(※Amazon Prime Videoで『港のひかり』を見る)
予告も見たし、フライヤーもGetして、眞栄田くんがこの映画の番宣をしていたあさイチもちょこっと見てたりしたんですが、「真面目そうで可哀想っぽいな」と思って、映画館までは足を運ばなかったんですよね。
でも『免許返納!?』を見て、舘さんをもっと見たいなと思ったらPrimeVideoに入っていたので、再生ボタンポチっ。
いきなり宇崎竜童さんの遺影が。
え、こっちにも尾崎誠!? こっちでも死んでる???
宇崎さん、こっちでは舘さん扮する三浦が慕う河村組の先代組長。『免許返納!?』では盟友、こちらでは師弟。縁がありすぎますね。『免許』の感想に書き忘れましたが、冒頭、南条の古希の祝いの席で好き勝手言う酔っぱらいおじさんのお芝居、すごく良かったです。
『港のひかり』の方の宇崎さんはほぼ遺影。生前の姿は三浦の回想の中にちょこっと出てくるだけ。河村に可愛がられていた三浦、たびたび能登の海で河村と釣りをしていて、その思い出の海で今は漁師をしている。
河村が亡くなる直前、若頭だった三浦は除籍されて、「カタギ」になっていた。次期組長と目されていた三浦がいなくなって、現在の河村組組長は椎名桔平さん扮する石崎。わぁ、桔平さん!
後ろで小さく髪をくくってる桔平さんのビジュアルが良い! めっちゃ悪いヤクザなのも良い!! 『スペシャルズ』の時のお茶目な桔平さんも良いけど、ドスの効いた桔平さんもたまらん。
桔平さん配下のこれまた悪いヤクザに斎藤工さん、悪いビジュが似合うぅぅぅ。もともと三浦の舎弟だったけど、今は石崎に従うしかない組員大塚にピエール瀧さん、そして同じく三浦派組員に山崎潤さん。
北条さん! 北条さんじゃないか!!!
出番は多くないけど嬉しかった。桔平さんともども私得なキャスティング。
三浦を色々手助けしてくれる漁業組合会長荒川役を笹野高史さん。さすがの名演、三浦よりだいぶ年上っぽい雰囲気だけど、舘さんと笹野さんって実際は2歳しか違わないのよね……。
前半と後半の間に12年の月日が流れて、後半の三浦は75歳だか76歳だか、舘さんの実年齢に近い設定になってて、だから前半の三浦は60代半ば。舘さんは髪を黒くして、後半との違いを出してらっしゃる。
南条弘とは違って寡黙な役だし、渡哲也に似て見えるよねぇ。
三浦は盲目の少年幸太と出逢い、交流を深めていく。この幸太の境遇がまた不憫で……。ヤク中のヤクザが運転する逆走車に正面衝突され、両親は他界、自らは視力を失い、叔母さんに引き取られてるんだけど、この叔母さんもそのヒモも、ろくに幸太の面倒を見ない。幸太が受け継いだ遺産だけをめあてに、「置いてやってるんだからおとなしく言うこときけや」状態。
そんでその叔母さん役がMEGUMIさんなんだよ。え、また!? 『免許返納!?』では亮の実母、こちらは母親代わりの叔母さんだけど、素行の悪いヒモともども育児放棄、成長したあとの幸太にも金せびってて、どうしてこんな役ばっかり……。
家には居場所がなく、他の子からはいじめられ、学校にも行っていない幸太。たった一人親切に接してくれる三浦を「おじさん」と呼んで慕う。三浦は自分のことを「元ヤクザ」とは言えず、逆に「刑事だった」と嘘をつく。
前半の幸太役、尾上眞秀くんがとにかくうまい。実際は見えてるのに全盲の役、それでなくても難しいだろうに、朴訥とした、自然な表情がとても良い。寺島しのぶさんの息子さんなのねぇ。
三浦は幸太の目を治すため――その治療費を手に入れるため、河村組のシノギを横取りする。相手はろくでもないヤクザとはいえ、ためらいなく殺す三浦がすごい。さらに幸太ん家に乗りこんでヒモをボコボコにして、「この金、絶対に幸太のために使え!」と脅しつけるとこもすごい、元若頭、伊達じゃない。
てか、そんな一時的に凹ったぐらいで、あのヒモがおとなしく言うこと聞くとは……。手術には「家族の同意書が必要」ということで、叔母に頼むしかなかったとはいえ、いきなり全額持っていかなくても。
