(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください。記憶違い等多々あると思いますがご容赦を)



公開3日目、12月20日に観てまいりました。
余裕で入場者特典がもらえちゃった。もらっても使い道ないけど。


スマホアプリでスキャンして遊べるカード、というのが時代を感じますねぇ。昔はガンバライジングのカードだったのに(ガンバライジング、なくなったのかと思ったけどCMやってた)。

仮面ライダー50周年記念と銘打たれた今回の映画、うーん、私にはあんまり面白くなかったなぁ。なんかちょっと退屈だった。
たぶん、セイバーに何の思い入れもなく、リバイスにもいまいち乗り切れてないのが一番の理由だと思うんですが。もしセイバー好きだったら、剣士のみんなが出てくるだけでテンション上がって楽しかったのかもしれない。

テンション上がるどころか、“お兄様”の名前も思い出せないぐらいで、変身後は誰がどのライダーか全然わからない。本当に、セイバーのライダー、ビジュアルとライダー名と中の人が結びついてなくて、「これは誰???」という。
まぁわかんなくてもストーリーは理解できるけど、ライダーに思い入れがないとバトルシーンもあんまりワクワクしないもんなんだなと……。

とはいえセイバーは――トウマはそんなに活躍しません。思い入れのない私でさえ「主役ライダーなのにちょっと可哀想だな」ってぐらい、しどころがなかったような。

トウマの代わりにセイバーチームでメインになっているのは倫太郎。予告でも流れているとおり、メイちゃんに「絶対帰ってきて」などと言われています。「帰ってきたらお伝えしたいことが…」とフラグ立てまくるけど、ライダーなので死んだりせずに無事帰ってくる。

冒頭、しあわせ湯を訪れるのも倫太郎。メイちゃん、尾上さん&そら君親子とともに。そら君がちゃんと出てくるのはいいよね。
「以前もらったチラシを見て来ました」って倫太郎が一輝に言うんだけど、夏映画(『ヒーロー戦記』)で出会ってたんだっけ? チラシ貰ってたんだっけ? もう記憶が……。


で、倫太郎、一輝に「家族風呂はありませんか?」って聞くんだけど、一輝はバイスと会話してて、バイスに対して「そんなものあるわけないだろ!」とか答えたのが倫太郎に答えたみたいになって……。
しあわせ湯に家族風呂があったら、倫太郎はメイちゃんと一緒に入るつもりだったの??? メイちゃんがさっさと女湯の方に行っちゃって、寂しげな倫太郎に尾上さんが「早く本物の家族になっちゃえよ」とか言うの、「一緒に入る」を前提にしてるよね!?

しかもその後、緊急事態発生でノーザンベースにバスタオルいっちょで駆けつける倫太郎、ソフィアさんの前でバスタオルが落ちるお約束付き。
「きゃー」と言いながらしっかり見直してたよね、ソフィアさん。

なんか、このくだり、あまりに鉄板ネタすぎて、「要る? このシーン要る???」ってなりました。

トウマは剣士をやめて作家に専念しているけれども、緊急事態に対処するためソフィアさんが「この剣を彼に」つって、すぐ剣士に復帰。
バッチリ衣裳を決めて登場するトウマ、家で小説書いてる時もあんな格好で書いてるのかなぁ。いつもながらあの衣裳が似合うだけですごいとは思う。

で。
お話は、2071年から始まります。
2071年、世界は悪魔に支配されていて、人間は悪魔の奴隷のような存在になり下がっている。そんな中、悪魔たちの追撃から逃げる1人の男。中尾明慶くん扮する百瀬龍之介。

そこへ「ヘイ!こっちだ!」と謎の爺さんが現れ、助けてくれるんですが、もちろんこの爺さんは50年後の狩崎、百瀬に対して「このベルトで過去へ行って世界を救ってくれ」と無茶振りします。
「このベルトで50年前に行き、ライダーに変身して、まだ世界を支配する前の悪魔ディアブロを倒してくれ」と。

普通なら「はぁ?」となるところですが、百瀬は実はショッカーの研究員だったので、「ベルト」と「ライダー」の意味がわかります。わかるどころか、百瀬は本郷猛を改造して仮面ライダー1号にした、その張本人だったりするのです。

百瀬は1971年に本郷猛を改造して、でも自責の念に駆られてショッカーを逃げ出そうとし、失敗してショッカーに宇宙へ捨てられちゃうんですね。なんで殺してから捨てなかったのか、ショッカーも詰めが甘いけれども、とにかく百瀬の乗った宇宙船(シャトル?)はワームホールに捕まり、2071年の地球に不時着してしまった。

そんな都合のいい話がーーーーーーーーっ。

しかも百瀬、ディアブロの「契約者」でもある。ショッカーが百瀬にディアブロのスタンプを押したことでディアブロは実体化した。その力があまりに強大(というか制御不能)だったので、ショッカーはディアブロを封印したんだけど、その封印を2021年にアギレラ様たちが解いたことで、世界は悪魔のものに。

