※以下ネタバレあります!これからご覧になる方はご注意下さい!



2月16日11時公演を観てまいりました。

ひっさびさのB席です。B席しか取れませんでした。平日なのに……。ちゃんと発売日の朝10時にPC前でスタンバってたんですけど全然繋がらなくて、繋がった時には土日は完売、平日も残りわずか、的な。

どんだけ人気やねん(´・ω・`)

とりあえず確保できて良かったです。



端っこだったけど意外と見やすくて、母などは「もう今度からここでいいんじゃない?どうせ双眼鏡で見るんだし」と。うん、確かに。いつも1階のA席だったけど、Aの後ろだったらBでも一緒だよね。2階の方がむしろ全体を見渡せて良いかも。

安いし。

 

で、『るろうに剣心』です。ポスタービジュアルが発表された時にはその再現度の高さにびっくりしましたが、舞台上で動いてもホント再現度高くて、衣裳さんもジェンヌもみんな頑張ったなぁ、宝塚すごすぎやな、と思いました。


(※公演パンフレット綴じ込みのピンナップ。カラー写真多め、原作イラストもあってなかなか豪華な造りです。珍しく縦書きで右開きになってます)

『ルパン三世』の時も思いましたが、雪組は芸達者な生徒が多いんでしょうね。衣裳やメイクの力だけでなく、ちゃんとその役として存在しているのがすごいです。

私が特に気に入ったのは観柳ですけど、斎藤も立ち姿が実に「斎藤」で、原作マンガやアニメで相当研究したんだろーなー、と感心。実写版の江口洋介よりずっと斎藤だったし、恵も実に女狐な恵で。

うん、個々のキャラクターについては素晴らしい出来だったと思います。でも主要キャラ全員出し過ぎて、それぞれの見せ場を作らなくちゃいけなくて、盛り込みすぎて全体としてかえって散漫になってしまったような気がしました。

幕末の京都から始まって斎藤や加納惣三郎との因縁を描き、維新後の江戸で偽抜刀斎騒ぎと弥彦&薫との出会い。斎藤や山県有朋と再会し、偽抜刀斎騒ぎの裏には観柳がいて、観柳と加納惣三郎は繋がっていて、加納は今はジェラール山下と名前を変えていて、あ、そうだ、左之助とも出会わなくちゃ、そうそう、剣心の頬の傷の由来は昔の女・巴が絡んでて、えっとそれから元隠密お庭番衆の蒼紫ってのがいてさ、阿片作らされてる恵って女もいるわけ。それで牛なべ屋の赤べこには……。

ぜーはー。

キャラクター紹介だけで大変。

正直巴の話まで出してくるとは思いませんでした。十字傷の由来を剣心が歌う後ろで回想シーンとしてさささっと演じられるだけだけど、原作ではこの話はずーっと後になってからしか明かされないことだし、特に説明しなくても問題ないよね。

後半で剣心が阿片を盛られて、幻覚の中で巴と昔の人斬りだった自分と対峙するっていうシーンがあるから、巴も「人斬りだった頃」を表す象徴として出したんだろうけど、原作知らない人にとっては設定情報が多すぎて付いていくのが大変なのでは……。

一緒に見た母は原作もアニメも実写版映画もまったく知らないでいきなりこの宝塚版を見たんだけど、第一幕終わった時に「なぁんかバタバタしてたねぇ」と。

「よくわからなかった」とは言ってなかったので、登場人物や話の流れはおおむね掴めたんだと思うけど、幕末の京都から駆け足でたくさん説明して主要キャラ全部出して……というのが「バタバタしてる」に見えたのはうなずける。

割り切って左之助や蒼紫は出さない!……なんてことしたらそれはそれで原作厨から不満が出るかな……。物語の「筋」としてはいなくてもたいして問題ないと思うのよ。観柳が使う私兵がお庭番衆である必要はないし、左之助も赤べこでの出会いのシーン以外はそんなに見せ場があるわけでもない。

剣心と左之助の出会いのところは弥彦が拍子木打って歌舞伎調で見得を切る楽しいシーンになっていたし、蒼紫様役の月城かなとさんはあのコスプレが大変よく似合ってすごく格好良かったから、出てなかったら寂しいな、とは思うんだけど。

うーん。

キャラクターとストーリー構成と、どっちも両立させようと思うと難しいね。フランス帰りで洋館建ててる加納惣三郎を出すことで薫ちゃんにドレス着せたりして、「宝塚の舞台」として成立するよううまく纏めていたけれど。

でも原作厨としてはやっぱり惣三郎はビミョーだったり(^^;)

惣三郎役の望海さんは歌もお芝居もほんと巧くて存在感たっぷりで、いわゆる「色悪」な役を見事に演じていらしたのだけど、見事すぎてこう、剣心ワールドに一人「ザ・タカラヅカ」が混じってる、という感じが……。敵があの小物の観柳だけでは弱いし、京都でも出会っていた惣三郎をこういう形で持ってくるのはなるほどうまい手で、元新選組隊士でもあるから最後は剣心vs惣三郎の大立ち回りもできるはずで。