まぁ叔母さんはちゃんとそのお金で幸太に手術を受けさせて、さらにそのお金で幸太を施設に預けるんですけども。さっさとネコババしてフケる奴らじゃなくて良かったよね。
三浦は自首して服役、12年の月日が経つ。手術で目が見えるようになった幸太は「おじさんに憧れて」刑事になっている。そして三浦が実は河村組の元若頭なのでは?と気づいてしまうんだよね。警察の資料を検索して、三浦の顔写真も発見して。でも幸太は「おじさん」の顔を見たことがなかった。手術が終わって視力を取り戻したとき、もう「おじさん」は行方をくらましてしまっていた。
成長後の幸太は眞栄田郷敦くん。なるほどあの子がこう育つか、って感じ。初めて「おじさん」らしき人の顔写真を見た時の表情とか、おばさんに金せびられて「育てた?育ててなんかないだろ!?」とついにキレる(でも暴力的ではなく、とても哀しい感じにキレる)様子、「おじさん」との対面……。眞栄田くんもいいし、舘さんの泣きのお芝居もね……。
幸太はガンガン麻薬の売人を挙げていってて河村組から目をつけられてるし、三浦も石崎から「出所してくるのを待ってたぜ」って手ぐすね引かれてる。カタギになった元若頭にシノギを横取りされるなんて、組長の面目丸つぶれだもんね。
12年経って髪型変わった桔平さんがもう本当に怖くてヤバくて良い。めっちゃヒリヒリする。ハラハラする。「なんで俺じゃなく三浦なんだよ!俺の方が身を粉にして働いてんのによぉ!」っていう石崎のコンプレックスもなんかわかっちゃうしさ。やってることはヤクザだから「優等生」という言い方は変だけど、「頑張って勉強して成績もいいのに全然褒めてもらえない、サボってる奴の方が“人柄”とかで人気ある、プンスカ」っていう鬱屈、あるあるだよね。
そもそもその辺をきちんとせずに、「もう昔ながらのヤクザの時代じゃないからおまえはカタギになれ」つって三浦を除籍するだけして、石崎の方には大して薫陶を垂れなかった宇崎竜童が悪いのでは??? 残された三浦派舎弟のことも考えろよ~、先代~~~。
最後、結局子飼いの斎藤工に「うんざりなんだよ、いつもいつも偉そうにしやがって!」で引導を渡されるの、哀れなやつだぜ、石崎。“人柄”がないから“力”で抑えつけて、いっそう人望を失うんだよなぁ。
石崎に呼び出された三浦、そして幸太。ほんとにハラハラしたし、緊張感すごいし、少しだけど銃撃戦でアクションも楽しめる。最後、ふりしきる雪の中で幸太に両手を差し出す三浦。「刑事だろ?逮捕しろよ」
いや、そんなことより救急車、ってつい思ってしまったけども。めっちゃ寒そうだし。
いい話だったけど、「人のために生きる」っていうのをもともと先代組長が言ってて、「ヤクザが“人のために生きる”」とは?ってちょっとモヤモヤしなくもない。ムショ暮らしも石崎からの報復も覚悟の上で、幸太のために金を作る三浦はすごいけど、いくら悪党だからって殺人をも厭わないのはどうなん?とか。あそこでためらいなく人を殺せるからこその「ヤクザ」、一般人を逸脱した「ヒーロー」ではあるんだろうけどなぁ。
ちまちま働いて貯めてたんじゃ間に合わない、「お金がない」で諦めたら、救えるものも救えない。結局それは見ないふりをするのと一緒じゃないのか――。
でもうっかりすると荒川さんまで殺されたかもしれないし(荒川さんに手を出さなかった石崎、優しいと思う)、三浦の行動を「美しい自己犠牲の物語」として肯定するのはちょっと、うーん。親身になってくれる田辺刑事(演:市村正親さん)もいたじゃん?
幸太、最終的にあの叔母さんと縁を切れたのかな。ああいう境遇の子どもに対して周囲の大人は何ができるのか、誰も何もしてくれない中、三浦だけが命懸けで行動してくれた、それはそう、それはそう……。
誰も殺さずに、と思うのは、綺麗事なのかなぁ。
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