まだオルテガが裏切る前、若林司令はもうデッドマンズに合流した後……だったので、この映画はリバイス本編14話の後ぐらいの時間軸と思われます。

爺カリちゃん、百瀬の名前を聞いて驚いていた(「Oh!これはまさに運命だ!」とか言う)ので、百瀬だとわかってて助けたわけじゃなく、ベルトの被験者を探していたらたまたま百瀬に出くわしたっぽい。

仮面ライダーセンチュリーに変身できるベルト、サイクロトロンドライバー。
タイムワープ機能もあるんだけど、精神だけしか送れないので、ワープした先(50年前)で自分と同じ遺伝子を持つ家族の体を借りて変身しなくてはいけない。

ドライバー、自分で使わずに誰かにやらせるところがカリちゃんだなぁと。
自分でタイムワープして50年前の自分に変身させる方が手っ取り早いと思うんだけど、「自分ではうまく行かない」とかあるのかな。カリちゃんのことだから、「うまく行くかどうかもわからないのに自分を実験台にはしない」が一番の理由な気がする。

で、百瀬の精神は2021年に飛び、そこで息子の秀夫の体を借りようとする。
「息子」だけども、1971年時点の年齢のままの百瀬よりも、秀夫の方が年を取っている。そして秀夫は「家族を捨てた父」を恨んでいて、突如現れた百瀬に反発し、変身に協力しようとはしない。

秀夫は古田新太さんで、さすがのお芝居、さすがの存在感すぎて、ライダー映画を見ている気がしなかった(^^;)

お話の軸は百瀬と秀夫の和解であり、「2人の気持ちが通じ合ってやっと仮面ライダーセンチュリーが本来の力を発揮する!」なので、セイバーもリバイスも脇役感がすごい。
百瀬親子の絆をつなぐ鍵は「新幹線」、秀夫の現在の仕事も新幹線の整備士、ドクターイエローも映ったりして楽しいけれども、しかしライダー映画でこーゆーのを見たいかと言うと微妙

時代的に「新幹線が憧れの乗り物」で、一緒に乗る約束をしたのに父親はショッカーに入って行方不明、ずっと父親を恨んでいた息子が父と和解し、今度は自分の息子と新幹線に乗る……。いい話だし、最後秀夫が「子どもの自分が父親と一緒に昔の新幹線に乗っている」光景を幻視するところはうるっときちゃったけれども、でもライダー映画としては以下同文。

50周年記念で、親子2世代どころかもう3世代でライダー見てる家族も多いだろう今、親子が力を合わせて変身する、それも「子」の方がライダー開始当初に子どもだった世代(つまり俺ら)っていうの、熱い展開ではあるんだけども。
中尾くんと古田さんが並んで左右対称に変身ポーズ、腕が少し重なって「へんっしん!」ってなるのも良かったんだけど(ちょっとバロムクロスを連想した)。

でもなんか、「仮面ライダーをモチーフにした昭和の親子のドラマ」を見ている感じで、わくわくするバトルが足りないというか、もうそういう「何周年記念」っていうのはお腹いっぱいというか。
夏に『スーパーヒーロー戦記』を見たばっかり、3年前の『平ジェネFOREVER』も「平成仮面ライダー20作記念」だったしなぁ。

普通に(?)MOVIE大戦だった頃が懐かしい……。

えー、そんなわけで「これは仮面ライダーセンチュリーの映画」だと思ったんですけども、セイバーチーム、リバイスチームもちゃんと仕事はします。
ディアブロの手下たちが世界各地(南極とかエジプトとか)で謎のエネルギー場みたいなのを発生させてるのを阻止すべく戦ったり、2071年の百瀬の肉体を守るために戦ったり。

サイクロトロンドライバーは百瀬の精神を2021年に送っているけど、「その逆も可」らしく、トウマ、倫太郎、大二、さくらちゃん、そしてバイスが2071年に飛びます。この時に倫太郎が「帰ってきたらお話が」とフラグを立てるんだけども、未来に行くのはもちろん「精神だけ」です。

タイムワープしてきた「精神だけ」の百瀬は秀夫を抱きしめることもできないわけで、精神だけ未来に行っても戦えないんじゃないの?と思うんだけど、そこはそれ、2071年の爺カリちゃんが「クローンライダー」とやらを作っていて、トウマたちはその力を使って――別のライダーの姿になって戦います。

悪魔の方もダークライダーを繰り出してきて、歴代ライダー同士が入り乱れて戦う、これぞ見せ場!

