(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください)



久しぶりにコナン映画観てきました。てゆーかこれまで映画館で観たの、『漆黒の追跡者』(2009年)と『から紅の恋歌』(2017年)しかないんですけども。

『漆黒の~』がもう10年以上前ということにビビります。

皆さんご存知の通り、この『緋色の弾丸』は2020年に公開されるはずだったのが、新型コロナウイルスのせいで1年延期となりました。去年普通に公開されていたら映画館まで行かなかったかもしれないけど、「やっと公開!」というのと「赤井ファミリー集結!」というのに惹かれて劇場へ。

公開4日目の月曜日、朝一番の回というのに混んでて「さすがコナン君」という感じ。ライダーとか戦隊映画、最近空いてるのになぁ。

冒頭、15年前にアメリカで起きたテロを描く部分、ストリートミュージシャンがハーモニカで奏でる「ウィリアムテル序曲」に乗せて映像が進んで、すごくスタイリッシュ。
いつものテーマ曲でいつもの「小さくなった経緯」を説明するオープニングも素晴らしい疾走感。

一転、お話は現在へ。
東京で開催される4年に一度のスポーツの祭典、WSG(ワールド・スポーツ・ゲームズ)を目前に、名古屋と東京を結ぶ真空超伝導リニアが開通しようとしていた。
例によって例のごとく、鈴木財閥令嬢園子のコネでスポンサーの集まるパーティーに出席したコナン達。しかしそこで園子の父が忽然と姿を消し――。

いやー、ほんと財閥のご令嬢がお友だちだと国家的プロジェクトに潜り込めてすごいよねぇ。あんなスポンサーの集まり、社長の家族であっても小学生以下はお断りじゃないかと思うんだけど。
げんた君とか騒がしすぎるでしょ……私が参加者だったら「誰だよ、あんなガキ共連れてきたの」って思うよ、うん。

とはいえげんた君の警察犬並の鼻が功を奏し、園子の父親は無事発見。そのお礼にと超レアなリニアのテスト走行チケットをGetする子ども達。

持つべきものは財閥令嬢の友達、うん。

しかも園子ちゃんほんといい子で、レアチケット6枚しか用意できなくて、誰か1人だけ乗れないことになる(園子、蘭、コナン君、哀ちゃん、げんた達3人で7人)んだけど、園子、子ども達に譲ってあげるんだよ。それもさりげなく(見てる方にはバレバレだけど、子ども達にとっては“譲られた”とは思わないように)。
結果的にげんた達がリニアでなく「仮面ヤイバーショー」に行くことになった時も、園子、引率として付き合ってあげるんだもん、いいお姉さんすぎる

で。

園子のお父さんが一時行方不明になった件。
15年前のアメリカでの事件と符号してるんですよね。4年に一度のスポーツの祭典、そのスポンサー企業のトップが次々と狙われ、3人目は殺されてしまった。
殺されずに済んだ会社社長はWSGのスポンサーを降りたことで全米中から大バッシング……ってこれ、すごい話じゃない?

東京オリンピック直前の4月にこんな話を上映しようと企画するコナンスタッフやばい。

リニアはWSG開会式に合わせてテスト走行されるんだけど、最終的にリニアがスタジアムに突っ込んで、開会式は中止になる。
なんか、見ててムズムズした。
よもやコロナでオリンピックが延期になるとは――開催できなくなるかもしれないとは思わずに企画したんだろうけど、だからこそ、日本が「オリンピックまであと100日です!」とお祭り騒ぎしているだろう時期にこんなストーリーをぶつけてくるコナン映画。

パねぇ!

遠隔操作リニア、関わるエンジニアがテロリストなら容易に制御不能に陥るという怖い(そしてありえる)話だしなぁ。

15年前の悲劇が繰り返されるかもしれない、ということでげんた達3人はリニアに乗るのを諦めたものの、コナンと哀ちゃん、そして蘭と小五郎のおっちゃんはリニアに乗るべくまずは名古屋へ。
名古屋には世良のねーちゃんや羽柴秀吉、FBIの面々も大集合
長いことテレビシリーズの方見てないので、秀吉さんのこと全然知りませんでした。映画見に行く前にちょっと予習したけど……秀吉さんのあの性格、一体誰に似たんですか!?

