昨日お芝居の方を紹介した星組公演、今日はショーの方の感想を。

のっけから、トップコンビが老夫婦で登場。
とぼけた味わいで客席から笑いが漏れる。
母が「前よりさらにオーバーになってる」と言ってた。
公演終了も間近になり、アドリブも増えていたのでは。
老夫婦はもう一度終盤で現れる。
観客に話しかける「オルキス・ダンス」の場面とともに、トウコちゃんの芸達者ぶりが見られる楽しい演出。

ほんと、研ぎすまされた刃のようなティリアンをやらしても、こーゆー軽妙なのをやらしても、うまいよねぇ。

蘭と「アルゼンチン・タンゴ」がテーマになっているショーで、なんか不思議な味わいがあった。
こう、いつもの宝塚のショーのようにノリでわーっと流れていくんじゃなくて、じっくりとダンスを見せる感じだなぁ、と思ってたら、なるほどアルゼンチンから振付家を招聘しているのよね。

道理で、「ダンス公演」を見ている気になったわけだ。

曲もバンドネオンがむせび泣くものが多く、もともとそーゆーのが好きな私には嬉しい。
中詰めでは「リベルタンゴ」が使われていたし。
ピアソラの名曲。
歌詞がついてた……。

一見地味なシーンも多いんだけど、深いところでじわーっと「いいな」と思えるような、玄人好みなショーでした。
中央で踊っている男女の心の機微を両端の別の男女が歌で掛け合うシーンなんかも、洒落たヴォードビルの雰囲気。
ここの組長さん(英真なおき)の表現力は、さすが。

ショーの方もトウコちゃんが出っぱなし、歌いっぱなしの印象。
これの2回公演はきついよな。
でもファンとしては、トウコちゃんの美声と抜群の歌がたくさん聴けて嬉しい。

昨日書き忘れたけど、ニコラス役の美少年・綺華れいちゃんと、シグリット役の南海まりちゃんはこれで退団。
シグリット、滑舌もよく顔もキュートで、「この子いいじゃん、誰だろ」と思ったので、退団と聞いて残念だった。
南海まりちゃんって、『龍星』でトウコちゃんの相手役をした子だったのよね。あの時も有望な娘役だと思ったのに。

いくら宝塚が男役の世界と言っても、「できる」娘役がいないとドラマがふくらまないし、男役もかっこよくならないので……うーん、もったいない。

星組はこのあと3月にドラマシティで『赤と黒』
すでにチケット入手済み。
そして7月に大劇場で『紅はこべ』をやると決まったそうな。
またコスプレですね、トウコちゃん。
今度は正義の味方というか、義賊というか。
以前に宝塚オリジナル脚本で舞台化されているけど、今回はブロードウェイでミュージカルにされたもの(『The Scarlet Pimpernel』)を持ってくるのだとか。
「痛快世界の冒険文学」シリーズ(児童書)で山崎洋子さんが翻案したものを読んだことある。ヒロイン目線で書かれていた。「行動するヒロイン」と「かっこいい義賊」、その正体を追いかける男との三つどもえのスリリングなお話。
うん、いいかも。

春野さんの退団で私の最後の希望になってしまったトウコちゃん……すぐには辞めずにがんばってほしい。

宝塚のない人生なんて、つまらない。