コナン映画はこの辺りの作りが見事で映像的にも面白かった。

来年は久しぶりに平次のターンが来るようで、今から楽しみです。スペクタクルじゃなく全編和葉とのつかず離れずラブストーリーでもいいですよ、コナンも出てこなくて大丈夫ですからね~。