できるはずだけど、たいした戦いじゃなかったよね……。

惣三郎は今は実業家として成功し、そっちで国を転覆させようと思ってる人で、「武」の人じゃないんだよなー。剣心の方も、阿片による幻覚+過去の「人斬り」としての自分との戦いがメインで、惣三郎と斬り結ぶのはおまけみたいな感じ。最後割とあっけなく片付いちゃって、カタルシスが足りない……。

殺陣のシーンはけっこうあって、剣心の早霧さんはじめみんな頑張っていたけど、いかんせん2階からだと「遠くから俯瞰」なのであんまり迫力や美しさがわからず。きっと前の方で見たら格好良かったんだろうと思う。前の方で見られたら……うう。

斎藤は歌振りの中で何度か「牙突」のポーズを決めてて格好良かったんだけど、実際に剣を振るうシーン(闘うシーン)はそんなになくて、牙突の持ち腐れ的な(笑)。斎藤役の彩風さんは『ルパン三世』の時は次元役で、あの時も立ち姿がとーっても次元ですごいな、と思ってたんだけど、今回も煙草くわえた立ち姿が実に斎藤で、見事でした。

いやー、しかし「悪即斬」がミュージカルナンバーになる日が来るとは。

「あくそくざーん♪」とコーラスが入ると……ごめん、むずむずする(笑)。

そして。

私的真打ち、観柳役彩凪さん。『ルパン』の時は寡黙な五エ門だったわけですが、今回は観柳で弾ける!!!

全身からあふれ出す小物感(笑)、お笑い要素はすべて俺にお任せ♡な怪演で、めちゃくちゃ楽しませてもらいました。

実は彩凪さん、インフルエンザで2月12日から休演してらしたそうで、私が観劇した16日の11時公演から復帰だったのですよね(今この記事書くのに色々調べてて初めて知りました)。

インフルエンザ明けであのテンション!

彩凪観柳が観られてホント良かったです。

「これがガトリング砲♪」って、ガトリングガンネタがミュージカルナンバーになって観柳が歌い踊るんですよ。あの宝塚の大階段を観柳が降りてくるんですよ!

「私は一体何を見ているんだろう。もしや次元の狭間に落ちたのか…」(笑)

士族出身であることを誇りにしている弥彦を鼻で嗤い、「こちとら幕末も貧乏、明治も貧乏、のし上がるためには手を汚さなきゃしょうがない、てめぇらせいぜい昔の思い出に浸ってやがれ!」(台詞はうろ覚え。正確ではありません)と剣心達に言い放つ観柳には惚れてしまいました(爆)。

なんかものすごい説得力を感じちゃいましたよ、うん。ほんと、どいつもこいつも過去に縛られやがってねぇ。

あと、ポスターに入ってなかったからもしかして弥彦出ないのかな、と思ってたけどもちろんちゃんといて、良いお芝居をしてました。弥彦役の彩みちるさんは新人公演では薫役なのね。弥彦と薫を両方やるとか、宝塚ってほんますごいわ。

それから比留間組組長役、美城れんさん。専科さんだし巧いの当たり前だけど、ほんっとに巧くて、久しぶりにいい時代劇観た!って気になりました(笑)。観柳の「ガトガトガトリーングガーン♪」を除けば比留間組のシーンが「場面」として一番好き。

かさにかかった雑魚が敵の正体知ってうろたえて一旦は引くものの「ええい、こっちのが人数多いんだ!」でまたかさにかかったあげく一刀両断にされるっていう時代劇テンプレ、たまりません。

お庭番衆は蒼紫様だけじゃなくべしみ、ひょっとこ、しきじょう、般若と4人とも出てきたけど、4人とも見た目は般若くんだった(笑)。まぁね、他の3人はちょっと再現無理だよね。忍び装束に般若の面っていかにも「隠密」な感じするし。

「黒衣」的な4人を従えて踊る蒼紫様、という図はとても格好良かったけど、考えてみたらなんで蒼紫様だけ「忍びなれどもパーリナイ♪」な格好なのか(笑)。明治になってもう隠密じゃなくなったと言えばそうだけど、めちゃめちゃ目立つ格好してるよね、あの人。そのまんま宝塚で通用する衣裳。

蒼紫様や観柳に比べると剣心は衣裳が地味で(笑)。

早霧さん剣心は「おろ?」も可愛らしく、抜刀の構えは格好良くて安心して見ていられる巧さだったけど、強烈な登場人物が多いので意外と目立たなかったかも……。薫役の咲妃さんも芝居の巧さは折り紙付き、だけど二人がじっくり絡むシーンというのはそれほどなかったような。

私が観柳ばっかり見てただけか?

最後、フィナーレで大階段を降りてくるところ、左之助も観柳も斎藤もみんなそのキャラクターとして出てきて「宝塚の大階段に左之助がぁぁぁ」と「るろ剣」も宝塚もどっちも大好きな私としてはくらくらする楽しさだったんだけど、トップスター二人と準トップさんは羽根背負わなきゃならないので普通に「ザ・タカラヅカ!」な衣裳で降りてくるんですよね。

フィナーレに、剣心、薫、惣三郎の三人はいない。

剣心のあの衣裳に無理矢理羽根しょわせて「おろ、何でござるかこれは」とか言いながら斎藤に小突かれつつ階段降りてくるとかやってほしかったなぁ。