なんだけど。
私はあまり盛り上がれなかった。
「誰が誰に変身したかわかんなくて同士討ちになっちゃうんじゃ!?」と心配になっただけ。それでなくても混成チームで、普通に変身してても「えーっと、このライダーがトウマって人だっけ?」となりそうなのに、全然違うライダーに次々変身して大丈夫なのかと。
私、さくらちゃんがバルキリーとポッピーになったのしか把握できなかったよ……。

バイスを1人で未来に行かせるに当たって、一輝は「悪いことしないでちゃんと戻ってこい」みたいなことを言って、「約束だぞ!」と言います。
テレビシリーズ本編でも思うけど、バイスが「悪魔である」って設定、忘れられがちというか、「悪魔の定義とは」って感じだよね…。ベルトの力で悪魔(バイス)を制御できているからこそのバディであって、その力の及ばないところへ1人で送っちゃっていいわけないと思うんだけど。「約束を守る悪魔」とか聖飢魔Ⅱぐらいなのでは。

バイスを一輝と切り離して単独行動させるにはスタンプで実体化させねばならず、でもドライバーで未来に送られるのは「精神だけ」っていうのもなかなかめんどくさくて混乱する。
そもそもバイスは「精神だけ」じゃないのかぁぁぁぁ、うううううう。

で、案の定未来で「あっちの方が面白そう、悪魔側で大暴れしよっかな」みたいになるバイス。「一輝との約束はどうした」「約束なんて知らないもーん」みたいな。

そこでトウマが一言。
「知ってるか? 約束ってのは、破る側の方が苦しいんだ」

あー、そう言えば「約束」ってセイバーのテーマだったんだっけ。でもトウマごときの説得であっさり「え?約束破るのって苦しいの?ほんとに?それはヤだな」といい子になっちゃうバイス、おまえそれでも悪魔なのか? 悪魔の風上にもおけないヘタレじゃない???

さくらちゃんの悪魔ラブ子もまったく悪魔っぽくないし、リバイス世界の“悪魔”は単に「自分の中のいたずらっ子、困ったちゃん」ぐらいなアレなのかな。

2021年に戻る際には爺カリちゃんにネオバッタバイスタンプ貰って、「約束守るといいことあるんだね~♪」と喜ぶバイス。
小さいお友だち向けには「正しいヒーロー物」なんだろうけど、心の穢れた大人にはあまりにバイスがいい子すぎてモヤモヤする……。

百瀬の回想に出てくる本郷猛を藤岡弘、の息子さん藤岡真威人くんが演じていて、ところどころ表情がとても本郷猛で、声の感じもすごく本郷猛で、びっくりしました。親子だから、ってだけじゃなくて、父親が演じた本郷猛をめちゃくちゃ研究してのお芝居なんだろうな~。まだ17歳、高校3年生っていうのにもびっくり。

科学者だった百瀬は研究を続けたいがためにショッカーのスカウトに応じて、次々と改造人間を生み出して、でも本郷猛と出会ったことで改心するんですよね。
なぜか改造前の本郷と2人きりで話して、「そんなのは科学じゃない!」とか言われてハッとするんだけど、おそらくそれまで改造した人たち(ショッカーに拉致された普通の人々)とはいちいち話をしてないはずで、なんで本郷とだけ……とここもモヤモヤ。

脚本の都合というのはわかるけど、そこで「ハッ」としたくせにきっちり本郷は改造するし――。あ、改心するのは本郷が仮面ライダーとしてショッカーと戦う側についたことを知ったからだったっけ? それを知って、自分もショッカーを脱け出そうとしたんだったかな。

図らずも仮面ライダーセンチュリーに変身することになった百瀬にとって、ディアブロを倒して平和な未来を取り戻すのは「悪魔の科学者」だったことを償う贖罪行為でもある。
なので、無事ディアブロを討ち果たした後には本郷猛が「私を改造してくれたことに感謝している」みたいなことを言ってくれる。

んーーーーーーーー、確かに本郷猛が改造されないと仮面ライダーの歴史は始まらないし、「ライダー達、これからも頼んだぞ」と未来に繋げるために最後に本郷猛が出てくるのはわかるんだけど、でも百瀬に「ありがとう」と言っちゃうのはちょっと違うような。

初期の本郷猛には改造人間の悲哀、葛藤があったはずだし、本郷猛以外の、怪人に改造されちゃった人達への罪はやっぱりなぁ。突然拉致られて怪人にされて、あげくライダーに倒されて爆発していった人達の哀しみ苦しみは……。彼らにも家族がいたろうし、突然失踪して、「家族を捨てた」と誤解され憎まれたままかもしれないんだよ、百瀬が秀夫に恨まれていたように。

しかも別に百瀬、「脅されて仕方なく改造してた」んじゃなく、自分の研究の実践として、進んで人を改造してたんだから。
「私は過ちを冒した、この罪は決して消えない」で良かったんじゃないのかな。思い残すことは、別にあっても。

「悪魔の科学者」だった自分と向き合い、最終的に世界を救って世界から弾かれることを選んだ戦兎くんはほんと偉かったよなぁ。

あと、ヒロミさんはとってもヒロミさんで良かったです。カリちゃんに「やるべきことはわかってるね?」と言われてディアボロ(?)に正面突破かけてボロボロになり、ねぎらわれるどころか「相変わらずボロボロだね♪」と喜ばれる(?)という……。ほんとカリちゃんひどい。

テレビ本編の方ではヒロミさん、だいぶ体調悪そうになってて、年明けの展開が大変気になる。なんとかして生き延びてくれ、ヒロミさん。