名古屋でゆみたんとデート、「太閤名人」として有名なはずなのに、あんな酔っぱらいの女性連れて歩いてたらすぐフライデーされちゃう(死語)よね。別に2人の仲は秘密というわけでもないだろうけど、ゆみたん的に警察で問題になったりしないのかな、飲み過ぎってところが。

赤井さんは最初は昴さんとして登場。
沖矢昴が赤井秀一の「仮の姿」というのは今ではもうすっかり明らかになっていますけど、昔、まだ昴さんが登場して間もない頃、私嬉しがって『おきやすばる…キャスバル!?』って記事書いてたんですよね。
これがなんと2008年の7月!

赤井さんが昴さんの「化けの皮」かぶってから、もう13年近く経ってる!!!

もう「赤井秀一」だった時間より「沖矢昴」でいる時間の方が長いのでは……。

今回世良ちゃんとお互い相手の正体を知らずに(途中で赤井さんの方は「ますみか」と気づく)ジークンドーでやりあって、「昴の皮」に裂け目が入るんだけど、あれってほんとに「皮」なの?? 変装ってどういう仕組み???

一旦赤井秀一に戻ってまた昴になったり、あの「昴の皮」、何枚用意してあるんだろう。常に予備を持ち歩いてるんだろうか。

そして赤井さんといえば射撃。今回もその射撃の腕が冴え渡る。
でもあれも、「は???どういうこと???????」って感じだった。凄すぎて意味わからん。
だってリニアの中にいる犯人を外から狙い撃つんだよ。中には協力者のコナン君がいるとはいえ、赤井さんは軌道の外からトンネル内(確か)に向けてライフル撃つだけで、銃弾は超伝導でうんぬんかんぬん、そのために特製のシルバーブレットを――と後からFBIが解説してくれるけど、解説聞いても「お、おぅ」としかならない。

犯人以外の人間が射線に入る可能性とか、そもそも犯人がちょうどいい位置に立ってないと駄目だし「弾が来るタイミング」が理論上計算できたとしてもやな。

あんなこと可能なの!?

まぁそんなこと言ったらコナン君がスケボーで電話しながら猛スピードで車の間をすり抜けていくのとか、毎回毎回無茶すぎて、もし自分が運転してる時にあんなガキンチョが目の前に現れたら確実に事故る自信がある。

で、えーっと、話が前後するけど、名古屋から東京までテスト走行のリニア、テロの可能性を鑑みて結局無人で運行することになるのね。乗るつもりで名古屋に集まった招待客たちは普通の新幹線で東京に戻ることになる。蘭や哀ちゃんは新幹線に乗り込むけれども、もちろんコナン君と世良ちゃんはリニアの方に潜り込みます。

リニアには拉致られたWSGの会長と犯人が乗っていて、犯人は赤井さんの超狙撃で制圧されるんだけども、リニアが制御不能になる。

運転手なしで完全遠隔操作のリニア、エンジニアの人が共犯だったので、制御室からの遠隔操作も効かなくなるわ、運転室からの手動操作ももちろん効かないわで東京駅が近づいてきてるのに(リニアなので名古屋から東京までが確か20数分とかだった)減速できない止まれない。

しかもクエンチが起きて車体が揺れ動き、軌道にガリガリぶつかりつつ進む。

クエンチと言われてもクイッククエンチぐらいしか思いつかないけど、ちゃんと途中でどういうものか説明されてます。一行がリニア乗車前の健康診断を受けてる病院で「クエンチ」が起きてみんな意識を失い、その隙にスポンサー企業の社長が拉致られちゃってた。

えーっとMRI装置を冷却するための液体ヘリウムが急激に気化することを「クエンチ」と言って、ヘリウムガスが充満するとつまり酸欠になるので「みんな意識を失い」になるんですね。長時間それが続けば当然死んでしまう。

で、超伝導リニアにもヘリウムが利用されていて、それが爆発気化してさぁ大変、単に「止まらない」だけじゃなく、軌道をそれて大惨事の悪寒。
まぁ例によって例のごとくコナン君の超絶な働きで乗客4人(コナン君、世良ちゃん、犯人、WSG会長)は助かるんだけども、「いや、死んでるよね?普通死んでるよね??」っていう。

なんせスタジアムに突っ込んで前の方の車両ぐしゃぐしゃになるんだから……。

何億もかけたであろうリニアが軌道ごとテスト走行であんなに派手に破壊されるとかほんとに。スタジアムだってWSGのために新設したのでは? 開会式は中止で観客は避難した後だったけど、あのあとWSGはどうなったのか。関係者がテロに狙われスタジアムがあんなになってもそれでも開催されたのかな。

