昨日『鞍馬天狗』の話をした。
鞍馬天狗は幕末に、一応「新撰組の敵」として活躍する。
で、今日は明治維新の話を少し。

子どもの頃は、なんとなく明治維新というものは新しい時代を切り開いた「よいもの」で、それ以前の江戸時代は農民を搾取する「悪い時代」だったのだ、というイメージがあった。
「士農工商」
「農民は生かさぬよう殺さぬよう」
「お代官様、それはあまりにご無体な」(笑)

明治維新の立役者である坂本龍馬、勝海舟、西郷隆盛、高杉晋作、桂小五郎……(これぐらいしかとっさに思いつかない)という人達はみんな「偉い人」と小学校や中学校では習ったんじゃないだろうか。

高校の時は、たぶんそこまで習ってない。
私は共通一次を世界史で受けたので、日本史は途中までしか習わなかった。習った部分も半分寝てたからよく覚えていない。
「現代」に繋がる「近代」の日本史を学ばずに大きくなるというのもとんでもないことだな、と今は思うけど、当時は日本史に興味がなかったし、なんせ担当の先生のしゃべりが超眠かったし……。

ともかく、明治維新で「四民平等」になって、日本にも「民主主義」がやってきた、みたいに教えられて、「そんなもんか」といういい加減な認識で大人になった。

明治維新の、「維新」という言葉がまず不思議である。
明治維新以外で、「維新」という言葉を聞いたことがない。
辞書を引くと、「�すべてがあらたまり新しくなること�「明治維新」の略」というふうに説明されている。

明治維新は「革命」ではない。
橋本治さんの著書に「江戸にフランス革命を!」というのがあるのだけれど(残念ながら私はこれを未だ読んでいない)、日本には「革命」というものが起こったことがない。
ちなみに「革命」という言葉は「国家の政体が根本的に変更されること」と辞書に載っている。

幕末、黒船のおかげで日本の国内は「尊王攘夷派」と「佐幕派」に分かれて、それで「尊皇攘夷」の方が勝って、明治になる。

中学校ぐらいの時に、私はとてもびっくりした。
「天皇って、まだ続いてたんだ」と思って。
なんとなく、織田信長とかが戦国時代でがんばっている時に、一回天皇制は終わっちゃったんだろうと思っていて、ずっと忘れ去られていた天皇が幕末になると突然「尊皇」で出てくるので、「え?」とびっくりしたのである。

戦国武将達が「天下」をめぐって争っている時も、「天下を治めているはずの天皇」はちゃんといた。
それが、すごく不思議だった。
今でも、不思議である。
幕末に「開国」か「攘夷」かで日本の行く末を考えなければならなかった時も、「幕府がダメだったら天皇を担ぎだす」というふうになる。

なんでそこで天皇が出てくるのか、よくわからない。
「今のままじゃダメだ。新しくしなくちゃ」だったら、自分たちで新しい政体を作ればいいのになぁと思うのに。

誰も天皇を廃そうとはしないで、「院政」とか「勝手な戦国時代」とか「幕府」とか、別のところに「実質的な政府」を作って、二重権力のままずっと行く。
明治維新では天皇に権力が一本化されるのかな、と思うけど、でも「明治の元勲」と呼ばれる人達はずっと力を持ってて、その後は「軍部の暴走」とかになって、太平洋戦争でも「天皇には罪がない」みたいになって、やっぱり別に「実質的な政府」があったことになっている。

「新しい政体」というのが、ほんとに日本には起こらないんだ。
続く