そしてそして。今回リニアの中での出来事が、防犯カメラ的なやつで新幹線の中に生中継されてる。
蘭ねーちゃんや哀ちゃんのみならず、他の乗客たちもみんなコナン達がなぜかリニアに潜り込んで犯人確保してる様子をリアルタイムで見てるんだよ。
冷静に考えておかしいよね、小学1年生と高校生がテロに対処してるんだよ、あの後マスコミ殺到じゃん……。黒の組織に目ぇ付けられるどころじゃない(´・ω・`)

まぁそこ突っ込んじゃいけないとは思うんだけど(今さらだし)、警察やFBIの内々の面子だけじゃなく一般の人たちにあんなに思いきり顔バレしちゃってほんとに大丈夫なのかと心配しちゃったよ。

生中継(と探偵バッジ)のおかげで哀ちゃんと強力タッグ組めたのは良かったけど。

哀ちゃん大活躍で嬉しかった。クエンチ他色々詳しくて「あなた何者!?」と言われて、しれっと「ただの理科好きの小学生よ」と返す哀ちゃん最高。ふふっ。
しかし「名簿をクラウドにアップしてくれ」とか、ほんとにコナン世界のアップデートがすごい。最初はケータイも持っていなかったんじゃ…。

で、コナン達がリニアをなんとかするのに大わらわな一方、赤井さん達FBIはもう1人の犯人(リニアのエンジニアの方)を追い詰めています。
これがまた面白い。
赤井さんの車に秀吉くんが乗って、そのナビで逃走する犯人を追い詰める。ジョディさんが待ち構えるところへうまく誘導していくんですよね。振り切ったかと思うとまた現れる追っ手に「なんでだよ!」とキレる犯人。
たぶんほんとにある道路で「こっちからこう追えばこっちに逃げてこう」っていうチェイスをやってるから、土地勘ある人はきっとさらに楽しいんだろうなぁ。

あれこれ盛りだくさんですごい上にエンディングがまた!
東京事変による格好いい主題歌『永遠の不在証明』に乗せて、ロケ地(?)の実写映像や赤井さんの姿を交えた超スタイリッシュな映像が流れる。


いやー、ほんと格好いいよね、この曲。エンディングには歌詞字幕もついててその歌詞が見事に映画と(コナン世界と)リンクしてるのわかるし、歌がぴたっと止まって後奏に入るところとエンディングの映像がまた見事に合わせてあって唸る。

いつもテレビ放送ではエンディングは大抵カットされちゃうから、映画館に足を運んで良かった、観に来た甲斐があった!と思いました。

しかもまだある。
まだその後に幼女田中敦子様が降臨する。
「領域外の妹」、実は赤井ファミリーの母、メアリー様が「沖矢昴」に戻った赤井さんに背中から銃を突きつけて「調子に乗るな、FBIの小僧」と凄む。

ぎゃー、もう、何、何なの、赤井ファミリーみんな頭おかしいよね(爆)。

メアリーはMI6で、娘の世良ちゃんも今回元々はWSGスポンサーのイギリス人を守るために名古屋にやってきていて、MI6にしてみれば今回の事件は15年前のFBIの不始末の余波だったりもするので、「FBIの小僧」に対して釘刺しに来るわけです。

昴さんが息子だってこと、メアリーはまだ全然知らないのね……。ご丁寧に「誰だか知らないが」とか言ってた。

メアリーは背後にいて振り返った時にはもう姿を消しているので昴さん(赤井さん)は相手の顔を見てないんだけど、きっと声でわかったよね?
面白がるように「小僧か」ってつぶやくだけだけど。

はぁ、もう、ほんとに盛りだくさんだったな。

ゲスト声優の浜辺美波さんはすごく上手で、見ている間全然気づかなかった。普通に声優さんがやってると思って見てた。後から「あ、そーか、あれ浜辺美波さんか!」って。

格好いいエンディングに親子対決まであって、でも最後の最後はゆみたんのゲロオチというところまで完璧。
堪能いたしました。


(※この名古屋弁バージョン予告もすごいよね。このバージョンでは「でら遠くまで」になってる赤井さんの「届け、はるか彼方へ」って台詞、映画では言ってないのが残念だった)